第7話 自由を手に入れました
やった。住民権を得られるとは思わなかった。しかも、お金まで!いいことをすると返ってくるな。あの門番は世話焼きなのか、少し私を疑っているのか…どっちもだろうな。迷惑はかけません。宿は朝一で出た。もう会うことはない。
この国の通貨の単位はペントだ。祖国とあまり価値は変わらないようだ。野盗の懸賞金額は百万ペントだった。基本がわからないので大物か小物かどうかは分からない。その半分の五十万ペントが貰えた。住民権は四十五万ペントしたので、五万ペント残った。宿代に少し使ってしまったがまだ少しある。お金の心配はしていない。もう少し都会に移動して収納しているドレスを売ればまたお金は出来る。
ああ、楽しい。こんな感覚は久しぶりだ。私は自由になったのだ。
名前は、ルイボス。通称ルイ。前の国の名前は捨てた。一般人に苗字はない。あるのは貴族だけだ。以前はもちろんあった。
なぜにルイボス。前の名前とはまったく関係ない。ルイボスティーが好きだったことと、ルイにしたかった。昔読んだ少女漫画の主人公の名前だ。どこの国の出身だとかは名前で分かってしまうかもしれないので日本の名前にしたのだ。
ルイは古着屋に入りこのアルベルスの若い人が着る古着をなんとか値切り購入した。門で貰った古着は二千ペントで買わされた。はっきりいってサイズも合っておらずおばさん用でダサい。所謂売れ残りを渡されたのだ。この古着と交換して安くしてもらったのだ。王妃からの贈り物の少々汗臭いドレスは異国専門の古着屋を紹介してもらいそちらで売った。少々汗臭いとはいえ高級な品物だったのでいい値段で売れた。一気に百五十万ペントにもなった。その足で銀行にも向かい開設する。住民権カードを取り出しそのカードで入出金が出来、支払いも出来る万能カードだ。祖国にはまだなかった制度だ。宿もこれで支払いが出来る。
これだけあれば、ゆっくり仕事を捜せるな。よかった。
前の国ではルイの家系は上級貴族に入ってはいたが上級の中の下級であった。しかし、王子の婚約者となったことで王妃や第一王子たちからの贈り物や、世間体を考えた両親がいいドレスを購入してくれていた。他にも恩恵を預かろうと貴族たちから色々な高価な贈り物も頂いていた。それもすべて魔法の絨毯に詰め込んだ。売ればかなりのお金になる。
今日は宿を決めて明日仕事を探そうと思い、ルイは古着屋から近くの待合馬車で移動して落ついたのは繁華街から少し離れたところだ。繁華街の中心だとお金持ちが多くなるので少し離れた公園や学校などの施設がある子供がいるような場所で宿を探した。
小さな宿を見つけた。朝食付きで五千ペントだ。安いな。
そういえば、仕事ってどうやって探すのかな?
「そりゃ商人ギルドか商業ギルドに登録するんだね。冒険者ギルドは荒くれ者ばかり集まる所だもの、女の子は向かないね。商業は店を持ちたいとか商社を立ち上げたい人が登録するから、あんたみたいな女の子は商人ギルドがいいと思うよ」
と、朝食を頂きながら宿屋の女将が教えてくれた。
お礼を言い、商人ギルドに向かう。まだ、早いのか商人ギルドに向かう道のりには人が少ない。宿屋から徒歩一時間くらいだろう。待合馬車があるが歩いて街を見て回るのも楽しかった。お店などが色々あるがまだ開いていない。帰りにまたショッピングをしよう。
ゆっくり歩いて商人ギルドに着くとちょうどよかったのか出入りをしている人がいる。開いているのだとわかって、受付を捜す。
職員らしき人に仕事を探していると言えば、受付まで案内してくれた。無事登録を終えた。
「どういった職種をお望みですか?」
「以前、銀行に就職が決まっていたのですが婚約してなくなりました。なので仕事はしたことがありません。あっ婚約は解消しました」
ここはすべて正直に話す
「なるほど、銀行に就職が決まるなんてとても優秀なのですね」
職員はルイをチラチラと見ている。うそではないがそんな風には見えないのかも知れない。祖国に居た頃は地味な見た目で優秀さが余計に際立っていたかもしれない。しかし今は金髪碧眼の美女になっている。
門に助けを求めに行った時は髪も瞳も真っ赤に変えていた。そして門の近くの宿を離れる頃には元に戻した。無属性は自由に髪も瞳の色も変えられる。
またこの街でも色を変えよう、何色にしようか。多いのが金髪碧眼だ。緑もオレンジも多い。私がキレイに見えるのは金髪碧眼だな。髪や瞳の色を変えるだけでこんなにも印象が変わるのか。すごく美人に見える。
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