57.
「やっと会えたぁあ」
「
「まきっちいぃー」
全くゴブリンが居ない道を進み続け、進行方向で戦う人影を捉える事が出来たので近づくと、ようやく追いつく事が出来た望奈さん達だった。
望奈さん達は住宅街の道で戦っていたが、小村さんに気づいた前澤さんと白浜さんは駆け寄って来て前澤さんは小村さんに飛びついた為に、女子ワールドが形成されたので俺は静かに離れていると、望奈さんと五島さんが俺の所に来たのだった。
「どうしたんですか、二人揃って、何だか問い詰められてる圧迫感を感じます」
「千田さん、使ったね?」
「え~っと、何の事でしょうか」
「貴方さっき使ったわよね?」
「その~」
「使ったね!?」
「使ったわよね!?」
「はッ、はい」
俺は大人しく自白したのだった。
「僕は、何て報告すれば良いんだ」
「すいません」
「まぁ小村さんを無事に連れて来た事は評価するわ。てか貴方、小村さんに変な事してないでしょうね」
「してません、微塵もその様なハプニング的出来事はありませんでした」
「そう、なら良いわ」
「いや、別に僕も責めたい訳じゃないんだけど、どうしよう。まさかこんな直ぐに使われるとは思って無かったよ…もう少し戦況がごちゃごちゃしてる時だったらどれだけ良かったか」
「ほんと、すいません」
「五島さん、ご迷惑をおかけします」
「千田さん、真姫が迷惑をおかけしました」
「気にしないで下さい、別に何も無かったですから」
嘘だ、まさか走れないという地雷だったなんて、知らなかったし、その点ではかなり苦労させられた。
「それは良かったです、本当に…」
「ん?小村さんには何か懸念事項でも?」
「いえ、そういう訳ではないです」
とても怪しい。
もし九藤さんが最初から小村さんの体力の無さを知っていたのなら、流石に少しは言ってやりたい、というかパーティーメンバーが知らないって事があるのだろうか。
「そろそろ手伝って欲しいっす!」
「マジックアロ…」
俺達がのんびり話してる間も、戦闘を続けていた麓山さんが要求が来たので、申し訳ないと思いながら俺はマジックアローを飛ばし、麓山さんの近くに居た一匹のゴブリンの脳天を貫き殺した。
「あ、有難うございます」
「いえいえ」
そして視界の端から何かが高速で飛んでいき、麓山さんの近くに居た別のゴブリンのこめかみには気づいた時には矢が刺さっているのを見て、横を見れば弓を構えてる望奈さんが居た。
「ぁ、有難うございます…」
「私の方も話してばっかりでごめんなさいね」
「お二人共」
「何か?」
「どうかされました?」
「何でもありません」
「ほら、九藤さんも五島さんも早く行って戦ってください」
前線として頼もしい五島さんを戦闘に促しながら、俺は再度マジックアローを放った、すると今度は敵が弱かったのか分からないが、一匹のゴブリンの頭を貫いたマジックアローはその勢いでそのまま二匹目の喉元に刺さり、口から血を流し悶え苦しみながら倒れ動かなくなった。
「そういえば、望奈さん大変な事が判明しましたよ」
「何よっ」
近寄って来たゴブリンを足で蹴り飛ばしながら望奈さんが返事をしながら、追い打ちで更に蹴ろうと体勢を立て直しながら後方に下がっていた。
「Lv10から必要経験値が10倍になりました」
「えッ?!わぁッ」
俺の方を咄嗟に向いたためにバランスを崩し、足を滑らせ背中から転びそうなった望奈さんはどうにか、滑らせた足とは逆の足を曲げ地面に着く事で何とか体勢を保ってはいた。
「んんっ…何見てんのよ」
「すいません」
「それで。10倍って何?11になるのに1000は必要って事?」
「はい。マジックアロー、その通りです。マジックアロー、なのでLvが11に上がれると思ってると痛い目に遭うかもしれません」
お互いに話しながら、近寄って来るゴブリンや遠く居て、こちらに寄って来そうな奴を優先的に倒しながら話しをしていた。
「というか、貴方もう10になったのね、まだ私8なのに」
「まぁ色々ありましたから」
「…そうね。ともかくその情報は皆にも教えておきたいけど、もう着いたみたいね」
「みたいですね」
進んでいた道を抜け目を前に向ければ、片側だけで4,5車線はありそうな大きな道路が見えるはず場所は緑色に染まり、奥に見える市役所に近い場所程その緑色は隙間なく存在していた。
「きっしょッ、マジ無理なんですけど」
前澤さんのその発言に誰かが反応する訳でも無く、その数に言葉を失っていた、それはこのふざけた戦いが始まった時に見た数よりも、目に入ってくる数が圧倒的に多く本当の意味で、数の暴力という意味を知った気でいたと、思い知らされたからだった。
「5万は居ますね」
「なるほど半分か、五島さん今直ぐあそこに、特大のミサイル飛ばしちゃってください」
「出来ないし、出来たとしてもそれは止めた方が良い」
「どうしてですか?」
「あの壁が空気も通さないからだ」
五島さんが声を発しながら空に指を指し、人とゴブリンが逃げられない様に囲っている壁を示した。
「確かに、貴方が想像してそうなレベルのミサイルが大爆発して周りの物を燃やし始めたら、私達は酸欠に陥って死ぬ可能性が出てきそうね」
「そういう事だから、千田さん無理だ」
「はい…」
五島さんと望奈さんの二人に俺の楽観的考えは消え去られた。
「なら、一人1万倒すか、親玉倒すかだけど、どっちが良い?」
「親玉」
「ボスです」
「偉そうなの」
「暴れてやるぜ」
「大将を取ろう」
「後者ね」
「楽なほぉ~」
「どっちでも」
「任せます」
意見が纏まってる、そんな風に思えなくも無い様な状況で俺達はこれから、敵の強そうな奴を探し倒す事で改めて決まったのだった。
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