第33話
「うわあ、やっちまった…」
「…あなたは何をしているのですか?」
「うわっ!びっくりした…」
最初に声をかけた管理人の女の子が後ろに立って声をかけてきた、びっくりして振り返ると思っていた以上に身長が低くめちゃくちゃ見下ろす形になってしまった。
「いや、本を下ろして埃を落とすにしても他の本に埃がついたら意味がないしどうせならほんの順番も分かりやすいようにアイウエオ順にしようと思って分けながら本を下ろしていたんだよ。多分明日には終われるかなと。」
「そう、ならいい。今日はもうこの部屋を閉めるから出て。」
俺は言われるがままに外に出てギルドを後にした。不思議ちゃんだなあと思いながら木漏れ日亭の部屋に戻った俺はダンジョンの様子をチェックする。
そうこうしていると、アイテム欄にミスリルと鉄が少しずつだが増えていた。オレタートルは安心できる巣を見つけたらそこで脱皮を行う、その際に背中の甲羅で作っている鉱石を少しずつ排出してくれているらしい。それに加えて手紙というアイテムがあったので取り出してみると報告書のようなものが書かれていた。
ゴブ太達は錬金素材を集めてきているだけでなくポップで生まれるゴブリン達にも訓練を施し始めているらしい。基本的にポップモンスター達にはほぼ自我が存在していないような状態だが確実に成長はしているらしく今後の配合や変異次第では基礎ステが高いものが生まれるかもしれないな。
それに、ゴブ太達も飯を食わなくても生活できるらしく最近では時間の無駄だからと食べていないらしい。俺の感覚ではご飯を食べないと死んでしまうイメージだがモンスターだから違うのだろうか。要検証だな。しかし、食べ物を食べていると少しずつだがステータスが伸びているのもあるはずだから特別なものが手に入ったら食べさせてみるか。そう考えながら1日を終えた。
次の日の朝から図書室に戻った俺は図書室に入って驚いた。俺がやろうと思っていた本下ろしが残り半分ほどになっていたのだ。この部屋の管理人であろう女の子が先に手の届く範囲で行なってくれていたようだ。
「すいません!今から僕もやるんで置いといてもらって良いですよ!」
「ん…気にしないで良い。私も本が綺麗に並べられている方がいいと思ったからそうしているだけ。あなたは上の方の本を頼める…?」
「はい!やらせてもらいます!」
黙々と残った本を片付けていく、そしてまた片付けてアイウエオ順にした本をまとめて布をかけて避難させておいた。
「では、今から魔法で埃を吹き飛ばしますので少し外に出ておいてください。大丈夫だとは思いますがあなたを汚したくは有りませんので。」
こくりと首を縦に振り部屋からスッと出て行ってくれた。それを確認して窓を全部開けておき、風魔法で微風を生み出して上から順番に埃を落としていく、上から下に吹く風と合わせて埃をしてに落としていく。布の間から埃が入るといけないのでしっかりと空気の層を作っておき埃が入らないようにしておく。
全部の棚を掃除したら箒を使い塵を纏めておく、そしてドアを開けて少女を呼び一緒に順番に揃えていた本を棚に入れていく。
「そういえば、名前をなんて言うんですか?僕は冒険者のガズィです。」
「図書室管理役のリラです。」
その後は何も話す事もなくなり黙々と作業を続けた。リラさんに手伝ってもらった事もあり2日で終えることができた。少し時間も余っているのでリラさんと話をしてみようともう一度頑張って話しかけてみる。
「リラさんはここの本をどれくらい読んだのですか?」
「…全部。」
「全部!?そ、そうなんですね。それは凄いです。」
「そんなことはない。気がついたら読み終わっていた。」
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