第13話 ムジナ堂

公園の拓けた草原の中心に立ち、深呼吸をする。空気を取り込むごとに、身体の中の妖力が動くのを感じる。


「──はっ !」


声とともに妖力を外に出し、空に放り投げた。少しだけ、脱力感を覚える。

検証を続けて、週に一度、定期的に妖力を外に出せば人間の姿を保っていられる上で災害にはならないと分かった。四辻荘に誰もいない昼下がりにこの人気のない公園に行き、妖力を外に出すのが日課になりつつある。災害級ではないが、妖力を放った一帯には雨雲が集まる。降り出す前に帰ろう。


「……伊吹さん ?何してるんですか ?」


一連の俺の行動を見ている奴がいたということに、そいつが声をかけるまで気がつかなかった。俺は少し恥ずかしくなりながら、事情を説明した。


「なるほど……妖怪から人間に変装できないとなると大変ですね……」


銀花はバイトが早く終わった帰り道に、妖力が大きく動いているのを感じて見に来たらしい。案の定あの後すぐ雨が降ってきたから、銀花の持っていた折りたたみ傘に入れてもらいながら歩く。


「絶対に八束と雌狐には言うなよ……」

「い、言いませんよ……」


特に、あの雌狐に知られたら口うるさく煽られるに違いない。


「でも、八束さんに教えてもらえば簡単に変装できるんじゃないですか ?」

「あいつは容量はいいが人に教えるのが下手なんだ」

「じゃあ、尾咲さんに教えてもらうとか ?」


こいつは人の話を聞いていたのか。それが嫌だから言うなと言っているんだ。


「あの雌狐が人に物を教えると思うか ?万が一教えてきたとしてもどんな見返りを要求されるか分からん。部屋に引きこもってる方がずっとましだ」

「そこまで言わなくても……尾咲さんは優しいですから、ちゃんとお願いすれば教えてくれると思いますよ ?」

「お前にはそうだろうけどな。理由は分からんが俺は雌狐に嫌われているようだ。俺も好かんが」

「あ、あはは……」


雌狐が煽ってくる様子が頭に思い浮かんで嫌な気分になった。銀花は苦笑いをしている。……まぁ、出会った時のように本気で決闘しようとしたら今度は銀花を怒らせることになるからやらないが。


「それに、来週から冬休みになって外出する用事がなくなるからな。今すぐに習得できなくても別に困らん」

「でも、それだと今度は八束さんや壱子ちゃんに引きこもるなって叱られるんじゃないですか ?」

「む……」


銀花に鋭い点を突かれる。確かに、あの二人は俺が休日にゲームばかりやっていると注意してくる。八束に至っては無理やり何の用もないのに外に連れ出そうとしてくる。冬休みに入ったら衣類や年末飾りの買い出しに行くと前に言っていた気がするし、何かしらの対策は取るべきか。


「尾咲さんに頼みづらいなら私も一緒に声かけますから。一回だけ、聞いてみましょうよ ?ちょうど帰ってきたみたいですし」


銀花が人のいい笑顔で言いながら前方を指さした。四辻荘へ曲がる角に、薄紫色の傘を差した女が歩いていくのが見える。あいつ、今日は帰りが早くないか ?まあ、銀花の厚意を無下にしたらそれこそ雌狐に口うるさく言われそうだ。一度だけ、試してみるか。


「──という訳なんですけど」


四辻荘の共有部屋に入ってから、銀花が事情を説明した。雌狐は着ていた制服を緩め、長い金髪を下ろし、長椅子に座りながら話を聞いている。

俺はというと、「人に頼み事をする時はちゃんと態度を示さないとダメですよ」と銀花に言われて、ちゃぶ台を挟んで床に正座している。


「はぁー、伊吹あんたねえ……そんな小さなこと頼むのに銀花を使うんじゃないわよ」


雌狐は溜息をつきながら呆れた目でこちらを見てきた。


「言ったところでどうせ教えんだろうお前は」

「あんた私の事なんだと思ってるのよ……」

「人でなしで女尊男卑の年齢詐称雌狐」

「年は今関係ないでしょうが !」


事実を言っただけなのに雌狐は突っかかってくる。年齢の話になると毎度突っかかってくる気がするが、実際雌狐は俺たちの中で一番年上だ。


「はぁ、まあいいわ。変化の妖術を使えるようになりたい、だったわね……単刀直入に言うと、あんたにまともに妖術を使うのは不可能よ」


雌狐は足を組み直して、本当にばっさりと言い切った。

俺が妖術を使うのは不可能 ?どういう意味だ。


「あまりにも妖力の使い方が下手くそだから何か理由があるのかと思って見てみたけど、あんたの妖力の殆どは筋力補強に使われているわ。人間の子どもと同じ体格、筋肉量で化物クラスの怪力を使えるのはあんたの妖力のおかげってわけ。妖力にも色々種類があってね、妖術に使うのに向いている外向きの妖力と自身の強化に使うのに向いている内向きの妖力がある。あんたの場合、後者に向いているのよ。鬼火を使えるだけでも結構すごいわ」


