第10話

「君らが団員とともに発見したという冒険者か?」

「それは俺だ。調書とやらは取った。もう帰るところだから引き留めてくれるな」

「そうか、すまないね、役所仕事はなにかと時間がかかる。また話を聞くことになると思うから、その時はよろしく頼むよ。いかんせん大事件だ」

「それでなんだい?」

「そうそう、助手の件だよ。手間賃を出すとは言ったが限度があるから、この紙を渡しとこうと思ってね。外部の協力者に対する謝礼金の規定だ」

 そう言って団長はオーガス先生に紙を渡す。

「こういった仕事の相場とかそういうものはわからないが、これはちょっと安くないかね?」

「役所仕事ちゃそんなもんでしょう。お医者さんの基準じゃ安いでしょうが」

 その紙を見た先生と、横から覗いたドーリーの意見。

「帝都には同業他社が多くてね。予算は大事に使わないと」

 二人の反応に対して団長の答え。

 そこで思いついた先生。

「そうだ。ヴィリア君、君、少し手伝ってくれないか。優秀だったじゃないか」

 とVに聞く。

「えっと」

「手伝うって、先生さん、もしかしてあの、あれ、いじるんですか」

「見たのかね」

「えぇまぁ、発見した一人ですので」

「あれを組み立てないといけないんだが、一人じゃ無理だし、心得がある人間もいない、あんなのに学生を動員するわけにもいかないって具合でこまってたんだ。頼むよ。冒険者ということなら、報酬を出せばやってくれるだろう」

「はぁ、まぁ、そういわれると、断れませんね」

 何をやるのかまったく聞いてないが、恩師からの依頼。断りにくいもの一つ。そしてVはそういう物事を断りにくい男。

 というわけで手伝うことになった。条件は、騎士団から冒険者組合に対して話を通してもらうこと。

 報酬をもらう以上こういうことはきちんとやっておかないといけない。そういう性格。

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