第32話
「種族の確認したいんだけどさ、お前ってどこまで平気で回復するの?」
「っ! 拷問する気ですか!? やめてください! 指の骨を一本づつ折るのはやめてください!」
「いやしないよ?」
「やめてください! なぶり殺した後に死体を犬に食わせるのはやめてください!」
「いやしないってば! ……なんなんだよお前、ほんとにサキュバスと変わってくんない?」
「なぜサキュバスをそんなに求めるかわかりませんが、あの寄生虫種族よりまだノーパンエルフの方が使えるんじゃないですか?」
「いや……サンドスネークで困ってるかもしれないじゃないか…………え? 待ってノーパンエルフ、だと? う、うおおおおおお!」
「こわっ、そんなに声を荒げることですか? 静かにしないとネッコさんが暴れだしますよ」
「それはうざい、よし寝よう」
はやくもぞもぞしたい。今日はノーパンエルフの妄想だな。
ライトを消して、寝ることにすると。
「もしかして襲う気ですか!?」
「いやしないよ?」
「なんですか!? 私に色気がないって言うんですか!?」
りっふじ~ん。
「コウモリにでもなって寝たら?」
「なるほど」
え? マジで変身できるんかい。ネッコの価値が下がった。
なんだろう、使徒って神の足かせなのかな?
改めてライトを消そうとすると。
「漫画が読めないの!」
なんだよこいつら!
てかなんでこいつらこんなくつろいでんの? 魔物とかでるかもしれないよ? てかもう魔物襲ってこねーかな、こいつらしばいてほしいわ。
さて、見張りだが。
この二人なんの相談もなく寝てるな、フェアは漫画読んで警戒のけの字もねぇし、何? 俺が見張りすんの? 徹夜すんの? 使徒とは? ……俺も寝たろ。
あきらめてそのまま寝ることにしたが。
「んにゃごにゃご」
ネッコの足が鼻の先に来た。
「ぶえっ、おえっ」
腐乱死体でも目の前にあるのかと思ったらネッコの足の臭いだった。靴下をはかせ封印。
よしやっと眠れる。もぞもぞしてから。
そこそこいいテントで広いため、一番遠くに移動して寝た。
しばらくすると。
ぐるじい、目を開けると首を絞められていた、…………ネッコに。器用な奴だ。
こいつ俺の事殺す気!? でもこの寝相って……まさかな。
すぐさま引っぺがし外に投げ飛ばした。蛇の攻撃でも無傷なんだ、毛皮ガードとかできるだろ。
こいつと一緒に寝るのは無理だ!
快適な時間が訪れ、眠りについた。
「にゃふ、にゃふふ」
ついには声でも妨害された。
「お前いいかげんに!」
そう言いながら外に出るとネッコが襲われていた!
助けないと!
「ひ、卑怯だよ! 正々堂々一対一で勝負にゃはははは、そこはダメだよ~」
「何この子かわいい~」
「ね~、靴下はいてる~」
サキュバスのお姉さま方にわしゃわしゃされていたのだ!
待ってろ! 父と母から託された大切な使徒だ! すぐ身代わりになってやる!
「うちのペットがすいません! 俺が代わりになるので見逃してください!」
「な、人間だ、と? じゅる」
あれなんだろう、女子高生っぽいノリのサキュバスも、舌なめずりしてる妖艶お姉さんもタイプなんだが、なんか、囲まれるとちょっと怖くなって来ちゃった。
「というかなんであなた裸なの?」
寝るときは裸になる、もうクセになっちまってんだ。
無言でテントに戻り服を着た。
「あら坊や、もしかして初めて? 良い匂いがするわぁ」
落ち着け俺! 第一印象は大事だ、大丈夫。俺の見た目は可愛い女の子みたいなショタ! ふふふ、こんな時のために顔を変えたんだ! やっと念願の俺の願いが叶う! ありがとう神様! 飛ばすぜ可愛いショタ言葉を!
「ボク……こ、こわいよお、お姉ちゃん」
どうだ! 可愛いだろ! 緊張して震えた声になったが逆に怖がってる感じになったんじゃね!? うおおおお襲われてやるぜぇ! 夢にまで見たオネショタだあああああ!
「あら怖いの? 可愛いわねボク。大丈夫よ? 優しくしてあげるからお姉さんたちと『い・い・こ・と』しない?」
しますぅううううう! やっほおおおおお落ち着けねぇえええええ! まだだ! まだだぞ俺! 服は脱ぐものじゃない脱がせてもらうもんだ!
スタスタと近づいてきて。
うおおおおおおお! 俺の旅は………………もうここで終わってもいい……だから! ありったけを!
お姉さん!? いきなりそんな顔近っ!
あっ……。
「いや、そういうのはいいんだ、実は交渉しにきた」
「あ、あらそう」
あの、物理的に離れて引くの止めてもらえます? 泣きそうなんで。ひそひそ言われるのホントに傷つくので。
交渉するために来たんだから冷静に商人のように振舞うのは当然だろ!
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