第10話

付与魔術の有用性に気付いた俺はとりあえずゴブ太とゴブ助の為に俺自身が何か役立つスキルを覚えたいと思い始めた。とりあえず緊急な魔法を覚えさせたが、成長限界解放、もしくは成長強化をつければもっと高みを目指せるのでは?と少し期待している。進化をしてランクが上がればきっと付与できるスキルも増えると思う。

 成長限界解放を先に取れば進化先に必要な様々なスキルが手に入る可能性が高くなる。成長強化をとればスキルの成長が速くなり長い目で見た時にプラスになる。よし、


「ゴブ太には成長強化をゴブ助には成長限界解放を付与しようと思う。ゴブ蔵にはまず魔法を覚えて欲しかったから優先したが次取れるようになったらどちらかを確実に付与するよ。」


「それは分かったゴブが、なぜその割り振りにしたゴブ?」


「ゴブ太には剣術や基本的な身体強化などオーソドックスな強さを持ってリーダーにしたい。そのためにスキルレベルを早く上がるようにだ。ゴブ助には偵察などの行動を頼みたいから気配察知や隠密などのスキルを覚えてほしい。だけど、ゴブリンにそういうスキルが取れるかはわからないから先に制限をなくす成長限界解放にした。」


「なるほどゴブ!僕たちはそれぞれ必要そうなスキルが得られるように気にしながら探索するゴブ。まずは自分がスコップを、剣として使うようになるべくしてみるゴブ!」


「それがしは、主人がいう忍び?というものを目指してこれまで以上に偵察型に行動するゴブ!」


「よし!それじゃあ午後も頑張ろう!」


 そう言って別れた後。俺はmobゴブリンたちに地下への道を掘らせる。勿論スコップが必要なので木の棒と蔦、それにクリエイトした石の先で作ったなんちゃってシャベルとツルハシを貸し出す。メスゴブリンの方は大丈夫か心配したが何も問題がないようだ。

 ステータスの方には排出まであと20時間となっている。


 「ヒナコ、そういえば集会ってどこかに行かなければいけないのか?」


「二つ名持ちや、上位100体のダンジョンマスターが転移魔法を利用して集会に集まります。それ以外にも彼らに認められたダンジョンマスターや付き人のような配下のダンジョンマスターを連れて行く方もいらっしゃいます。そこにも入っていないものはダンジョンコアから画面が表示されるのでそれを見るという形です。発言をされるのは主に出席者でその他は指名があった場合は画面先から話せます。」


「なるほどな、何かを決めたければ出席できるほどになってからしろと。宣戦布告をする場合はどうするんだ?」


「そちらの場合は緊急接続が可能ですのでそこから行います。」


「ちなみに、こちらの顔や姿は他の奴らに見えるか?」


「いえ、基本的には見えません。発言をされる時だけ見られますです。」


「わかった。ありがとう。」


 それなら基本的に顔を出す事態にならない限りは人間のダンジョンマスターとバレることはないか。よし、なら5日もあるわけだし明日は配下達と山の方を探索。2日後はそこで手に入れた鉱石や材料を加工。3.4で街の方へ行って帰ってきて、5日目に集会だな。


 そうと決まればまずは鍛治をするための機材を作るか、ダンジョンコアの部屋が何故か俺の住居兼生産設備置きになっているが、部屋や改装が増えたら移動させれるしよしとするか。


 まずは、かまどと鉱石を加工するための鉄床、それにハンマーがいるな。かまどと鉄床は耐火煉瓦のようなものでカバーするとしてハンマーはどうしようか、鉄を魔法で生み出そうにも俺は成分をよく知らないから鉄100パーセントの脆い鉄しかできない。


 しょうがないためここのハンマーと鉄床、やすりなどの初心者鍛治セットを300DPで手に入れる。残り700。DPは侵入者の死んだ時に出る生命エネルギーや使用した魔力など様々な要因ではいるが、ダンジョンマスターである俺や配下の分は勿論カウントされないため減る一方である。


 とりあえず今できることをするために土魔法で片手で持てるサイズのよくあるブロックを量産する。そしてかなり無理矢理だが土魔法で穴を掘りえんとつのような形を作る。外にバレると問題なのでほどほどで止めておき水魔法と風魔法で浄化させる予定だ。


 さて、できたブロックを積み重ねてかまどのような形をつくる。そこに煙突の先をつける。一応完成ではあるがここから一手間かける。かまど全体に付与魔法で火属性を付与する。発火ではなく、高熱にも耐えられる耐火のイメージだ。残りの魔力をごそっと持っていかれたがギリギリ間に合ったようで付与自体は成功した。


 しかし、魔力欠乏の影響でふらふらして意識が朦朧としてきた。


「ヒナコ、俺やばいからちょっと落ちる。後は…頼む。」


「わかりましたです!」


そのまま俺は布団に倒れ込んだ。

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