生徒会長を巨乳にしようとしたら、パイオツハザードが発生
川上イズミ
プロローグ
【山科遊人(やましなゆうと)】カガク部部長 の語り(視点)
第1話 校外学習先のテーマパーク
※この物語は章ごとによって語り手と視点が変わります。
クラスメイト三〇余名を乗せた観光バスが、高速湾岸線を下っていく。
ジェットコースター、火山、宇宙ステーションなどのアトラクションや建造物全てが、外壁の高さを超え一度に目に入る。それから鷹揚に設置されたお馴染みのシンボル——地球儀型のロゴマークオブジェだ。
皆のテンションが一瞬にして高まり、バスの中が爆発的な盛り上がりを見せた。校外学習の目的地であるテーマパークに、ようやく着いたみたいだな。
はしゃぐクラスメイトをよそに、俺はひとり冷静を装いそわそわしていた。前回の休憩からすでに二時間が経過。俺の肛門は活火山並みに噴火の一歩手前だ。調子に乗り過ぎて、冷たいものばかりを飲んだせいもあるだろう。
観光バスが大型専用駐車場で停車し、プシューと乗降扉が開いた瞬間、俺は座席を立った。
「おい、
ふたり掛け座席の左隣を見下ろすと、制服姿の相棒が例の試験管を握ったまま眠りこけている。
「なんで私服を許可されているのに、学園の制服で来てしまったんだこのマヌケ野郎ッ」
一度起こそうと考えたけれどやめた。パーク内で風邪をうつして回るのも迷惑な話だしな。
それにしても計画実行の当日に風邪をひくだなんて、愚か者にも程があるだろう。流行の兆しがある、新型のインフルエンザでなければいいんだが。そもそもこのあくどい計画を先に持ちかけてきたのは、コイツのほうなんだぜ。
(まあいいや)
眠りこけているならそのままにしておこう。それに俺はこの計画・・にはあまり乗り気ではないんだ。他人を幸にも不幸にもしてしまうこの計画・・は、あまりに危険で、そして残酷だ。
三
(ま、部室の取り壊しはまだ三ケ月も先だし、そんなに慌てる必要もねえよな)
便意に耐えられそうにない俺はコイツをほったらかして、腹を手のひらで擦りながら小走りで公衆トイレを目指した。
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「ああ~やべえ」
腸の弱い俺が、便房にずっと籠もるのは別に珍しいことじゃない。しかも便座に座りながらスマートフォンを眺め、
「どう効率良くアトラクションを回ろうかな~」
と、ついつい考えてしまった。何ならもう少しだけでもゆっくりしたかったくらいだ。けど、トイレに三〇分はさすがに籠もり過ぎだよな。
レバーを捻って便器に水を流し、ジーパンを上げてファスナーを閉める。
手を念入りに洗い、口にくわえていたハンカチで手を拭いてトイレの外に出る。レーザービームのような陽光がとても眩しく、思わず目を細める。けれど予報によると直に天気は崩れるという。遠くの方の雲行きは随分と怪しい。
「それまでにいろんなアトラクションを堪能しなくっちゃな!」
俺は肩の上に両手を上げ、大きく背伸びをした。バスによる長旅から解放され、気分は幾分楽になった。二日間の校外学習が今スタートする。
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