第16話
森の途中まではゴブ太達と共に散策をしながら人の街へと向かっていく、人の街といってもシダリア山脈とは逆側で川のある方に進んでいるだけだがな。
一応森の奥で仙人のような人に拾われて生活してきていた。という設定だ。とりあえずは何をするにもこの世界について知らないといけない。こちらの世界の普通の人間達のダンジョンに対する対応などもだ。
川を渡った頃には森の木の数も減ってきて獣道のようなものもちらほらと増えてきた。一応ここからは俺一人で行くこととしてゴブ太達には無理なく敵を倒して素材をダンジョン内に放り込んでおいて欲しいこと。自分たちの食料は確保すること。あぶなかったらすぐに知らせることを約束して離れた。
一人になってから数十分程したあと森の出口に近づいてきている。街から街へと繋げている道なのだろうか?草と石を取り除いた程度だが道ができている。これに沿っていけばいいのだろう。
道に沿って歩いていると人と出会うこともなく街へと着いた。街の前では数人の兵士が門の警備をしており検問のようなものもしているようだ。
冒険者であろうもの達が依頼の帰りだろうか、獲物を背負っている人もいれば身軽に武器だけ持って帰ってくもの。馬車を護衛しているものなど様々な人がいる。
きちんと列に並び自分の番まで待っておく。
「よし、次のもの」
「はい!」
厳つそうな顎髭を生やした兵士のおっちゃんが俺の担当のようだ。
「名前とここにきた目的は?」
「ガズィといいます。山奥に住んでいる人に赤子の時に捨てられていたところを拾われて今まで過ごしてきたのですが、お爺さまも死んでしまい、街に出てきました。何も知らないことばかりですので必要なことがあれば教えていただきたいです。」
兵士は、ふむ、と頷いた後こちらにこいと、別の詰所のような場所に案内された。
「とりあえず、ようこそエルドレアの街へ。君は世捨て人のような人に拾われたということだからまずは身分証明をするものを作らねばならない。それには手っ取り早く冒険者ギルドに登録するのが1番だ。
冒険者ギルドでは、アーティファクトと呼ばれる古代の魔道具で身分証明するものを作ってもらえる。その費用は銀貨3枚だが、持っていないものは依頼の報酬金からさっ引かれていく。
持ち逃げしようにも逃げたと分かった時点で効果は失われるから馬鹿な事は考えるなよ。永遠にお尋ねものだぞ。
それと、この検問所を通るのにもお金がいる。通行税と言うものだ。だが、君はお金を持っていないだろうし私が建て替えておこう。」
厳ついおじさんだと思ったらめちゃくちゃ優しいおじさんだった。
「私のようなみずしらずのモノのために親切にありがとうございます。必ずすぐにお金を稼いで返します。」
俺は座っている椅子から立ち上がり深々と頭を下げる。
「まあまあ、気にしないでくれ。この歳でそんなに丁寧に対応できる君は信用できるし、なによりも同じような歳の息子がいてね。放って置けなかったんだよ。気にしないでくれ。俺の名前はローベルトだ。よろしくな。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
俺はその後冒険者ギルドの場所を教えてもらって門を通ってから真っ直ぐにギルドへと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます