太宰治の未完作品「グッド・バイ」の続きをAIに書かせてみた結果

第1話

　彼は、めっきりキヌ子に、ていねいな言葉でものを言うようになっていた。（ここからAIに書かせています）

「まあ、いいわねえ。私なんか、どんなに乱暴されても、やり返す事も出来ないんだから。」

キヌ子は、いつものように、美しい眉まゆ根を寄せて、考え深げに言った。

「それは君、僕がいるじゃないか。」田島は、真顔になって言う。

「だってあなたったら、すぐ逃げ出すじゃないの。」

キヌ子は、けろりと笑う。田島は、「オベリスク」の二階の窓の外に立って、煙草を吸いながら、ぼんやりと往来を見おろしていた。彼の手には、小さな風呂敷包みがある。中には、五円札が入っている。そうして、彼の背後には、もうひとつ人影があった。

「あのう。」

その影は、遠慮がちに声をかけた。田島はふり返る。

「何ですか？」「わたし、あなたのお友達の水原さんの妹なんですけれど、お目にかかって、お願いしたい事があるんです。お話を聞いて頂けないでしょうか。」

ケイ子の声であった。

田島は、黙っていた。そうして、しばらく考えた。そうして、やがて、「どうぞ、どうぞ。お入りなさい。」「ありがとうございます。」

ケイ子は、しずしずと部屋に入って来た。その様子も、やはり、まるで童女である。

彼女は、小ぢんまりとした部屋に坐って、それから、田島の方を見た。

「ぼくに、頼みたい事というのは、何かな。」

彼は、いささかも動ぜずに、むしろ冷やかに聞いた。

「はい。実は、兄が病気なんです。熱が高くて、とても苦しそうなんで……。」

「うん。」

「それで、お金が必要なんです。」

「いくらいるのかな。」

「はい。二十万円ほど……」

「ふーむ。」

「でも、そんな大金は、とても私達兄妹にはありませんので、何とか工面していただけないかしら。」「そりゃ、なんとか出来ると思うよ。」

「本当ですか。うれしいわ。」

「しかしね、今すぐには無理だね。」

「じゃあ、いつまで待てばいいのでしょう？」

「二週間ぐらいはかかるかも知れない。」「困りましたわねえ。」

ケイ子は、下唇を突き出して、首をかしげる。

「まあ、とにかく、僕は君の兄さんの病状を知りませんからね。一度会ってみましょう。」「えっ！ 会いに来てくださるんですか。」「そう。」

「兄は、いま、この近くの病院にいるのです。」

「ほう。それは好都合ですね。ところで、どこが悪いのですか。」

「肺結核です。」「なるほど。それはいけない。」

「はい。医者が申すには、あと半年の命だろうとの事なんです。」「なんということだ！」

田島の顔色が変わった。「それなら、なおさら早く行かなければなりませんね。早速手配をしましょう。」

彼は、急に立ち上ると、風呂敷包みを持って出て行った。

「ケイ子ちゃん、いったいどうしたんだろうねえ。」

キヌ子は、不安そうに言った。

「きっと、お兄さまのために、お金を作ってくれるんじゃない？ あの方ったら、すごく親切な方だから。」

「そうだといいんだけど。あんまり親切過ぎるようだわね。」

「どうして？」

「だって、今までだって、いろんな人から頼まれ事をして、その度に、すぐお金を作る約束をしてるんですよ。それも、みんな簡単に…….ねえ。信用しちゃあ駄目ですよ。」

「あら、大丈夫よ。あの方は、いい人だもの。」