第38話

ニコニコしながら冒険者達がくるのを待っていると防具を脱ぎ終えて身軽な服装になった気の良さそうな青年が一人こちらに向かってきてくれていた。


 「こんにちは、お疲れ様です。」


 「ありがとう。君がポーションや料理を売っていると聞いてね見に来たんだけどどんな感じか見せてもらえるかな?」


 「はい、勿論です!ポーションは初心者用と一般的なポーションがそれぞれ魔力用も含めて取り揃えております。値段は相場の3倍になります、この値段と効力に関しましてはギルドのお墨付きを得られておりますのでご安心ください。料理に関しましては野菜スープは一杯銅貨50枚、オーク肉のステーキは銀貨1枚となっております。」


 「なるほどね、これなら僕たちの滞在日数も伸ばせそうだしこれからは持ってくる荷物を減らせるのか、いいね。なら、ちょうど使ってしまったポーションといい匂いをさせている野菜スープとステーキを人数分、6食分頂こうかな。」


 「毎度あり、では銀貨16枚と銅貨50枚です。」


 このパーティーのやりとりを見てどうするか悩んでいた他のパーティーが我先にと買い物をして行った。隣のアーランドさんのパンやジャムも売れているようでホクホク顔だ。

 今回だけで銀貨50枚は超える。ボロ儲けの商売だな。それもこれも錬金と空間魔法によるコンボ技の恩恵みたいなものだけど。金貨1枚でダンジョンポイントが1000集まるから1月で15000程か、拡張には十分に使えそうだな。どこまで凝るかにもよるけど。


 そんなことを考えながら売り捌きつつも人がはけていったので商品は片付けておく。多分予想だとそろそろ…やっぱりきた。


 「やあ、お疲れ様だね。ご飯おいしかったよありがとう。」


 「いえ、こちらこそお粗末さまでした。」


 「さっきから気になっていたんだけどこの家みたいなものは君に頼めば用意してくれると聞いたんだが本当かい?」


 「はい、そうですよ!利用には特殊な仕掛けがあるので魔石1つと銀貨1枚が1日に必要となってきますけどね。」


 「それくらいなら安いものさ!是非頼めるかな!」


 話をしながらパーティーが休んでいる場所の隣にさっさと住居を作ってしまい軽く中を確認してもらって利用してもらった。それを横目に見ていた他のパーティーもこれまた同じように住居を欲しがったので作ってやった。


 「いやあ、今日はついてるな!君に出会えるとは!そういえば名前はなんでいうんだい?僕は Dランクパーティー青の空 リーダーのラーカインだ!」


 「しがない駆け出しの冒険者カズィです。」


 「へえ!君も同業者だったのか!何か困ったことがあれば頼ってくれ。それじゃ!」


 新たな出会いに感謝しつつみんなが見張りを立てて寝るようなので警護は任せて住居の奥に向かってステータスを開くとダンジョン管理画面に新たな項目が出ていた。


 ダンジョン管理-収入源


 ここにはこのセーフティーポイントでの魔力吸収加減の調節とその概算が表示されている。今いる5パーティーの合計人数は30人ほど、それぞれが余らせている魔力や寝てる間に回復して使わない分を回収したとしてダンジョンポイントは毎日3000だ。ダンジョンのフロアを増やしたり複雑化、広大化するのには目安として10万ほどが掛かる。まずはある程度の形になるまでこうやってダンジョンポイントを稼がせてもらうとしよう。


 とりあえずはここでの関係を築きながら人脈を作る。自分のダンジョンを探索させる時に殺していいやつかどうかを見極めなければならない。タチの悪い冒険者はうちのダンジョンにはいらないのだ。

 

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