第二話 とある家庭の、のどかな朝の風景
うぅ、頭が痛い。完全に二日酔いってやつか? 俺って未成年だからこの状況やばいよな? まぁとにかく下へ行ってさっさと朝飯を食わないと母親に叱られる。
あれ? 鼻歌交じりで朝食を作っている。珍しく朝から機嫌がいいぞ。
「おはようマンモス」
「酒くさっ」
訂正。全然そんなでもなかったわ。
「あんた、未成年なのに何で酒くさいのよ。お母さん、そんな子に育てた覚え、ないんだけど」
「これは理科の実験を自宅でやってこぼしたからなっただけだから。飲酒したわけじゃないよ」
「ならいいわ」
いいのかよっ。我ながら無理な言い訳したと思ったのに、むしろ俺に関心ないって事か? 虐待? 虐待なの??
「どうでもいいけど、さっさと朝飯を食べなさい。そしてその酒を後でこの瓶に入れておきなさい」
「どうでもいいのかよ。っとそれにしても朝から肉の焼けるいい匂いがすんな。いい事あった?」
酒は華麗にスルーだぜ。どうせ飲まれるだけだしよ。
「なぜか冷蔵庫に肉があったから焼いてみたわ」
そういや、昨日スキルで出した肉を冷蔵庫に突っ込んだんだったわ。全裸は見られたけど、肉を入れたところは幸いにも見られなかったからな。けど、そんな得体のしれない肉をよくもまぁ愛する息子に出すよ、まったく。
「ちなみになんの肉なの?」
「知らんわ」
「「…………」」
「はい、出来たわよ。毒味、あっと、まぁいっか、毒味してみなさい」
そこはせめて訂正しようぜ……。まぁ俺のスキルから出た肉だし、きっと大丈夫だろ。
「うっま、まじやっば、うっま」
まずその柔らかさ。ナイフがスッと通っちゃったよ。しかも俺好みのきっちりレア。切った瞬間の肉汁が凄い。こんなに柔らかいのに噛んだ瞬間に肉を噛み締める感触が俺は肉を食ってるんだぞって思い出させる。柔らかいのにしっかりとした感触。何だか不思議だ。
「よし」
聴こえたぜ、マイマザー。毒は無いって確認出来たから自分でも食べ始めるその清々しさはまさに鬼畜。文句の一つも言いたいところだけど肉がうますぎてそれどころじゃない。三百グラムはあったであろう肉をほんの数分で食べきってしまった。これどれだけあっても食べれちゃうやつだわ。
無事、朝食も食べたし、学校に行くかな。
「それじゃ学校行ってくるぜ」
「はいはい。てか全裸で行くのが今流行りなのかい?」
おふ、そういや、着替えてなかったわ。
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