雌狐は淡々と、だが分かりやすく説明した。つまり、俺の妖力は妖術に使うのに向いていないから、妖術を習得できないらしい。


「今まで教わった八束の説明が要領を得ないものだったっていうのもあるかも知れないけど……根本的な原因はそれよ」

「じゃあ、妖力を定期的に外に出す以外に伊吹さんが人間に変装する方法はないんですか ?」


銀花がそこで話に加わってきた。方法がないなら別に今までの方法でいいんだがな……今日みたいに誰かに見られなければ。しかし、俺の妖力の質が原因だったとしたら、八束が本当に教えるのが下手だった訳ではない可能性があるな。後で謝っておくか。


「方法がないわけじゃないわ。あんまり勧めたくないけど……伊吹、スマホ出しなさい。地図と連絡先をL*NEに送るわ」


雌狐はそう言ってちゃぶ台に置いていたスマートフォンを取った。雌狐が何か操作した数秒後、俺のスマートフォンが何かを受信した音を鳴らす。画面を見てみると、言っていた通りどこかの場所が書かれた地図と連絡先が送られていた。


「私の紹介だって言えば分かるはずよ。あー、でも入るのに合言葉が必要なのよね……それも送るわ」


雌狐はまた何かを打ち込んで送ってきた。


『人住まで鐘も音せぬ古寺に狸のみこそ鼓打ちけれ』


これは……和歌か ?


「人も住まず鐘の音もしない古寺で、狸だけが鼓を打っている……これが合言葉なのか ?」

「伊吹さん、分かるんですか !?」

「俺が元住んでいた時代にもあったからな」

「意味は特にないわ、どうせ狸が出てくるってだけで合言葉にしたんでしょう。向こうが上の句を言ってきたら下の句を返しなさい」


雌狐は自分の仕事は終わったとばかりに、そのままスマートフォンでゲームを始める。また『いべんと』とやらがあるようで、暇を見つけてやり込んでいるのを見かける。


「いや、ちょっと待て。ここは何なんだ。合言葉が必要だったり、何だか妙に奥まった場所にあるようだが……」


俺は雌狐に尋ねた。これだけではあまりにも情報が少なすぎる。


「簡単に言うと、道具屋よ。商品は日によって違うから目当てのものがあるとは限らないけど、頼めば取り寄せることもできるわ……あのね」


雌狐はそこで言葉を切り、嫌悪感をむき出しにした表情を向けてきた。


「私、あそこの店主が大嫌いなのよ。これ以上話してると顔を思い出して嫌な気分になるからやめてちょうだい」


雌狐はキッパリと言った後、またゲームに戻った。いつもこいつに「人が真剣に話してる時にゲームするな」と怒鳴られる理由が少し分かった気がした。


「珍しいですね……尾咲さんがここまで他の人のことを嫌うなんて」

「雌狐は大概美形にしか興味がないと自分で言っているだろう」

「ううん、そうなんですけど……ここまで露骨に嫌そうにしてるの、初めて見ました……」


銀花はゲームに集中している雌狐に気を使って小声で話した。俺も小声で返すが、そこまで珍しいことなのか。好き嫌いは誰にでもあるだろう、俺だって基本人間は嫌いだからな。


「ただいまー !」

「すみません、遅くなりました…… !」


すると、八束と管理人が同時に帰ってきた。管理人は部屋に入るなり台所で手を洗い、夕食の準備を始める。


「おかえり」

「二人とも、おかえりなさい」

「八束、今日は早いな。管理人と一緒に来たのか ?」


雌狐はスマートフォンから顔を離さずに、銀花は律儀に顔を向けて言った。ちゃぶ台前に胡座をかいて座った八束に俺は声をかける。


「ああ、さっきそこで会ったんだよ。今日はたまたま早く終わってなー」

「そうか……。あ」

「ん ?どうした ?」


俺がさっき言おうとしていたことを思い出して声を上げると、八束は不思議そうに首をかしげた。


「俺が妖術を上手く使えない原因は、俺の妖力の殆どが身体能力の強化に使われていたためだったらしい。だから……悪かったな、散々教えるのが下手だと言って」


俺は途中から小っ恥ずかしくなり、顔を逸らしながら謝った。こいつには、この時代に転生する前から何度か妖術を教えてもらったことがあった。そのどれも修得するまでに至らなかったが、今思えば八束は八束なりに一生懸命教えてくれていたんだろう。

