第7話、実は、ギモンに思っていました……

 見過ごされがちな『 ギモン 』、まだまだあるかと。

 提議してみましょう。


 『 数字 』の表記です。


 拙作『 異世界モノ、ちょっと斬ってみた件について 』でも、少し触れさせて頂いた記憶がありますが、数字の表記は、書き手さんによって千差万別。 非常に沢山の表記の仕方があります。


 どれが正しいのか……?


 難しい判断ですね。

 ある意味、どれも正しいのでしょう。 個人的見地からの発言とはなりますが、私的には『 見た目に、不自然か否か 』だと思います。


 小説は、文章で成り立っていますよね?

 文章である限り『 一般的見解に則り、書かれたモノ 』が存在するはずですので、それら書き物に記述してある表記の仕方を参考にすれば、とりあえずの『 体裁 』は良いと言う考えに、至極、到達致します。

 この場合、数字の記述に関して、私はそれで良いと判断致します。

 その『 書き物 』…… 何だと思いますか?


 新聞です。


 まあ、日本国内での統一書式となりますが、とりあえず、どなたも納得される事かと。 国語の教科書の書き方を模倣した方が良い、とお考えの方もいらっしゃるかと存じますが、それも選択肢の1つでしょう。

 ただ、ここでは新聞を基調とさせて頂きます。 理解度が容易かと思いますし。


 しかし、新聞( 国語の教科書も )と小説とでは相違点があります。

 …そう、ライトノベルの世界では、小説は『 横書き 』です。

 従って、数字の書き方も、縦書きから横書きへと変換しなくてはなりません。

 更に申し上げれば、新聞も世相を反映してか、以前と比べると現在の記述の仕方は、『 横書き 』文化を意識した記述となっているようです……

 以下、『 横書き 』をメインに、私的に解釈してご説明致しますね。


 例えば、年代。

 新聞社によって若干の相違はあるかと思いますが、現在の紙面を見るに、漢字を使わず、数字をそのまま縦組みにして記述していますね。

 以前の新聞紙上で良く見られた、漢字を使用しての表記…… これを、そのまま横書きに記述する書き手さんがいらっしゃいます。


 『 一九六〇年 』

  ↑

 この表記ですと、まず、ほとんどの方が違和感を覚えるはず……

 私的には、これはフツーに『 1960年 』で良いと判断致します。

 ただ、歴史小説などの場合、こだわり的に「 漢字を使って表記したい…! 」と思う書き手さんのキモチは、よく分かります。 …まあ、見極めが肝心かとは存じますが、読者様の存在を考慮致しますと、『 読む 』趣旨を優先させる… つまりは『 読みやすい 』表記を心掛ける事の方が大事だ、と私は考えます。


 『 寛永三年 一二月二十日 』


 私的には、下記の記述で良いと判断致します。

  ↓

 『 寛永3年 12月20日 』


 補足ですが、縦書きの場合、古くは『 十二月 』とは書きません。 『 百 』・『 千 』なども、縦書きの年号表記に関しては、使用されなかったようです。

 ちなみに、新聞などの縦書きは、『 十 』の場合、以前は漢字を使わず、『 〇 』と記述していました。 『 身長は一六〇 』と言った具合です。 ただ、『 数十メートルあった 』等、文章によっては使い分けをしていたようなので、この辺りの判断も重要になりましょう。


 以下は、私なりの『 横書き記述 』の仕方です。

 ↓

 身長は、約180㎝くらいだった。

 数十メートルほど、水位は上がった。

 数百冊… いや、数千冊にも及ぶであろう、彼の蔵書。

 12時50分、昼休憩が終了する間際に、彼女は来た。

 ほんの2~3分だったと思う。

 3日間、腕に痛みを感じた。

 見たところ、彼女は1人だ。

 昨年の、3月17日だった。etc…


 全角で表示するか、半角で表示するかは、個人のこだわりで良いと思います。

 「 半角で表示するのが本式だ 」と、言われる方もいらっしゃいますが、表記の仕方に決まりは無かったと記憶しております。 ただ、レポートのように、提出用規定が存在する書き物もありますので、この解釈の限りではありません。


 半角で記述した方が、ワード数の節約が期待出来ますが、何となく『 寸詰まり 』感がありますので、私は全角で表記する事にしています。

 色んな書き方がありますので、なるべく多くの方の作品を拝読し、あなたなりに納得して記述方法を決断して下さいね。

 まあ、数字も、出版社によっては記述規定が存在する社もあります。 三点リーダーのように『 自動的に 』校正されるかと存じますので、とりあえずは、見た目が良いように、一般的と思われる書き方に終始した方が無難でしょう。


 あと、意図的に漢数字で表記しない書き方もあります。

 少々、講義の内容をレベルアップしてみましょうか…… と言っても、難しい事ではありませんよ?

