28.脱出
チャラ男は死亡した、その取り巻き達も。
これで良かったのかは、分からない。
俺は神でも何でもなければ正義の味方を名乗るつもりも無い、ただ自分の心意に従うだけだ。
普通なら法律に従えとか言う奴も居そうだが、今のこの世界でそんな事を抜かす奴が居るのならそいつはおめでたい奴だろう、法律でどうにかなるのなら、モンスターは人を殺してるんだ早くさばいてくれ、な?無理だろ?ならそういう事だ、これが現実でその考えは理想に過ぎない。
「望奈さん、外の状況は把握してますか?」
(やることは沢山あるんだ、のんびりなんてしてられない)
「外で何かあったの?」
やはり何も分かっていなかったか。
ここは門がある場所からはだいぶ離れてるからな、しかもこの校舎、中廊下の窓と教室の窓は二重だから防音がバッチリしてやがる。
確か飛行機や戦闘機、電車が近くを通る学校は子供の集中力を阻害しないためにかなり防音に力を入れるからな..。
今回はそれが仇に・・・嫌、こいつらの悲鳴を塞いだと考えれば吉か。
「外は今、ゴブリンの大群が押し寄せてきて大変なんですよ」
「今そんな事になってたのね全然気づかなかったわ」
「無理もないでしょ、自分の身が一番なんですから、それでこれからなんですがどうしたいかってありますか?無いならここを出ます」
「助けなぃ.....そうよね、貴方の考え方なら助けないわよね、それに、私もそんなに助けたいとは何だか今は思えないわ、良いわ貴方のやり方に任せる」
「わかりました、なら早速で悪いんですけど移動しますね、大丈夫そうですか?」
「なんとか大丈夫よ」
俺は望奈さんの歩行速度に合わせながら教室出て、来た出口を目指し二人で慎重に外に出た。
―
―
―
「敵は居なさそうね」
(おや?)
もうフラグ建築士としての仕事を果たそうと?
個人的にはまだまだ、休んでていても一向にかまわないが。
「ギィィッッッ」
そんな唸るかのようなゴブリンの声は勿論、俺達が慎重に開けたドアの反対側から聞こえた。
つまりドアを開けた事で綺麗に隠れる形になっていたのだ、なんでそんあ位置に居るんだよ。
「ギィイイイキャッキャッキャアア」
ゴブリンは飛び出てきて、手に持っていた石で先頭に居た俺を殴ろうと、石を持っている手を振り下ろそうとしてきた。
慎重にドアを開け、外の様子を伺っていた俺と望奈さんは今しゃがんだ状態だ、この状態ではゴブリンの背でも人の頭を狙うことは十分に可能だった。
(まずい、食らったら死ぬ)
俺の防御力なんて未だに元の人間と変わりない、そんな俺が普通の大人より力のあるゴブリンに石で殴られれば普通に死ねる。
「マジックバリアッ」
なるべく、早口でそれでも発動してくれないと困るので滑舌も意識して俺は魔法を使った、そして魔法の薄い半透明な壁はちゃんと機能してくれようで、ゴブリンの攻撃を防いでくれた。
ゴブリンは予想もしていなかった場所に現れた壁を殴ってしまった事で、軽く仰け反ってるがそれ程、大きい隙きにはなっていない。
俺は魔法の壁を解除して、体勢がクズれているゴブリンの腹を思いっきり突き放す感じで蹴る。
そしてゴブリンは後ろに倒れそうになってた所、思いっきり蹴られ2m程後ろに蹴り飛ばされたのだった、俺はそのまま「マジックアロー」を使いとどめをさす。
「はぁ、はぁ、もうッ本当に疲れるって」
「どうして貴方は、モンスターを相手にしてる時の方が辛そうなのよ」
「んっ‥なんの事ですか?」
「……」
なんですかその目は、人を疑うのは良くないよ。
「てか、不味いかもしれませんね」
「何が?」
「望奈さんはあの自衛隊の人達がこんな所までゴブリンを入れてしまうヘマすると思いますか?、ここまで入ってるって事は既に防衛ラインは崩壊してるかめっちゃ下がってるって事ですよ」
「あぁ..確かに! まずい状況ね、でも私達は逃げるのよね?」
「はい、勿論逃げますが、望奈さん弓、要らないんですか?」
「あ・・・・要る。ダメ、諦めるなんてダメよ、絶対取りに行きましょ」
「まぁそうでしょうね、と思って実はそこに置いてあります」
「えぇぇ、ちょッ何でこんな所にあるのよ、私ちゃんとダンボールのベットに置いてたわよ」
「持ってきたからに決まってるでしょ、てかなんで大切な武器を置いて、歩いてるんですかバカなんですか?」
「だって、お手……あら、ぃに、持って、行ったって……」
確かにな、だがあんたこれで二度目だぞ? 襲われるの。
少しは危機感もてや。
それにモンスターがどこに居るか分からない状況でよく武器おけるよな俺なら不安でそんな事出来ないわ、まぁ俺はマジックアローでってこの人も、マジックアロー使えるや無いかい! まったくもって忘れてた。
「いえ、何でも無いですごめんなさい、あの角を曲がったら体育館の様子を見れますので少し覗いて行きたいとか思いましたが、もし気づかれては危険なのでこのまま、反対側に向かって進みその辺の塀を登って敷地の外に出ましょうか」
それに、体育館の方からは銃声が鳴り響きまくっていた。
覗きに行って運悪く流れ弾が当たったら最悪だし、銃声が聞こえるならまだ自衛隊は生きてるって事だ、それならあの強い五島さんは高確率でまだ生きてるだろう今はその情報と考え方だけで十分だ。
「分かったわ、後、弓持ってきてくれて、あり がと」
「いえいえ、さぁ行きますよ」
少し恥ずかしそうにお礼を言う彼女の姿は可愛かった。
今の瞬間を動画で収めたかったぜ、そしたら永久にイジれたのにッ、それにしてもやっぱり愛用した物なのかは知らないが長年使ってた物には、何か特別な思い入れがありそうだな、望奈さんも。
そんな事を思いながら塀に向かい、俺が先に塀を超え後から望奈さんが続き二人で無事に外に出れたのだった。
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