……何も返事が帰ってこない。顔を上げると、八束は物凄く気の抜けた顔をしていた。周りを見ると、雌狐や銀花、管理人まで作業の手を止めこちらを見ている。


「伊吹が !?」

「人に対して !?」

「謝った…… !?」

「ちょ、皆さんそこまで言わなくても……私もびっくりしちゃったけど……」


八束、雌狐、管理人、銀花の順に驚きの一言がぶつけられた。こいつら……俺が悪いことをした時に謝ることもできない奴だと思っていたのか。


「……お前ら、そこに直れ」

「わー !!冗談 !冗談だって !!ここで今暴れられたら後始末大変だから落ち着けって伊吹 !!」

「静かに変化解くのやめなさいよ不気味だから !」

「ふざけるな !!お前ら俺のことなんだと思ってるんだ !」

「い、伊吹さん落ち着いてください !私たちが悪かったですから !」


雌狐の口ぶりだと無意識で本来の姿に戻ってしまったらしいが今は好都合だ。脆弱な人間の身体よりも好きに暴れられるからな。そう思ったが、八束と雌狐、銀花によって意識を失いかけるまでの実力行使で止められた。その夜、四辻荘周辺は数週間ぶりに土砂降りになった。



雌狐が送ってきた地図の通りに進むと、奥まった住宅街の中に一軒、少々大きめの店が立っていた。『リサイクルショップ 佐渡』と看板に書いてある。りさいくるしょっぷとは何だ……雌狐が言っていた道具屋という意味の外国語か ?


「わあ、こんな所にリサイクルショップがあったなんて知らなかったよ……」

「……何故お前が着いてきている、管理人」

「尾咲さんが、表向きにはリサイクルショップだって教えてくれて。倉庫で見つけた要らないものの処分に困ってたからちょうどいいなーと思って」


俺の横には、私服姿の管理人が大きめの袋を持っている。休日は実家の家事があるからと平日しか来ないため、私服を見るのはこれが初めてかもしれない。

俺も今日は人間に変装した状態で、八束が選んだ中学生の男子が着ていてもおかしくない……らしい服を着ている。着物よりも動きやすいが、長年和服で過ごしていた俺にはあまり落ち着かない。


「ここは店じゃないのか ?何故客が品を持ってくる」

「そういうお店なんだよ。お金を払うと、要らないものの処分を代わりにやってくれるの。しばらくはお店に置いてくれて、中古品として安く売ってもいるしね」

「ふうん……」


千年前にはなかった店の形態だ。食料雑貨店の安売りに目ざとい管理人には、宝物庫に見えるのかも知れない。そう思いながら、店の引き戸を開けた。


中には管理人の言っていた通り、使い古された跡が残る品の数々が陳列されている。台所用品や家具、自転車まである。

この時代の物価がよく分からないが、やはり正規店で買うより安く済むのだろうか。俺が商品棚を見て回っている間に、管理人は会計机に向かっていった。

しばらくすると、大きな荷物を店主に預けたらしい管理人が戻ってくる。


「店長さんに、尾咲さんの紹介ですって言えば分かるんだよね ?」

「ああ、そうだったな」


本来の目的を忘れるところだった。俺は会計机に向けて歩いた。

腰の曲がった老人の男が、ぷるぷると震えながら座っている。目を閉じているが……こちらに気づいているのか ?いや、でもさっき管理人と話したようだし、話が通じないわけではないだろう。


「雌狐……伏見野尾咲の紹介で来た。道具屋の店主とはお前か」


雌狐雌狐と呼び過ぎて、本来の名前を忘れる所だった。人間社会での呼称以前に、あいつは九尾の狐だが。

すると、老人は閉じていた目を開いてこちらを見た。


「人住まで鐘も音せぬ古寺に ?」


しわがれた声で聞き取りづらいが、雌狐の言っていた合言葉だろう。俺は下の句を思い出して返答した。


「狸のみこそ鼓打ちけれ」


すると、周囲から紫色の煙が立ち込めてきた。俺と管理人は咄嗟に咳き込む。

何か、甘い匂いがする……香か ?


