第17話

冒険者ギルドはすぐに分かった。だって冒険者がいるし。冒険者は荒くれ者や礼儀知らずが多いイメージが持たれているがそんなのはごく一部だと俺は思う。


 なぜなら討伐依頼だけを受ける冒険者ばかりではないだろう。採取や警護など日常に基づく依頼がむしろ主に張り出されるものだ。というのも、困ってる人がいる。依頼を出す。冒険者が助ける。この構造がまず普通だろう。


 それに極端な話そんな使い捨てにできるバカはさっさと死ぬ。死んでもいい枠なのだからどんどん危険な依頼を受けさせるしそれで生き残れば使えるやつだから礼儀などを再教育。生き残らなければただ死んでおけ。そんなとこだと思う。


 まあ、この世界ではどうなのかは知らないがな。この時間帯は人が少ないのだろうか。依頼を眺める冒険者や情報交換をする冒険者。奥にある闘技場のような訓練場所で連携を確認するパーティーなど昼間から酒を飲んでいたりする奴なんていない。


というかそもそもギルドでは酒なんぞ出すわけがない。依頼を出しにくる人からの信用を無くすような真似ギルドが許すわけがない。

空いているカウンターに向かっていく。


「すいません、身分証明をしたいのでギルドに参加したいのですが。」


俺の目の前に現れたのはエルフだ!初めて生で見たな。そりゃそうか。失礼ながら鑑定っと


ミィス ラル レオーナ

187歳 

エルフ

スキル 魔法火v5 水lv7 風lv8 土lv3 詠唱省略 計算lv6 思考強化lv4


おおー、中々に強いな。しかも美人だしいいね。人気なんだろうな。それにチラッと他の人たちも見たけど受付嬢はみんな強い。そうじゃなきゃつとまらないだろうがな。


「はい、初めての登録になりますね?先払いと後払いどちらになされますか?後払いの場合ですと報酬からの天引きとなります。」


「では後払いでお願いします。」


「わかりました。では、まずこちらのアーティファクトを使って身分証明書兼ギルドカードをつくります。手をかざしてください。」


 言われるがままに手をかざすと一瞬光った後、手元にカードが用意される。そして頭の中に思い浮かんできたのがどの情報を開示するかだ。名前とステータスは隠しようがないがスキルは隠せるみたいだ。


 ならば配下関係のスキルやダンジョンマスターに関わるスキルは非表示が安パイだろう。職業欄とかなくて助かったな。そして表示されたのがこうだ。


ガズィ


魔力125 C +

力60 10 E -

敏捷170 D+

硬さ35 F


種族 人族


身体スキル 病気耐性lv1  思考力想像力強化[統合]lv3


生活スキル 計算lv10 鍛治lv2 錬金lv4


魔法スキル 一般 火lv4 水lv4 風lv4 土lv4 光lv2 特別 空間lv2


俺のステータス一覧の大分劣化番だな。まあ、あれはステータス表示以外にも色々着いた特殊なタイプだから参考にもならないけど。


受付嬢の説明によるとまず、ステータスはSS〜Fまでの±つき評価によるらしい。詳しい事はわからないが上に行くほど強いくらいの認識だそうだ。


そしてこのステータスを見せるか悩み、結局見せることにした。


「すいません。このようになったのですが何か不都合とかございますか?」


「申し訳ございません。相手のステータスを見ると言うのは相手の手札を見ると言うことになります。我々冒険者ギルドはあなた方と敵対するつもりはございませんが、戦争の時などに万が一ということがありますと問題ですので見る事はできかねます。」


理路整然ときっぱり断られてしまった。


「では、ステータスをみてアドバイスを貰いたいので見せると言うのはどうでしょうか?私は田舎の山奥から出てきたばかりで世捨て人に育てられたのでこの世界での生き方がわかりません。

 何卒人助けと思って相談に乗っていただけませんか?勿論貴方以外の人でも結構です。本当に困っているんです!」


 話している途中で、二人きりにしてナンパでもしようと企んでいるのではないかと疑われている可能性に気がついたので誰でもいいと付け加えておいた。


 勿論綺麗な人の方が嬉しいのは男のサガである

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る