第6話 (ある意味)無双達成?

 時は校長に挨拶を振られた時に遡る…


 ――――

「では…シガン・シナク君、挨拶をお願いします。」


 忘れてたァァァァァ!!!!!!


 え、やばい。どうしよう…何を言えばいい?


 ええい!儘よ!言ってたらなんか出てくるだろ!


「え〜ご紹介に預かりました。シガン・シナクと申します。生まれは…どうでもいいか。」


 ん?なんか古典的なコケ方してるやつがいっぱいいるぞ?


 どうしたんだ?


「え〜」


 やばい。何も思いつかない。


 ……もういいや。


 …僕は無敵だ。


 無敵なんだぁぁぁぁぁ!!!!!


 それからの記憶はない。


 ただ、気づいたら舞台から下りていて、理事長に口パクで『長過ぎる』と言われた。


 …僕は何を言ったんだっけ。


 なになに?みんなの声が聞こえてくるな。


「…あいつ、本物かもしれないな」「ああ。こんなところで自分の夢を堂々と語れるようなやつなんていない」「『』って…子供かよ」


 あ、なるほど。理解。


 つまり僕は壇上で、前世にずっと憧れていた『異世界無双』について語っていたのか…なるほどね。


 ……


 …


 恥ずかしすぎるだろ!!!


 いくら俺が無双したがりの変なやつだとしても、さすがに恥ずかしすぎる!!!


 やばい…意識が無かったのが悔やまれる…


 いや、あったらあったで無理だわ。


 何も話せずに案山子になるわ。


 っていうか異世界無双って…


 無双の場に来れたからもう半分叶ってるんだよな〜


 …まだ無双できていないけど。


 まだ叶っていないが、いつか無双して見せる!


 絶対に俺TUEEするんだ!


 ―――――

 そして今に至る。


「あのさ、ヨシノちゃん。自分で言うのもアレだけどさ、どのへんがかっこよかったの?僕はただ無様な姿を晒しただけのような気がしたけど」


 ヨシノちゃんは一瞬キョトンとして、任せとけと言わんばかりに胸を張り(大きい)、目をキラキラさせて言った。


 今思えばこの質問はするべきじゃなかった。


 でもまさかこんなところで一日を終えるなんて思ってなかった。


「それはですね…」


 ――――

「――それでですね、夢を一生懸命語るシガン様は…」


 終わらない。


 おかしいな。この話をヨシノちゃんに振ったのって昼頃だった気がするんだけど…


 なんで日が落ちているのかな〜?


 まあ、さすがにそろそろ終わってくれるかな?


「――まさにさすがと言ったところで、…」


 だめだ。終わらん。


 このままだと一生をここで過ごすことになるな…


 …仕方ない。最終手段だ。


「ヨシノちゃん、ちょっとごめんね。『初級:微雷・改』」


「え?なんです…か……」


 ヨシノちゃんはすうすうと眠りにつく。


 今のは光魔法の微雷の応用。


 簡単に言うと、脳内を流れる電気信号をちょっといじって寝るようにしたということだ。


 最初に試した時は、そんなに簡単に行かないと思ってたけどなんと一発で成功した。


 もしかしたら、地球と異世界では体のつくりが少し違うのかもしれない。


 魔法に適応した体だからだろうか。


 とにかくヨシノちゃんを理事長に渡そう。


 あの孫バカならなんとかしてくれるだろう。


 とりあえず僕は早く寝たい…


 ずっとヨシノちゃんの話を聞いてたからかな…


 僕は足早に宿へ向かった。


 ―――――――――――――――――――――


追記

主人公の一人称変えました。

一応全て変えたつもりですが、変わってないところがあったら教えて頂けると助かります。






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