「『信楽』はその昔、紫の香に樂しいと書いて『紫香樂』だったんじゃよ。じじいからの豆知識じゃ、覚えておくが良い」


紫の煙の中から、先程まで目の前にいた老人とは違う男の声が聞こえた。

やがて、煙が薄れてくる。


「う、嘘…… !?」


最初に驚きの声を上げたのは管理人だった。それもそのはずだ、周囲の景色が様変わりしていたのだから。

品物と異なり清潔感のある店内は、薄暗い木造の建物に変わり、棚に並んでいる物もずっと古く感じる。幻術系の妖術か。こちらが本来の店内ということか。


「ほっほっほ、驚いておるのう、お前さんら」


背後で、煙の中で聞こえた声と同じ声が笑った。振り向くと、赤茶色の着物に瓶ぶち眼鏡をかけた中年の男が煙管から紫の煙を吹かしていた。


「妖怪専門の道具屋『ムジナ堂』へようこそ。儂は店主の佐渡 紫香(さど しこう)じゃ。ご入用かね ?」


店主──紫香は不敵な笑みで挨拶してきた。


「さっきも言ったが、伏見野尾咲の紹介でここに来た。人間に変装できる品はあるか」


俺はすぐに用件を話した。


「あー待て待て、順序ってもんがあるじゃろ。まず、お前さんは何者じゃ ?あの狐娘の紹介ということはお主も妖怪じゃろう」


すると紫香は俺の質問を手で制してきた。俺はさっさと目当てのものを買って帰りたいんだが。


「大江 伊吹、酒呑童子だ」

「ほほぅ、天下の三大妖怪がつるんでいるとは面白い」

「別に仲良くしてはない、さっさと品を……」

「で、そこのお嬢さんは ?」

「話を聞け !」


紫香は人に聞いておいてさらりと流し、横にいた管理人に話しかけた。思わず怒鳴ってしまう。


「え……と、四辻 壱子です……大江くんについてきた人間です」

「ほう !人間が儂の店に入るのは初めてじゃ !お嬢さん、酒呑童子のとはどんな関係なんじゃ ?」

「えっと……大江くんが住んでいる下宿の管理人代理をやってます。尾咲さんもそこに」

「ほうほう、中々面白そうではないか。儂らを見ても驚かんのかえ ?」

「普通の人間とそんなに変わらないので……」

「油断は禁物じゃよ、お嬢さん。儂らは大抵人間に化けておる、いつどこで身を潜めて、人間を喰う機会をうかがっているか分からんからのう」


怒る俺を無視して、紫香と管理人は会話をしている……というより、紫香という男がぺらぺらと喋るのに管理人は相槌を打っている。

苛立った俺は会計机を叩いた。学校の机のようにひびを割らない程度の力で。


「おい」

「ご、ごめんね」

「すまんすまん、何せ久々の客だから年甲斐もなくはしゃいどるんじゃよ。それが人間となれば尚更……」

「俺はお前のお喋りを聞きに来た訳じゃないんだ、道具屋なら役立つ道具をくれ」


管理人はびくっとするが、紫香はへらへらと笑いながら反省する気の全く見えない謝罪をしてくる。雌狐がこいつを嫌っている理由がこの短いやり取りだけでよく分かった。俺もこいつは好かん。


「あまり老人を急かさないどくれ……よっこいせ」


紫香は年寄りくさい所作で立ち上がり、裏へ引っ込んでいった。


「なんなんだあの胡散臭い男は……あいつ自身も妖怪なんだろうが、今まで会ってきた奴らとは別の意味で面倒だ」

「ま、まあまあ……尾咲さんが嫌々でも紹介してくれたんだから、商売はちゃんとしてくれるんじゃないかな ?さっきもちゃんと要らないもの受け取ってくれたし」


俺は会計机に身を預けて溜息をついた。何というか、会話していて疲れる。もしかしたら精気を吸い取る類の妖怪かもしれない。管理人が諌めてくるが、妖怪のたちの悪さを知らないから暢気なんだろう。


「よっと。人間に変装できる品じゃったな。これなんてどうじゃ、『面白おかしい人間に見える眼鏡』じゃ」


制止しながらも話は聞いていたらしい。品を持ってきた……が、どう見ても宴会芸で使うような鼻眼鏡にしか見えない。


「ふざけてるのか」

「じょ、冗談じゃよそんな冷たい目で睨まないでおくれ。ならこれはどうじゃ、『無表情な人間に見える仮面』じゃ」

「どう見てもただの能面だよな !?俺は妖怪から人間に変装できる物を持ってこいと言ったんだぞ !」


あまりにもしれっとふざけるので怒鳴った。この男は誰に対してもこの調子なのか ?客が来ない原因はこの店主にあるんじゃないだろうか。


「冗談、冗談じゃって。というかそこまで言ってなかったじゃろ……ほれ、お前さんの探し物はこれじゃな ?」


紫香はへらへらと謝りながら机の下を漁り、陶製の壺を卓上に乗せた。

開けてみると、不思議な匂いのする黒い粒がぎっしり詰まっている。


「これ、正露丸ですか ?匂いが似てる」

「薬、という意味ではそうじゃが効能は異なる。一粒飲むとたちまち自分の思い描いた姿に変化できる、化け狸に代々伝わる妙薬じゃ」


管理人が壺の中を見て聞くと、紫香が説明を加えた。正露丸が何かは分からんが、これを飲めば本来の姿から人間に変装できるようだ。このきつい匂いのする丸薬を口にするのは抵抗があるが、良薬口に苦しと言うし我慢しよう。


