未来へ続く ものがたり

シイカ

始まり 2010年


……彼女に会いたいと呟くだけで胸がめつけられる。

苦しいのに、気持ちが良い。それは痛みではなく、快楽かいらくから来ているものだった。

 いているわけでもないのに、官能的かんのうな気持ちが抑えられない。

会えるだけで良かった。そして、別の思いが現れた。

 心の片隅にふさいでいたことが溢れだしそうだ。

 身体からだを重ねた経験けいけん人並ひとなみ以上にあるし、好きな子もいた。

 でも、彼女に対する思いはそれをはるかにえていた。

  好きだからみ出せない。

 愛してるから不安になる。

  彼女の周りには沢山の人がいた。

 みんなから愛されている。

『アタシ』は彼女にとって特別ではない。

 特別だったときもあった。

 少し離れただけで、彼女の隣にアタシはいなかった。

彼女にとってアタシは親友でそれ以上になることはできなかった。

今でも親友なのかわからない。

会わなくなってもうすぐ五年だ。

アタシから連絡先をったのだから自業自得じごうじとくだった。


                          2010年7月20日





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