それでもなぜか、起きてしまった。

それでもなぜか、起きてしまった。

 サー、というよわあめおとそとからこえた。ねむっていたわたしこすにはよわすぎるくらいちいさなおとだったはずなのに、それでもきてしまった。


 いたい。あさ四時よじ目覚めざめ。昨日きのう十一時じゅういちじぐらいにたはずだから、たった五時間ごじかんしかられていない。


 それでもなぜか、きてしまった。


 こんな時間じかんだというのに、あめっているのに、わたしんでいるアパートをてスーパーへものをしにくことにした。


 びた金属きんぞくせい階段かいだんりようとしたとき、あやうくすべってころびそうになった。みち水浸みずびたしになっていて、わたしあるくたびアスファルトのうえうすおおみずねた。さむさでかさがかじかむ。あきふかまって、気温きおんはたぶん十度じゅうどっているはずだ。いきしろく、同時どうじ空気くうきからだしんからやすようにつめたい。


 わたしはどうして、こんなことをしているのだろう。


 冷蔵れいぞうなかみたいにった二十四時間にじゅうよじかん営業えいぎょうのスーパーのなかで、わたし陳列ちんれつされた冷凍れいとう食品しょくひんから必要ひつよう食料しょくりょうえらしていた。


 きるためとはえ、このごろはそとるのも面倒めんどうくさかった。


 ちいさなかたまりみたいなものがくっついた鶏肉とりにくにとって、今日きょうのおかずをかんがえる。朝食ちょうしょくはシリアルののこりでいいとして、昼食ちゅうしょくはどうしようか? 夕食ゆうしょくは?


 どうせ調理ちょうりできるもののレパートリーなんて片手かたてかぞえられるぐらいしかない。そうおもって、結局けっきょく冷凍れいとうパスタとすぐにべられる野菜やさい果物くだもの以外いがいなにわなかった。

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