「化け狸に代々伝わるってことは、紫香さんも化け狸なんですか ?」


管理人は、蓋を閉じながら紫香に尋ねた。管理人にとってもこの匂いは好感の持てるものではないらしい。


「ちょっと違うのう。儂は……言葉で説明するより見る方が早いか。驚くでないぞ ?酒呑童子にお嬢さん ?」


紫香は答えようとして留まり、煙管の煙をいっぱいに吸ってから吐き出した。また、あの甘い匂いのする紫の煙に包まれる。咳き込みながら煙を手で払う。

煙が完全に消えた時、紫香の姿はどこにもなかった。

代わりに、卓上には狸の置物が置かれていた。


「……何だ、これは」


見覚えのない狸の置物に、俺は首を傾げる。


「信楽焼……かな ?──きゃっ !?」


管理人が置物を信楽焼と呼びながら恐る恐る手を伸ばすと、触れた瞬間置物は煙になって消えた。


「そう、儂は信楽焼の付喪神じゃよ」

「うわあ !?」

「きゃあ !?」


突然、耳元で声がして俺と管理人は同時に飛び上がった。振り向くと、すぐ後ろに紫香が片足立ちで立っている。下駄を履いた足で軽く飛び跳ね、空中で一回転してから元いた位置に戻った。


「急に背後から声をかけるな驚くだろ !」

「ほっほっほ、驚かせるつもりでやったんじゃから当然じゃろ。愉快愉快」

「ちっとも愉快じゃない心臓に悪い !」


俺は飄々とした態度をちっとも変えない紫香に怒鳴りながら、奴の正体について考えていた。


付喪神。長い年月を経た道具などに神や精霊、霊魂などが宿った妖怪。「九十九神」という綴りから、九十九年経つと道具は意志を持ち動き出すと言われている。

が、よく聞くのは台所道具や傘など、人間に使い込まれた道具の付喪神ばかりだ。雌狐のやっているゲームには刀の付喪神が登場するらしいが、それも人間によって扱われる武器だ。

さっき見たような、せいぜい飾りにしかならない狸の置物に意志が宿るとは到底思えない。


「今、ただの置物が付喪神になるとは思えないと考えたじゃろ ?儂は付喪神の中でも訳アリなんじゃよ」


紫香は怒鳴った後考え込む俺を見て思考を読んできた。妖怪か。……妖怪だった。


「儂は狸の造形をした焼物として生まれついた頃から意志を持っていた。動けるようになったのは月日が経ってからじゃが。その頃から儂は自らを化け狸の大将、佐渡の団三郎狸と思い込んでおったんじゃ」

「思い込んで……って、そんな理由で付喪神になったのか ?」

「まぁ、早く動けるようになって狸の一族の元へ戻りたいと思っていたんじゃろうなぁ。その後、他の妖怪に指摘されるまではずっと信じていた。じゃがおかげで、化け狸も顔負けの変化術を身につけたというわけじゃ」


紫香はしみじみと懐かしそうに、自らの出自を語った。老人は自分語りが好きと聞くから、案外話し方通りの年齢なのかもしれない。妖怪に年齢は関係ないが。


「へぇ……思い込みだけで変化ができるようになるなんてすごいですね」

「あの頃は若かったから、勢いもあったんじゃろ。勢いとは怖いものじゃよお嬢さん、生まれついた時から自らを人間と信じていた結果、言葉を喋るようになったヒトデも漫画に出てくると聞く」

「お前やヒトデの話はどうでもいい。さっさと薬をくれ、いくら払えばいい」


管理人と紫香がまた長い談笑に入りそうになったので途中で止めた。八束から千円札を三枚もらったが、足りなかったら管理人に一時的に立て替えてもらうか。


「ちっちっち。儂が欲しいのはそんな紙切れではないぞい」


だが、紫香は舌打ちをしながら指を左右に振った。何だかいらっとするなその動き。


「生憎俺は管理人と違って金以外持ち合わせてないぞ」

「物じゃないわい、お前さんでも気軽に払える対価さね、酒呑童子の。お主の体験した面白い話を、儂に聞かせておくれ !」

「……は ?」


散々胡散臭い品々を見せておいて、代価が俺の話、だと ?ふざけているのかこいつは。


「ぶっちゃけ現金の稼ぎはリサイクルショップの方で足りているからのう。儂は他人の人生を話を通して知るのが大好きなんじゃ、じじいだから。ほれほれ、面白い話であれば何でも大歓迎だぞい♪」


