第2話 雪原の家
山裾にある店から宿へ帰る雪道で
勇気を出して寄り道をしてみると
いくつかの木造の家の屋根の下で
一人の老婆が作業をしてるようだ
老婆は雪に濡れないためだろうか
手拭いを被りモンペ姿で作業する
真白な雪野原の世界で一人きりで
真白な大根の束から一本の大根を
今夜の食事は大根を入れた水炊き
囲炉裏の上から下げた大きな鍋で
家族が集まりそれぞれの席に着く
私は宿へ帰る道を急ごうとするが
思うように進めずに白い息を吐く
白いだけの世界で吐く息も真白に
雪を踏む音と荒くなってきた息が
真白い世界で私を一人きりにする
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