08:3年生のクリスマス
勉強尽くしだった夏休みはあっという間に終わって秋になり、そして肌寒い季節になってくると、いよいよ受験が現実味を帯びてきた。
どことなく教室がピリピリとしているのを感じる。
かく言う私も、受験が近付いてきてちょっとナーバスになってきている。
もし、私だけ受験に失敗したらどうしよう。
コタくんと離れ離れになっちゃったらどうしよう。
そんなときに、コタくんが違うクラスの女の子に告白されたらしい。
コタくんは私と付き合ってるから、付き合うことはできないってはっきりと断ってくれたみたいなんだけど、彼女がいる人に告白するってどう言うことなんだろうとプリプリとしてしまった。
そして、「コタくんが色々な人に優しすぎるのも悪いんだと思うの」ってコタくんに八つ当たりまでする始末。
そんな最低な私にコタくんは「ごめんね。弥生を心配させちゃったね。だけど、安心して。俺は弥生のことが一番好きだし、他の人なんて目に入らないから」って言ってくれる。
やっぱりコタくんは優しい。
私も「コタくん以外なんて考えられない」と言って思いっきりハグをした。
コタくんのことは誰にも渡さない。
コタくんはずっと私と一緒にいるんだ。
もし高校が別々になったら、多分コタくんは女の子にモテちゃうと思う。
中2のときは爽やかな笑顔が素敵な男の子だったけど、今はそれだけじゃなくイケメンになってきているのだ。
コタくんは「デートしてて隣に歩いてる男がダサいと嫌でしょ?」と言って、髪型も気を遣ったり体を鍛えたりしていたのだ。
しかも成長期と言うこともあり、身長だって175cmくらいになってスラッとした感じになっている。
こんなの絶対にモテちゃうよ!
コタくんを死守するためにも、絶対に同じ高校に行く必要があるのだ。
私は受験にナーバスになっている場合じゃないと、気を引き締めて受験に再び向かい合うのだった。
そして、あれよあれよの間に時は経ち、私たちにとって二度目のクリスマスイブの日になった。
この日もコタくんを我が家に招待をして、一緒にクリスマスイブを祝うことにしたのだ。
前日にはコタくんのお母さんから「私がお仕事で夜はいつも遅いからクリスマスを一緒に祝うことができないんです。だから弥生ちゃんのお宅にご招待してもらえて本当に感謝してるの。ありがとう」とお礼の電話があった。
私とコタくんが付き合うようになってから、実はお母さん同士も仲良しになったんだ。
実はコタくんのママの帰りが遅いって知ってから、ちょくちょく私の家でご飯を食べたりするようになって、それがきっかけでお母さん同士もやり取りをするようになった。
最初はコタくんのママも恐縮してたんだけど、お母さんがコタくんのことめちゃくちゃ気に入ってるので全然問題ないの。
それどころか、コタくんのママに「早く弥生と結婚して欲しいって思ってるんです」なんて言う始末。
コタくんのママはそんなこと言われて心中複雑だろうなって思うけど、自分の息子が愛されているのが嬉しいのか、家で会話するときはいつも私たちのことを話しているらしい。
なんか私がいないところで、コタくんのママと私のことを話してるって思うと嬉しくなっちゃうよね。
なんて考えてたら「ピンポーン」ってインターホンが鳴ったので、私は睦月に負けないようにダッシュしてドアを開けてやった。
私に競り負けた睦月は後ろで「うぅ〜!」って唸ってるけどそんなことは全然気にしない。
「コタくん。メリークリスマス」
「メリークリスマス。今年も誘ってくれてありがとね」
「ううん。来てくれてありがと。ささ、寒いから早くお家に入って」
私が家に入るように促すと、睦月がここぞとばかりにコタくんの胸に飛びついた。
コタくんはその勢いに負けて、ちょっと後ろによろけたけど鍛えているだけあって倒れることはなかった。
「何やってるのよ、睦月! 危ないじゃないの!」
「えー、大丈夫だったじゃん。いつもお姉ちゃんばかりズルイんだもん」
何が「ズルイんだもん」よ!
私の大好きな彼氏にそんな甘ったれた声を出しちゃって!
私は睦月とコタくんの間に入って、無理やり引き剥がしてやった。
睦月は「もぉ〜意地悪! バカ!」と私に悪口を言うが全然気にならない。
コタくんは「もっと仲良くしろよ」と笑いながら私の頭を撫でてくれる。
もう!
何このイケメンな感じは!
好き!
大好きだよ、コタくん!
クリスマスは去年と一緒で、お父さん以外の家族とコタくんで行われた。
コタくんは今年も家族全員にプレゼントを持ってきてくれた。
そして、流石に今年はお母さんや睦月も用意していたらしく、コタくんに「どうぞ」と手渡している。
お母さんからのプレゼントは、私とお揃いの手袋で睦月は『私を一日自由に出来るカード』を渡していた。
それを見た私と喧嘩になったのは言うまでもない。
睦月とのバトルが終わって、コタくんと私の部屋に行くと「はい。今年も弥生だけに特別なプレゼントだよ」と言ってまた小さな小箱を手渡してくれた。
去年はネックレスだったけど、今年は何をプレゼントしてくれるんだろう?
私は「コタくん大好き」と言いながら抱き着いてから、「開けてもいいかな?」と上目遣いであざとさを演出しながら聞いてみる。
それを見たコタくんは、私の頭を撫でながら「もちろんだよ」と言ってくれたので、去年みたいに慎重に包装を解いた。
中に入っていたのは、とても可愛らしい腕時計だった。
「うわぁ……。とても可愛い腕時計だね」
「もう来年は受験だろ? その時に腕時計があったら便利だと思ってさ。――気に入ってくれたかな?」
「当たり前だよ! この腕時計をつけてるだけで、受験絶対合格しそうな気がする!」
「あははは。弥生は大袈裟だな。――だけど、うん。受験合格して、同じ高校に三年間過ごそうな」
コタくんの顔を見ていると、とても頬が熱くなるのを感じた。
(あっ、ダメだ。今すぐコタくんとエッチしたい)
私はコタくんの手を思いっきり引っ張って、自分のベッドに引き摺り倒した。
そして、そのままたくさん物凄く濃いキスをしていると、コタくんも興奮してくれたのか思いっきりエッチをしてしまった。
家族がいるので、必死に声を出さないように我慢してたけど、バレずに済んだだろうか?
けど、もしバレちゃってもいいよね?
だって、こんなにもコタくんのことが大好きなんだから。
「コタくん。気持ち良かったかな?」
「あぁ、弥生とのエッチはいつも気持ち良いよ」
「私に飽きたりしないでね? コタくんがエッチできるのは私とだけなんだからね?」
「当たり前だろ? 弥生だって俺とだけなんだからな? 俺たちはずっと一緒だよ」
「うん。私も一生コタくんだけだよ。大好き」
私たちがエッチをしてちょうど明日でちょうど一年になる。
多分来年の今頃もこうやって幸せな
22時になると、お母さんがコタくんを家まで車で送ってくれることになっている。
私たちはそれまでズーっとイチャイチャしてて、今年も本当に幸せなクリスマスを迎えてるんだろうなぁ。
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