じじいだからは関係あるのか。ただ、人の人生を聞いて口を挟みたいだけのようにも見えてくるが。


「面白い話なんて何も……」

「ならこの妙薬を売ることはできんのう。ムジナ堂としては久々の客なのに残念じゃ」

「む、それは困る……」


俺が代価になるような話を持ち合わせていないと言うと、紫香は残念そうに壺をしまおうとする。

ここで手に入らないと無駄足になるので必死にこれまでの事を思い出すが、他人に話して面白がられるような事件には遭遇したことがない。第四次妖怪大戦の後、殆どの時を空き屋敷で過ごしていた事に少しだけ後悔した。


「……ねえ、大江くん。大江くんが現代にやって来るまでの経緯を話してみたらいいんじゃないかな ?」


すると、管理人が小声で耳打ちしてきた。


「俺がやって来るまでの経緯、だと ?人間に騙し討ちにされた過去を晒せと言うのか ?」

「ううん、そうじゃなくて……大江くんたち、一度亡くなってからこの時代に飛ばされたんでしょ ?もしかしたら紫香さんもそうかも知れないし、珍しがって聞いてくれるんじゃないかな ?」


管理人は、俺や他の四辻荘の住人が死後未来に飛ばされてきたことを話してみたらどうだと提案しているらしい。

なるほど……もし目の前の付喪神も俺たちと同じであれば、情報を共有することもできるか。


「なんなら、そこのお嬢さんの面白い話でもいいぞ ?」

「い、いえ、私は本当に何も無いので……」


数え年十四で下宿の管理をしていることは珍しい話にはならないのだろうか。


「いや、ひとつ思い出した。紫香、それで満足したら約束通りその妙薬を俺に売れよ」

「勿論じゃ、商売じゃからな」

「ああ。──俺は、いや、雌狐を含む四辻荘に住む妖怪たちは皆、数百年から千年以上前に一度死んでからこの時代に飛ばされて来た。理由は分からんが、人為的なものであれば犯人を探し出し、元の時代に帰りたいと俺は思っている。他の奴らがどう思っているかは知らんがな。……お前もそうであれば、知る限りの情報を教えてほしい。お前がこの時代に飛ばされた経緯などをな。その情報にも代価が要るのであればいらないが」


……久しぶりにここまで一気に喋った気がする。普段学校にいる時も、他の人間に自分から話しかけることはないからな。四辻荘にいる時は大抵宿題をするかゲームをしているから無言だし。


「…………」


紫香は俺の話に呆気に取られたような顔をしている。当たり前か、俺ですらこれが現実なのか未だに疑わしくなる時がある。


「……つかぬ事を聞くが酒呑童子の。お前さんが一度死んだというのは西暦何年のことじゃ」

「は ?覚えてない。900年代頃だとは思うが」

「享年はいくつじゃ」

「一度死ぬまでの年であれば、300年は越えていたと思う」


何故こいつが質問してくるんだ ?


「ふむ……では、奈良の都は何年にできた ?」

「馬鹿にしているのか。平城京の成立は710年だろう」

「──えっ ?」


俺が平城京が成立した年を言うと、今度は管理人が素っ頓狂な声をあげた。

……そう言えば、歴史の教科書に書いてあった年代とは時々違っていたな。昔のことだから正しく伝えられていなかったんだろうと無視していたが。


「その時の天皇の名は ?」

「元明天皇じゃないのか ?」

「え……え ?」

「…………」


俺の返答一つ一つに、管理人は戸惑ったような反応をし、紫香は考え込んでいる。なんだと言うんだ。元はと言えば正しい歴史を知らないのはお前たちの方だろう。


「……酒呑童子の。名乗られた時からもしやとは思っていたが……やはりか」

「何が言いたい、はっきり説明しろ」


紫香はしばらく考え込んだ後、重そうな口を開いた。が、曖昧な言い方で要領を得ない。


「──落ち着いて聞いておくれ。お前さんの知る歴史は、儂やお嬢さんの知る歴史とは異なっておる。否……お前さんは本来、ここにいるはずのない妖怪じゃ。狐娘……九尾の狐もな」


「……は ?」

「お前さんたちの遺体が納められていた宇治の宝物殿は、とうの昔に焼け落ちておる。そこに保存されていた宝物諸共な。つまり、何らかの力で死体が復活して、今ここにいるということは絶対に有り得ないんじゃ」

「………… ?」


目の前にいる付喪神が何を言っているのか、全く理解できない。


「──つまりな。お前さんたちは、この世界出身の妖怪ではないということじゃ。死んだ後に飛ばされた……というのは本当じゃろうが、それは過去から未来に飛ばされた訳ではない。今風に言うと……『異世界転生』というやつじゃ」



それから先、具体的にどんな会話をしたのか記憶が朧気だ。紫香が中心になって話し、質問に俺が応える、それの繰り返しだったと思う。紫香が推測した話によると以下の通りだ。


