拳鬼と恐れられたモノ〜復讐を胸に成り上がる〜

あーる

異世界転移に巻き込まれて

第1話

 あれは雲一つないよく晴れた日のことだった。


 夏休みが終わり夏の暑さに机で溶けている友人がいたり、水筒のお茶を煽るようにして飲む野球部がいたりする至って普通の日のこと。


 始業のチャイムが鳴り先生が教室に入ってきたその時、教室の床全体に奇妙な模様が浮かび上がった。


「はーい、みんな席について下さい」


 異変に気づいた男子生徒が声を上げる

「……先生この床の光ってるのなんですか?」


「……え?」

 直後、床の光は一層強くなり目を閉じる。


 目を開けるとそこには石造りの床や壁、今までいた教室とは明らかに違う場所に居た。


 周りを見渡すと、石造りの見覚えのない場所に自分を含めてクラスメイト9人+先生の計10人が、状況を理解できずに呆然と立ち尽くしていた。


「皆のもの面をあげたまえ!!」


 声のした方向を全員が一斉に振り向く、すると王冠を頭に付け、装飾の施されたマントを羽織ったいかにも王様の様な人物がこちらを見下ろしていた。


「我は国王アーノルドである! 其方たちは、私達デオスクーロイ王国が異世界から召喚させて貰った! 世界の平和を守るため邪悪な魔王を共に討ち滅ぼして欲しい!」


「ふざけるな! 召喚?! 訳のわからない事言ってないで俺達を元の場所に戻しやがれ!」

「そうよ! 元いた場所に帰してよ!」

 クラスメイト達が次々と声を上げ始める。


「其方らの主張は最もだが、一度召喚した人間を元の世界に戻す事はできぬ。しかし! いきなり魔王と戦えなどと言うつもりはない! 其方たちが十分に成長するまでしっかりとサポートをしようではないか!」


 国王の言ったことに言葉を失う一同、そこへ次は白いローブ?ドレス?を身に纏った人物が


「始めまして私は王国第二王女メアリーと申します。皆さんが困惑されるのは当然の反応かとは思いますが、一度こちらの話を聞いては頂けないでしょうか?」


 第二王女メアリーと名乗った女性は見た事が無いほどの美人だった。クラスの男子、女子関係なく殆どがメアリーに見惚れている。何かおかしいと感じた僕は第二王女とは目を合わさないように話を聞いた。


「これから皆さんには、鑑定の水晶を使い自分のステータスの確認を行って頂きます。こちらの世界に来た時にそれぞれスキルを獲得しているはずなのでスキルの確認も同時に行います」


 ステータス、スキルという単語にクラスメイトがざわつき出す。僕は違和感を覚えながらも、ここは情報が少しでも欲しいと思い大人しく王女の話を聞く事にした。


「明日から、それぞれのスキルに合った訓練を始めてもらいます。説明は明日改めて行いますので、各部屋でお休み下さい」


 その後、僕達のステータスの確認が行われた。

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