133.
長話をしてる間に、加工部隊の面々がクローマウルフの死体に近づいていき、俺も優李さんも一緒に進んでいるが、優李さんと遊んだであろう人は少人数しか居らず、誰なのか気になっていた。
その中でも分かる事があるとすれば、俺では無い。
話では聞いては居たが、実際に一緒に遊んだ事も無ければ、連絡を取り合った記憶すら無く。可能性としては友宏とセットの、回復役の
「そっか、会えると良いな…」
何方かと言うと会わない方が幸せかもしれないが、
「はい。でも実際に行くとなると、後任って色々と面倒ですよね。いっその事兄に全て任せて、私が代理で行こうかな」
割と本気な様子で優李さんが、顎下に指を立てながら首を傾げていたが、それをされては此処の命運も、その時までという事になってしまう。
そんな命運を、少しなりとも担っている加工部隊の面々は、泉さんが平然と触る中で、腰が引けてる状態で摘むようにして、触ろうとしていた。
「早く一人一つ取って下さい。順番よく行きますね」
子供が平然と行っている事に疑問を持つ筈も無く、泉さんは他の大人達を、その意図が無くとも急かす感じに言葉を放っていた。
「…ねぇ、どうして君は平気なの?」
加工部隊の一人の女声が、代表するように泉さんに訪ねていたが、やはりその意味を正しくは理解してないみたいだ。
「何の事ですか?」
素で返した泉さんを見て、他の面々が呆気に取られるも、訪ねた女性は言葉を返していた。
「…その、ウルフの死体を触ったり、切ったりする事を…」
「あぁ、別に普通なんじゃ無いんですか?だって、皆さんだって、魔物が居なくても牛さんや、魚を食べてるじゃないですか」
「…確かにそうだけど」
「ん~じゃあ、やりたくない人は、他のお仕事を頑張って下さい。私は怒られたく無いので、皆さんに今日は教えますけど、やりたくない人までやらせる気は有りませんので」
流石に木に成ったまま、泉さんにこれ以上、聞かされても嬉しくない質問をするなら止めようと、動こうとしていたが、それよりも先に泉さん自身が放った言葉で済んでしまった。
見た目幼女な、女性にそんな事を言われては、男性は流石に譲れない何かがあったのか、ガッと手を動かしウルフの死体を掴み取り。女性陣も中村さんの一声で掴み始めていた。
そんな中で近づいて行った九藤さんも、一匹のウルフを引きずり出していた。
「九藤さんもやるんですか?」
「はい。一応職業とステータス値は有るので、経験に一回はやって行いと、示しがつきませんので」
何と良い上司なのだろうか。
俺も部下にしてもらいたい。
「なら俺もぉ…」
「「「ゥォオオオォオオォンッ――」」」
自分で肉を食いたい俺も参加しようと考えた途端、大きなテントの中にまで重くなった遠吠えが聞こえ、全員が一斉に手を止め、何も見えなくとも周囲に目を向け首を動かしていた。
触る前に来てくれて良かったけど、近接やったら結局汚れるんだよな。今回は他に任せるか、戦うか、迷うな。
「さて、それで此処から刃を入れるのですが、その前にナイフ渡しますね」
他の人ですら動きを止め、俺はのんびりと考えている中で、泉さんは一回首を動かし直ぐに戻すと。何事も無かったように続けていた。
なんて頼もしい子、なのだろうか。
「この状況でもやるんですか!?」
「そうですよ、流石に危険じゃ」
動揺が起こる前に、森田さんと中村さんが率先して意見を言うが、九藤さんも含めその答えは否定的なものだった。
「いえ、皆さんはそのまま作業をしていて下さい。僕は戻って」
「あぁ良いよ、良いよ。もぅぐちゃって汚れてるんだし、そのまま九藤さんも解体ショーしてて下さい。その手じゃ一回拭いて武器を持つのも面倒でしょ」
「それじゃ最初に、中腹から下に向けて皮を切って…」
「「「「………」」」」
待ったなしに、泉さんの解体はゆっくりと始まり。九藤さんだけで無く、他の面々も明らかに戸惑っていた。
狂ってるイカれてるなど、外で戦ってる人はともかく、ただ怯えて待つ人や、非戦闘員からすれば、いま解体を始める事は理解されないかもしれないが、逆に手を動かさない者よりは、これが正しい筈なんだ。
「皆さん、早く捌き方を覚えないと、一日で何十、何百って数が来ますよ。それを、頑張って終わらせるのが、私達の役割です」
泉さんが話ながらも解体を進め、意図的に浅く切り、もう一度見せながらゆっくりと刃を通し。九藤さんが見様見真似でやり始めた事で、全員が黙々と作業を始めていた。
「千田さん、私達はどうします?」
「あれ、俺に聞くって事は、急いで外に駆けつけたりしないで、大丈夫なの?そっちは」
「はい。どっかが壊滅したり、あの大きいなウルフが来た、とかじゃ無ければ対応出来る、指示は出してあるつもりです」
「無駄だと思うけど、一応外には行ってみようか」
「お供します」
解体している人を残して、お供優李さんを連れた俺は、テントの外に向かって歩いていた。
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