俺たちは今いる世界とは異なる世界に住んでいた妖怪で、死後何らかの理由で何者かによってそれぞればらばらの時に飛ばされたという。共通点があるとすれば、全員人間に関わって死んだという点。俺と八束は源頼光によって殺され、雌狐は陰陽師が率いた軍隊に殺され、銀花は人間の老夫婦が死んだ後に死んだ。理由や経緯は違えど、全員人間と並々ならぬ因縁があるからかも知れない、らしい。

何故そのように推測したかと言うと、俺の知る歴史と管理人や紫香、この世界の人間に伝わる歴史が微妙に異なっているため。大まかな流れは変わらないが、帝の名前や重大な出来事が起こった年などが異なるらしい。

そして俺と雌狐の遺体が焼けてなくなっており、この世界で昔死んで復活したという可能性が考えられないため。死者が何かの媒体なしに復活するということはありえないことらしい。無から有は生み出せない、と言っていたか。

また、確認のために俺が昔経験した出来事についても尋ねられた。この世界にも酒呑童子はかつて存在していたが、都に鬼の軍団を引き連れて攻め入ったことがあるなど、俺とは異なる生を歩んでいたらしい。

最も驚いたのは、この世界の妖怪の間では妖怪大戦がなかったということ。妖怪同士は古くから相互不可侵の盟約を締結しており、争うこと自体が禁止されていたようだ。


一連の質疑応答の後、俺は言葉を失った。

自分が、今いる世界の住人ではないという事実を受け入れられなかった。


「……まぁ、なんじゃ。この世界にいるべきではないという意味で言った訳ではない。もしそうだとしたら、お前さんらは今生きていないだろうからな。何らかの目的があって飛ばされた……としか、今の儂には分からんな」


紫香は煙管の煙を吸いながら、少し申し訳なさそうに言った。


「代価としては十分すぎるくらいに頂いた。面白い……という訳ではないが、熟考の価値がある話を聞けた。その妙薬はお前さんのもんじゃ、酒呑童子の。今日はもう帰って休むがよい。長時間話して疲れたじゃろうしな」

「……ああ」


紫香は薬の入った壺をビニール袋に入れて手渡してきた。結構重い、肩にかけようとしたら人間の脆弱な身体では骨折するな。


「あの……このまま出ても大丈夫なんですか ?」

「ああ、店内に幻術をかけているだけじゃからな。戸口から出れば元の通りじゃ。言い忘れておったが、その薬の効果時間はきっかり半日じゃ。飲みすぎると副作用があるかも知れんから家にいる時は極力服用しない方がいいぞい。なくなりそうになったら携帯電話で連絡しておくれ、取り寄せておく」

「分かった。邪魔したな」

「あ、ありがとうございました……」


管理人が本来の状態の店から出てもいいか確認を取った。比較的新しめな外装から打って変わって古めな内装は、四辻荘と逆だと思った。

薬を服用する際の注意も聞き、俺と管理人は『リサイクルショップ 佐渡』改め『ムジナ堂』を後にした。


帰り道は無言だった。俺は自分から話を振ることが基本的にないから、管理人が遠慮しているということになる。こういう時の無言は気まずいんだがな。


「わ、私夕ご飯の買い物しないといけないからここで……」

「ああ」

「また後でね」


いつもは買い物に付き合ってほしいと頼むのに今日は別れようとするのは、俺の荷物が重いためか。いや、年の割に変な所で気遣い屋な管理人のことだから、俺を一人にしようとでも考えているのかもな。


「管理人」

「うん ?」

「今日紫香から聞いたことは、他の奴らには言うな。あいつらは俺と違い今の生活を楽しんでいる。今いる世界が元いた世界と違うと分かったら……悩ませかねない」

「……分かった」


管理人はそれ以上何も言わずに食料雑貨店への道を歩いていった。

俺は四辻荘への道を行きながら、元いた世界のことと今いる世界に来てからあったこと、紫香から聞いた話を思い出していた。


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久方振りの客人が去ってから数時間後。戸の磨りガラスから月の光が差す店内で、商品棚の整理をしながら、客人から聞いた話について考える。


この世界の歴史とは異なる歴史を知る妖怪、酒呑童子。儂の知る酒呑童子とは異なる人生を歩んだ酒呑童子、大江伊吹。

あやつが何者かどうかも気になるが、それよりも気になるのは、異世界の存在。儂が数百年生きてきたこの世界と似て非なる、別の世界。伊吹や狐娘の存在を証明するのに、最も論理的だからと採用した仮説だが、そう考える以外に辻褄が合わない。

あとは、伊吹たち異世界の妖怪を転生させた者の正体と目的……何らかの意図があって行ったことは違いない、理性ある生き物であれば全ての行動に意味を見出そうとするからな。

だが、そんな大それたことができる存在と言えば……。


「神、以外にいないか…… ?」


儂とて付喪『神』だが、神社で祀られている神というものは大抵、人間が創り上げた偶像に過ぎない。その実体は無いに等しい。だがもし、この世界を作った者の正体が『神』かそれに等しい存在と仮定するなら。

何らかの目的があって、異世界の妖怪を転生させたとしてもおかしくはないのか ?