 下記に例文を作ってみました。

 ↓

 私は、コップの水を一口飲んだ。

           ↓

      この部分の漢数字を、カタカナ読みで『 イチロ 』と読む人は

      いないとは思いますが、時にして、読み間違いは起こります。

 

 次の例文も、お読み下さい。

 ↓

 一息つき、一郎は一口コップの水を飲んだ。


 「 …ナメとんのか、コラ! 」

 そんな声が聞こえそうです。(笑)

 これは明らかに作為的ですが、創作していると往々に、このような『 困った 』状況に遭遇してしまうモノです。 文章を変えてみれば済む事なのですが、展開的にどうしても文章を変えたくない場合があります。 コレが結構に多く、よく悩むのです……

 まあ、この場合、『 一郎 』や『 一口 』の後に、読点を打てば解決致しますが、更に、漢数字を変換してみて下さい。 1つ目の例文も含め、『 一口 』ではなく、『 ひとくち 』もしくは、『 ひと口 』です。


 次の例文も同じです。

 ↓

 彼は、1人だった。

 ↓

 彼は、ひとりだった。


 数字や漢数字を使うより、何となく抒情的に読めませんか? まあ、私独自の感覚かもしれませんが……


 実は、あちこちに、このような『 仕掛け 』を作っておくと、読み手は、紙面上( 画面上 )から伝わって来る視覚を、作品に対するイメージとして膨らませてくれます。 物語のテーマ性や構成、描写… あるいは、センスと言った高尚的な観点からではなく、単純に『 書き方 』を統一し、こだわるだけで、読み手側にとっての『 作品の雰囲気 』は変わるのです。


 読んでいて( 見ていて )、何となく『 美しい 』と感じた作品、ありませんか?

 古風な文章表現や、哲学的な語句・凝った比喩描写…… そのような『 技術的 』な演出は、威厳ある作風に比例します。

 それらとは、一線を画した作風の作品…… 会話文すら無いのに、非常に繊細な描写が感じられる作品の多くは、作中の漢字の表記… 特に、数字の表記に対し、意図的こだわっている場合が多いです。


 ちょっとした『 気遣い 』とも言えるでしょう。 女性ならではの観点、と解説される方もいらっしゃいます。

 ただ、間違いなく、作品の雰囲気に影響します。 たった一度の表記ではなく、作品が完結するまでの間、常に意識し、意図的に変換致しますと、視覚的には、何とも言えない雰囲気を醸し出す事が出来ます。

 これは、『 手間 』だけの問題で得る事が出来ますので、誰にでも出来ます。 まずは、こういった初歩的なところから、ご自身の作品を愛でてみましょう。


 ただ一辺倒に文字を羅列するのではなく、意図的に『 配置 』する……


 創作活動をするにあたり、読みやすく書く、あるいは、読みやすい書き方をする事は、当然にして大切な要点です。


 その、義務とも言える着眼に、芸術的価値観を投入してみましょう!


 この『 ひと手間 』と、ほんの少しの努力で、これから創られるあなたの作品は、ある意味、劇的に変貌を遂げる事が出来ます。

 …ちなみに、『 一手間 』ではありませんよ?

 PCで変換したら、無数に出て来た『 小難しい文字 』を、さも誇らしげに挿入するのではなく、『 考えて 』・『 意図的に 』選択して使う事が重要なのです。


 小説は『 目 』で読みます。 目が不自由な方の為に読み聞かせる『 音声小説 』もありますが、ほとんどは『 読み 』ます。

 つまりは、視覚的な情報から始まる訳です。

 心理学的解釈に照らし合わせると、『 見て 』判断した刺激により、のちの判断が左右される『 プライミング効果 』が得られている状況を、意図的に演出している訳なのです。


 …まあ、ひらがなは日本独自の表記となりますが、とりあえずは、日本国内での評価を得ましょうか。(笑)

 

 作品内における数字の記述については、実に、様々な書き方が存在致します。 創作する作品によって、それぞれに使い分けして頂くと、創作がとても楽しくなりますよ?


 それでは次章、更なる創作と参ります。

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