第一章 1-13 俺の見合い相手がこんなに可愛いわけがない
こうして、強引お節介見合いババアに屈服してしまった僕、堀江咲也だったが……
「これで勝ったと思うなよ……クソババア……クックック……」
ババアから持ち込まれる話は、あくまで【見合い】である。
そこがミソなのだ。
古今東西、お見合いとは、男女「双方」からの同意が得られなければ成就しない。
「つまりだ!」
片方がカップリングを拒否すれば、自動でキャンセルされるのである!
いくらアルコ婆に縁組を強要されようと、形だけ顔合わせして適当に断ればいいのだ。
「勝ったな! ガハハ!」
異世界スーパーライターの物語構成力を以ってすれば、この程度の論理構築は朝飯前である!
異世界の婚活ストーキング婆さん程度に負けるはずがないのだ。
「それにしても……」
アルコ婆から渡された、見合い相手の肖像画だが……
ぶっちゃけ、相当、好みである。
透き通るような白い肌にサラサラの金髪、長い耳の――――麗しきエルフ。
異世界ラノベでは、エルフは美女の代名詞的に使われるが……本当に美しい。
それでいて、芯の強さを感じさせる
柔らかな笑みからは、知性と思慮深さを感じる。
そして、豊穣の女神を象徴するかのような乳房。ご立派、の一言。
「ううむ……」
率直に言って、容姿だけならケチのつけようがない100点彼女である。
「あの婆さん――エスパーか?」
異世界特有の魔法使いなんだろうか?
読心術でも会得していなければ、ここまで僕の好みを汲んだ人選など出来るはずがない。
だって!
眼鏡だよ! 眼鏡エルフだよ! どっから探してきたんだ? こんなニッチな人材?
拙者、ケモフェチでもエルフでもないが、眼鏡エルフとか辛抱たまらん侍!
結婚は無理でも、割り切ったお付き合い程度であれば……
「いやいやいやいや!」
それはダメだ! たとえ異世界であっても不可不可!
女の子を雑に食い散らかすような真似したら、ばあちゃんに怒られてしまう!
そんな横柄な態度を取る奴は、お天道様に顔向けができない。
世間に後ろ指さされるような生き方をしてはいけない――――そう躾けられて育ったのだ。
「誠実に、立つ鳥、跡を濁さず!」
丁重にお断りして、元の世界へ帰るのだ。この堀江咲也は!
「だいたい、こんな可愛い眼鏡エルフが現れるわけないじゃないか! 盛ってるに決まってる!
…………ん?
……てことは、つまり?」
あ、そうか。そういうことか。
ふっふっふ……
「謎は全て解けた! 婆ちゃんの名に賭けて!」
論拠は、この絵だよ!
この(見合い用の)肖像画自体が矛盾を
「つまり――――
こんな可愛い女性なら、富豪や貴族に求愛されまくり=かぐや姫状態でも不思議じゃない。
わざわざアルコ婆に縁談の斡旋を頼む必要がないじゃん。
「ハイ論破!」
この絵は嘘だ! モリモリ盛りすぎのフェイク画像だ! こんな見合い相手は来ない!
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