第15話 ウァサゴ テューポーン エキドナ ナカ コバ カト

「ナイモンしようぜ!」

 サトはナイト・オブ・モンスターというスマホ・ゲームで遊ぶのが好きだ。

「・・・・・・うん。」

 ナカは無口な10才の男の子。好きなナイモン・カードはキラー・ロボット。

「いいよ! やろうやろう!」

 コバは普通の10才の男の子。好きなナイモン・カードはスライム・メタル。

「いいぞ! まあ、勝つのは俺だがな!」

 カトは少し偉そうな普通の男の子。好きなナイモン・カードは魔王ドラゴン・キング。

「さあ? どうしよう? 4人で全員で戦う? 2対2で戦う?」

「・・・・・・任せる。」

「全員で戦おうよ! その方が誰が一番強いか分かるし!」

「いいぞ! 俺に勝てる奴がいればだがな! ワッハッハー!」

 こうして4人全員で戦うことになった。

「よし! ナイモン・ファイトだ!」

 サトたちは戦いを始める。

「よし! いくぞ! サトの名において命じる! いでよ! スラちゃん!」

「スラ!」

 サトはナイモン・カードからスラちゃんを呼び出す。

「スラちゃん! 変身だ!」

「スラ!」

「スライム! 変身!」

 スラちゃんは鎧に変身し、サトの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! スライムの騎士! スライム・ナイト! 参上!」

 サトはスライムの騎士に変身した。

「・・・・・・スライム。」

「勝つ気はないんだね。」

「俺の勝ちだな。」

 相手にされていないサト。

「・・・・・・ナカの名において命じる。いでよ。キラー・ロボット・マーク2。」

「キラキラ!」

 ナカはキラーロボットの新型をナイモン・カードから呼び出す。

「・・・・・・ナイモン。変身。」

 キラー・ロボット・マーク2は鎧に変身し、ナカの体に装着していく。

「・・・・・・ナイト・オブ・モンスター。キラー・ロボットの騎士。キラー・ロボット・マーク2・ナイト。」

 ナカはキラー・ロボット・マーク2・ナイトになった。

「すごい! キラー・ロボットが進化している! カッコイイ! アハッ!」

「ロボット? ロボットがいるのか? ということは将来的に物語はロボットが出まくるんだろうね。ロボット・オブ・モンスターに出もする気かよ!?」

「それでも俺の勝ちだな。」

 サト一人だけ純粋にナカのキラー・ロボット・マーク2をカッコイイと思って喜んだ。

「コバの名において命じる! いでよ! 百目!」

「目目目目!」

 コバはナイモン・カードから妖怪の百目を呼び出す。

「百目! 変身だ!」

「目目目目!」

「ナイモン! 変身!」

 百目は鎧に変身し、コバの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! 百目の騎士! ワン・ハンドレッド・アイ・ナイト!」

 コバは百目の騎士に変身した。

「すげえ! 妖怪だ! 妖怪の騎士だ! ナイト・オブ・妖怪だね! あれ? 妖怪だから侍・オブ・モンスターの方がいいのかな?」

「・・・・・・ロボットの方がカッコイイ。」

「それでも俺の勝ちだな! ワッハッハー!」

 遂にナイモンに妖怪も登場する。何でもありだ。

「カトの名において命じる! いでよ! 魔王! ドラゴン・キング!」

「マオマオ! ドラドラ!」

 カトはナイモン・カードから魔王ドラゴン・キングを呼び出した。

「魔王ドラゴン・キングよ! 変身だ!」

「マオ! ドラ!」

「ナイモン! 変身!」

 魔王ドラゴン・キングは鎧に変身し、カトの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! 魔王ドラゴン・キングの騎士! ドラゴン・キング・ナイト! マオドラ!」

 カトはドラゴン・キング・ナイトに変身した。

「カッコイイ! 魔王ドラゴン・キング! アハッ!」

「・・・・・・ロボットの方がいい。」

「おいおい!? その内、課金者ばかりになったら全員、魔王のナイモン・カードしか使用しなくなったりしてな!?」

 恐怖の魔王ドラゴン・キングだけの争いの日が来るかもしれない。

「ナイモン! ファイト!」

 いよいよ、サト、ナカ、コバ、カトのサバイバル戦が始まる。

「・・・・・・くらえ。・・・・・・魔王。・・・・・・ポチットな。・・・・・・ニュークリア・ボム。」

 ナカは静かに核爆弾のボタンを押した。


ドカーン!


