居候
大学生の頃だった、同級生の麻実の部屋にルームシェアしていた、麻実は高校卒業と共に会社勤めをしている。
「で、アンタ達話があるんだけど」
いつもは週末も仕事をしている麻実が珍しく休みで、久しぶりのみんなでの昼食を取っていた、僕信斗と弟のノア、三人でのルームシェアだ、正直女の子の部屋に男二人と言うのも申し訳なく肩身の狭い思いをしている。
「何?お昼ご飯冷めちゃうよ」
「信斗、アンタうちでルームシェアしようって言って半年経つよね?」
「うん、そうだね、あ!一年経ったらお祝いしようか!」
「いやそのお祝いも含めてだけど、この食費も家賃も光熱費も全て私が払ってることおかしいと思わない?しかも毎日ご飯作ったり掃除したりも私じゃん」
「うんだから悪いなって思ってて」
「それはルームシェアと言わねえ!ゴミくずが!」
力強く机を叩き、卓上の食事がひっくり返った。束の間沈黙が流れる中、ノアはこぼれたご飯を静かに食べている。
「働け!寄生虫ども!」
麻実はそう言って唯一の寝室へと消えた。僕は大学生でノアは普段何をしているか分からないが便宜上ニートだ、確かに実家感覚で甘えていた事を痛感した。
数日後
「何話って」
僕はここしばらくネットカフェに籠っていた麻実を呼んだ。
「これが僕の謝罪です!」
部屋を大掃除並みに棚の裏まで綺麗に掃除した部屋と、その間勉強した料理を並べ、更には全ての衣服にアイロンをかけて畳んだものを見せた。
「あー、うん、で?ノアは何したの?」
ノアは静かにベランダの窓を開け手招きした。
「これは・・・・家庭菜園!」
奥の日当たりのいい場所には人参に始まり、様々な本格的な野菜の苗が肩身狭しと並んでいる。
「麻実、今までありがとうね、僕たちこれから頑張って家のことをするよ」
麻実は感動からか小刻みに震え手のひらを握っている
「そういう事じゃねえ!」
そのあと麻実の怒りが収まり、僕たちの青タンが消えるころには何とかアルバイトが決まった。ノアは相変わらず何をしているか分からないがお金には困っていない様で、僕より先に麻実に家賃を払っていた。
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