第43話 魔法使いの街

 健康になったブライアンは、ものすごい量の魔力を操れるようになった。魔力量を比べたら、私を遥かに超えているぐらい。


 彼は今、その膨大な魔力をコントロールできるように腕を磨いている最中だった。魔力の量が多すぎて、制御するのに四苦八苦している。


 ブライアンが魔力のコントロールを習得すれば本当に、歴史に名を残すほど偉大な魔法使いになるだろう。


 そんな彼を私が指導して、ぐんぐん成長していく様子を楽しんでいる。そして、様々な刺激を受けていた。その刺激により、新たな魔法理論や道具作成のアイデアが次々と湧いて出てくる。


 デュラレン王国で得た新たな魔法知識も加わり、魔法の研究開発は順調だった。




 私が暮らしている屋敷の近くに、モーリスの商会が店を構えて商売を始めていた。そこに、ブライアンと私が一緒に開発した新たな魔法道具を売り出すようになる。


「私達が発明した魔法道具が売れていくと、こんなに嬉しい気持ちになるのか!」


 ブライアンは歓喜していた。自分が生み出した魔法道具が売れていく様子を見て。彼の喜ぶ様子を見て、私も嬉しくなる。


「商品を買ってくれた人達の暮らしが、魔法道具で楽になるんですよ。彼らの生活に魔法が役立っているんです。そう考えると、魔法使いとしてこんなにうれしいことはありませんよ」

「あぁ、その通りだな!」


 それからブライアンは、私と同じように魔法道具の開発に熱中していった。時々、モーリスの店を覗きに行って、自分たちが新しく開発した魔法道具が売れていくのを見て、とても喜んでいる。




 モーリスの商会が売り出す魔法道具の数々は、王都だけでなくデュラレン王国中で有名になっていった。商会には注文が殺到して、生産が追いつかずに大変そうだ。


 そこでモーリスは、魔法道具を生産する魔法使いを募集する。続々と集まってきた魔法使い達が、お店の周りに住むようになっていった。魔法使いの街と呼ばれるほど多くの魔法使い達が、デュラレン王国の首都に集まる。


 若い魔法使い達も噂を聞きつけて、師匠を求めて街を訪れるようになっていった。そこには、師匠になりえる腕の良い魔法使いが多数居るという噂が流れて。


 師匠を求めてやって来た若い魔法使い達も、モーリスの商会が引き受ける。仕事を与えて、生活できるようにサポートした。


 熱心で見込みがありそうな魔法使いは、商会でベテランの魔法使いと組ませて指導させる仕組みが出来上がった。私やブライアンも協力して、魔法使い達の育成は国を挙げての取り組みとなっていく。


 そしてまた、その噂を聞きつけて各地から魔法使いたちが集まってきた。他国から訪れる者が居るほど。


 どうやら、かつてアレクグル王国の元宮廷魔法使いだった経歴の者も居るらしい。商会のルールに従い、ちゃんと魔法道具を生産する仕事から参加したそうだ。そして今は、若手の魔法使いの指導に専念しているという。

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