破露出伊(パロディ)集-3

龍玄

第1話 極夫・風

文太 「久美と海荷を守るためなら、鉄砲玉にでもなったるで」

久美 「やめてよ!」

文太 「押忍。ほな、白い粉に肉とはっぱを切り刻んで焼きを入れるのは、

    どうや」

海荷 「それって、お好み焼きでしょ」

文太 「押忍!」

久美 「できるの?」

文太 「為せば成るや」

海荷 「頑張れぇ~」

久美 「料理か~、だったら、家事をやってよ」

文太 「火事やてぇ、放火か、そら、あかん!

    人様に迷惑がかかるやないか」

久美 「当たり前でしょ。か・じ」

文太 「どういうことや」

海荷 「ママは料理ができないの。だから、文太にやらせようと言うこと」

久美 「で、出来るわよ。まぁ、得意じゃないけど」

海荷 「はいはい」

文太 「それで、か・じって何をすればええんや」

久美 「主夫」

文太 「しゅふ?なんやそれ?」

久美 「主夫は主夫よ。私と海荷のために美味しい料理を作って、

    この家を綺麗にして、私たちを守ってくれればいいの」

文太 「そんなんで、守れるんか?」

久美 「うん。私が外で働いて、文太が家を守るの」

海荷 「都合よく、苦手な事を押し付けているだけじゃない」

久美 「違うわよ、効率的と言うか、平和的解決よ」

文太 「平和的解決?それって手打ちのことか?」

久美 「そ、そうよ」

文太 「わかった、その主夫とやら、やらせてもらうわ」

久美 「じゃ、頼んだわよ」

文太 「押忍!」


    文太は、こうと決めれば、とことん突き詰めるタイプだった。


文太 「なぁ、海荷。主夫を引き受けたわええけど、何から手を

    つけたらええんや」

海荷 「掃除でしょ、料理でしょ、洗濯でしょ」

文太 「料理って、ぼこぼこにしたり、ちぎって投げ、物言わぬやつ 

    を熱湯風呂に叩き込んだり焼きを入れるやつか」

海荷 「はぁ~」

文太 「そや、後は、隠し持った粉を燻して煙を吸わせて、

    いたぶるやつか」

海荷 「まぁ、そう、かな?」

文太 「ほな、早速、やったろやないか」

海荷 「はぁ、文太は料理したことがないんでしょ」

文太 「押忍!」

海荷 「主夫をなめたらいかんぜよ!」

文太 「押忍。じゃ、どうしたらええんや?」

海荷 「普通は、料理教室に通うんじゃない」

文太 「奉公か、よっしゃ分かった。久美と海荷のためなら、

    精一杯、勤めさせてもらいます」


    文太は料理教室に通い、主婦や花嫁修業や料理好きの仲間から、

    食材の選び方や難しさを親身に教わった。仲間が出来た文太は

    買い物に誘われた。


主婦 「さぁ、負けないわよ~。安くていい物を手に入れる。主婦の

    根性をみせたるでぇ」

文太 「安物?そらあかんで、混ざりもんが入っていて、厄介な事に

    巻き込まれたら、どう落とし前つけるんや」

主婦 「安物をなめとんか!」

文太 「な、なんや」

主婦 「食品ロスをなくすためやん。損して得を取る。ありがたいことや。

    そんな心意気も分からんとこの場におるんやったら、とっとと帰り

    や、さぁ、始まるでぇ~」

文太 「おお、カチコミやったら、慣れてますわ」

主婦 「カチコミ?かき氷の事か?こんな時に」

文太 「ちがいま・・」

店内 「只今から、タイムセールを実施させて頂きます」

主婦 「さぁ、いくで~」

文太 「おう。これが戦場や。気、引き締めんと玉を取れへんで」

     

    ピィ~、わぁぁぁぁ


文太 「何やそれわしの…、何するんや…、それわいのや」


    文太は、タイムセールに押し寄せた主婦にもみくちゃにされた。   


文太 「ふう~、ほんま、タイムセールって気が抜けへんなぁ。マジやな。

    おもろいやないか、今度は負けへんでぇ」


    文太は、新たな生きがいと闘いの場を得たのだった。つづく…。


久美 「って、完結やないかい!」

文太 「押忍!」

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