異世界無双に憧れて!
みさか/UN
第一章 安寧
プロローグ
少年には夢があった。
その夢とは、「異世界に行って無双したい!」だった。
その夢を小学ニ年生で志した彼は、毎日片道1時間かかる神社に通い、毎日願った。
「異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双異世界無双……」
読書感想文では、異世界無双系のものばかり書いた。
小学校の卒業文集では、「将来の夢は異世界で無双することです。」と書いた。
彼の頭の中はただひたすら「無双をしたい!!」それだけだった。
そして彼は高校生になった。
地元では底辺と言われている高校である。
しかし、彼は要領が悪くないため、中学校時代の成績はそこそこよかった。
ならなぜそんな高校に入ったか。
理由は簡単。
「勉強しなくても定期テストで点が取れる」
ただそれだけである。
高校生になって自由度が増えた彼は、各地の寺社仏閣を巡り、そこでもひたすら「異世界無双」を願った。
そして時は流れ、彼は結婚した。
相手はとある神社の巫女である。
尚、博麗神社ではない。
なぜ巫女と結婚したか。
理由は簡単。
「神社に婿入りすれば、いつでも祈れるじゃん」
そんな理由である。
だから、ぶっちゃけ相手のことは好きだが、結婚したいほどでもなかった。
そして時は流れ、彼は中年と言われる年になった。
そして、彼は神社に入っている庭師からこんな話を聞いた。
尚、庭師は半人半霊ではない。
「日本アルプスの森の中に願いを叶える魔女がいるらしい」
もちろんこんなもの眉唾だろうが(実際庭師は笑いながら話していた)、彼は一縷の望みに賭けることにした。
尚、その森は魔法の森ではない。
そして、彼は日本アルプスと言われる飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈の山々を回った。
もちろん見つからず、山登りという趣味だけが残った。
そして時は流れ、曾孫までみるような年になった。
そしてある日彼は、テレビ番組で「河童特集」をやっていたのを見た。
今までなら気にも止めなかっただろう。
しかし、今の彼は血迷っていた。
そして、もうすぐ死期が迫っているのに異世界無双できていないことを、非常に焦っていた。
だから、カッパ伝説があるというとある沢に来ていた。
そして、かなり歩いたので一休みしようとしたところ、なんと―――
――ガチでいた。
彼は興奮し、沢に駆け寄った。
しかし、不運なことに彼は疲れていた。
なので、沢の前で足を滑らせて頭を打ち――
この世を去った。
余談だが、彼の死体の近くには工具が落ちていたという。
―――
『へぇ〜彼、面白いね!』
『そうですね…こんなにも必死になって…よく諦めなかったもんですね』
『あ、そうだ!』
『なんか嫌な予感が…』
『よし!彼を記憶残したまま異世界転生させちゃおう!』
『ええ〜おもしろそう!……なんですけど、報告書書くの私ですよ?そもそもあまり輪廻や下界に干渉しすぎるとまた厄介になりますよ?』
『まあ大丈夫でしよ!だから頑張ってね〜』
『まったくもう……報告します書くの結構面倒くさいのに…』
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