第7話 早々に問題発生

 入学してから早1ヶ月。


 僕は早々に問題に直面していた。


 それは――


「シガン様〜早く寝ましょ〜!」


 ヨシノちゃんの存在である。


 言い方に少し語弊があったが、なにもヨシノちゃん自体が嫌なわけではない。


 ヨシノちゃんは可愛いし、優しい。


 学園は寮制だが、一人部屋であることをいいことに女子禁制であるはずの男子寮に忍び込み、僕の部屋に入り浸ってくるのだ。


 しかも、毎回添い寝を要求されるし困ったものだ。


 断っても帰らないし、少しキツイ言葉を使ったら、


『え?シガン様、もしかして私のこと嫌いなの?ねえ、そうなの?そうじゃないよね。私達運命だもんね?まさか嫌いになんてならないよね?シガン様に嫌われたりしたら、私なんて存在してる意味ないんだから舌でも噛もうかな。いや、舌噛んでも死なないのか。ならいっそシガン様に殺してもらおうかな。ねぇ殺して!シガン様の邪魔になるようなヨシノなんて要らない子なんだからねぇ!早くぅ!ね?私要らないんでしょ?ねぇ!』


 …というふうにまくし立ててくるのだ。


 僕は今世では、あまり女性と接する機会が無かったので、夜も眠れない日が続いている。


 …もしかしてヨシノちゃんは「ヤンデレ」とかいうやつなのではないだろうか。


 いや、まさかな。


 現実にそんな物が存在するわけがないな。


 ……でも異世界転生は実在したよな


 ならそれくらいあるんじゃ…


 よし!そんな話やめ!


 我慢して寝よう!


 ――それから3時間経った。


 さすがのヨシノちゃんでも寝静まっている。


 2時間位はずっとヨシノちゃんに見つめられていたので、寝たふりをするのは大変だった。


 本当に寝ちゃいそうになるしね。


 さて、今日もをこなしに行くかなぁ〜


 ――――

 それから30分ほど。


 僕はとある平原に来ていた。


 なぜ30分もかけて来たか。


 少し気になったのではないだろうか。


 なんとこの世界には、ラノベでは確定で登場する「身体強化魔法」が存在しないのだ。


 せいぜい回復魔法を全身にかけていれば少し速くなる…かなぁ〜?といったところである。


 さて、なぜこんなところに来たか。


 この世界には、魔物が多くいる場所として「大魔森林」が挙げられるが、そこだけに魔物がいるわけではない。


 平原こういうところにも魔物はいる。


 ただ、一歩入れば襲われる「大魔森林」よりは少ない。


 だからある程度の安全を保ちながら、狩りが出来るってわけだ。


 もう分かったと思う。


 ここに来た目的はもちろん―――実践だ。








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