ガラガラガラ。


片付けの手を止め考え込んでいた時、引き戸が開かれる音がした。


「いらっしゃい、じゃがすまんの、今日はもう営業終了じゃ。また日を改めて──」


「妖怪専門の道具屋の店主、佐渡紫香で間違いないですね」


音もなく自分の背後に立った人物が人間の男だと気づいた時、「ムジナ堂は自分が術を解くまで他者にはリサイクルショップに見える上、閉めている店に入れる客がいるはずがない」という事実を思い出した。


「……お前さん、ただの人間じゃないな。何用じゃ」


後ろに飛び跳ね、距離を取って尋ねる。声をかけてきた人間の男の目は、感情が宿っているのか分からないくらいに虚ろだ。


「警告します。貴方は最重要世界構造法則領域に抵触しています。世界構造法則漏洩防止対策マニュアルに則り、記憶(メモリー)及び記録(ログ)の削除を行います」


後ろに下がったはずだが、また背後から別の声がした。しまった、一人じゃなかったのか── !


バチバチバチバチッ !


突然、身体中に電撃が走った。

そのまま、後ろにいた人物に押さえつけられる。


「対象、確保完了。生体反応、ロスト」

「了解。これより記憶・記録削除に入ります。【MASTER】、こちら【No.18001】、応答願います……了解、記憶処理装置、接続開始」


頭上から複数の声が聞こえる。人間の喉から発せられる声だが、その口調は抑揚がなく、機械的だ。足音からして……三、四、いやそれ以上か ?それだけの人数が店内にいたというのに、気配が全くしなかった。やはり人外か。

カチャカチャ、と金属の触れ合う音がして、頭と頚部に何かが付けられる感覚がした。


「接続完了。記憶処理装置、起動まで──」

「……はは、随分と手の込んだことをするのう……」

「っ !?警告、警告、こちら【No.18002】、対象の意識復活を確認 !【MASTER】、攻撃指示を要求します !」


気絶した振りをしようとちょいと心臓を止めたら簡単に勘違いしおった、間抜けな奴らよ。だが、この感じでは助かる術はなさそうじゃのう。


「さっきから呼んでおる【MASTER】とやらが、お前さんたちの主か ?まあそうだろうなあ、それくらいは老いぼれでも分かる。じゃが、相手が悪かった。お前さんたちの不幸は、儂の頭脳がそこらのじじいよりちょいとばかしよく回ったことじゃ。儂が異世界の存在、神の存在について考えて、呟いた直後に儂の記憶を消しに現れた……それはつまり、『神、あるいは神に等しい存在の肯定』に他ならんということじゃろう ?えぇ ?」


儂は身体を押さえられながらも、毅然と言ってやる。人間に見える人外たちは、無表情のままで儂を見下ろしている。


「……これより抵触事項に関する記憶を削除される貴方には、関係のないことです。大人しく我々に従って下さい」

「ならこれがどういうことか説明してくれてもいいんじゃないか ?その会話だってどうせなかったことになるんじゃから」

「世界構造法則漏洩防止対策マニュアルによって、それらに関して我々が回答することは禁止されています」


あくまで自分たちは主に遣わされただけに過ぎないから、余計な詮索はするなということか。こやつら、喋れば喋るほど墓穴を掘ってくれるのう、面白い。できることなら違う状況で会って、からかってやりたかったわい。


「かかっ、それすら漏洩されては困るということか。万が一何かの弾みで記憶を取り戻す危険を回避しようとしてるのか ?『お前さんたちの神は万能ではない』と、言っているようなものではないか──」


バチバチバチバチバチバチッ !


今度は瞬間的なものではなく、長い電流が走った。老体はもっと丁重に扱って欲しいんじゃがのう。長い電撃の後、薄れゆく意識の中で奴らの話し声が聞こえてくる。


「…………完全ロストを確認。……の干渉は見られません」

「了解。……プロセスの後、……プロセスを……してください」

「そう言えば、……番号……の記憶……は……のですか ?」

「【MASTER】より、……には……な……を極力行わないようにと……されています。それに……は……、……において……があっても……で……ていると……される可能性は……と……されます」

「では、……発生時には……に関する……のみ……を行いましょう」

「……、起動……。……まで、三、二、一──」


奴ら、最後まで滑稽じゃのう。儂の意識が完全に途絶えたと思ってペラペラと話しておる。まぁ、奴らの言う通りこれも全て目覚めた時には忘れているんじゃが。

奴らの中の一人が数える数字が零になる寸前で、儂の意識は──消えた。

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