 爆発でキノコ雲ができる。正にナカはサイレント・キルであった。

「核爆弾!? そんなの有りか!? お、俺の魔王が負けた・・・・・・。」

 カトの魔王ドラゴン・キングは何もできないまま、ナカの先制攻撃の前に倒された。

「・・・・・・ロボット、カッコイイ。」

 相手を倒しても無口なナカ。

「はあ、はあ、はあ。危なかった!? スラエルに変身していなければ、光の速さで上空に逃げることができなかっただろう!?」

 サトは爆発の瞬間、スライム・ライト・ナイトに進化し、光の翼で上空に光速移動して核爆弾から逃れたのであった。

「ふう~。危ない。危ない。百目でなければ核爆弾を見切ることができなかったよ。」

 コバも爆発の瞬間は地面に隠れて核爆弾を逃れていた。

「・・・・・・二人も生きている? ・・・・・・なぜ?」

 ナカは核爆弾で全員を倒せると思っていた。

「ナイト・オブ・モンスターなのにロボットなんか出すから、話がややこしくなるんだよ! いくぞ! ナカ! 必殺! ライト・ソード・スラッシュ! 光に滅せよ!」

 サトは光の一撃でナカを攻撃する。

「・・・・・・ギャア。」

 ナカのロボットを粉砕した。

「これでサトと一騎打ちだね。」

 コバは楽しそうであった。

「悪いけど、僕のスラちゃんは負けないぞ!」

「それはどうかな? 僕の百個の目に勝てるかな?」

「なにを!?」

 サトとコバが対峙する。

「どうなっているんだ!? 俺の魔王がやられるなんて!?」

 何もしていないでカトの魔王ドラゴン・キングは敗れた。

「・・・・・・ロボットの方がカッコイイ。」

 ナカも核爆弾を撃って力尽きた。

「いくぞ! コバ! くらえ! スライム・ライト・ソード! でやあ!」

 サトの攻撃。

ミス!

「なに!? 僕の攻撃がかわされた!?」

 サトの攻撃をコバが避ける。

「百目の妖力をもってすれば、スライムの攻撃など見切るなど簡単だよ!」

 余裕と自信があるコバ。

「今度はこちらの番だよ! くらえ! サト! 必殺! 百目光線!」

 コバの攻撃。百目の百個の目から光線が放たれる。

「そんなの有りか!?」

 ありです。

「当たるものか! スピード・オブ・ライト!」

 サトは光速のスピードで百目光線をかわしていく。

「・・・・・・。」

「どちらも化け物かよ!?」

 ナカは言葉を失い。カトはサトとコバの戦いに驚愕する。

「攻撃が見切られるなら、かわせない一撃をお見舞いするのみだ! いくぞ! コバ! 必殺! スライム・ライト・ソード・スラッシュ! でやあ!」

 サトは通常攻撃を諦め必殺技で攻撃することにする。

「悪いな! それでも僕には当たらないよ!」

 コバは百の目でサトの攻撃を見切り避ける。

「バカな!? 必殺技まで通用しないというのか!?」

 サトは必殺技までかわされてしまう。

「悪いな。僕には未来が見えるんだ。」

「み、未来!?」

 サトの前に仁王立ちするコバ。


ピピー!


 タイム・オーバーベルが鳴る。

「ベルに救われたね。」

「そ、そんなことあるか! 戦いが続いていたら僕が勝っていた! アハッ!」

 強がるサト。

「そうしとくよ。ワッハッハー!」

 悪魔笑いするコバであった。

「・・・・・・もっとロボを強くする。」

「カードを取られなくて良かった。ほお~っ。」

 サトたちは戦いを終えた。

「今度は学校で一番強いナイト・オブ・モンスターを決める戦いだ! みんな! がんばろう!」

「おお!」

 次回からナイト・オブ・モンスターの全国大会に参加するための学校の代表を決める戦いが始まる。

「よし! 次は物語だ!」

 サトはストーリー・モードを始める。


「よし! 奈落を抜けて、僕は地上に戻るんだ! アハッ!」

 サトは奈落の神タルタロスに励まされ地上に向かうことにした。

「俺たちが案内してやろう。」

 そこに男女が現れる。

「誰だ? おまえたちは?」

「俺はテューポーン。」

「私はエキドナ。」

 現れたのはテューポーンとエキドナ。

「どうして道案内してくれるんだ?」

「俺たちは奈落の神タルタロスの子供だ。父親の客人なら俺にとっても客人だ。」

「それに私たちの母親は地上にいるの。お母さんに会いに行くついでよ。ついで。だからあんまり気にしないで。アハッ!」

 テューポーンとエキドナは奈落の神タルタロスの子供だった。

「タルタロスの子供たちなのか! それは頼もしい! 僕はサト! よろしく! アハッ!」

「おお! 任せとけ!」

「きっとあなた一人では冥界を抜けることができないわ。私たちは顔パスだけどね。アハッ!」

 サトにテューポーンとエキドナが仲間になった。

「冥界って怖いの?」

「冥界には冥王ハーデースがいて、冥王に仕える者たちがいるわ。私やテューポーンは奈落の神タルタロスの子供だから戦いを挑んでくる者はいないけど、あなたはどうかしら? 光の騎士の光を失い、闇の力も思う様に使えない。生き残る可能性がほぼ皆無ね。」

「そんな!?」

「何も知らないで奈落を抜けて冥界に行っていたら確実に殺されていただろうな。ワッハッハー!」

 テューポーンは笑う。

「親切のつもりが試練を与える。それも闇だ。オヤジの闇は深いからな。」

「・・・・・・タルタロス。良い神だと思ったのに。」

 サトは裏切られた気分だった。

「そうでもないわよ。だから私たちにあなたと一緒に地上に行くように言ったのよ。私のお父さんに感謝してよね。アハッ!」

「ありがとう! タルタルソース!」

 サトは少し皮肉った。

「ワッハッハー! タルタルソースか! そいつは面白い! さすが奈落でも生きている人間だ! 俺なら消されるのが怖くてオヤジの悪口なんて言えないぜ! ワッハッハー!」

 テューポーンとエキドナは屈託のない愉快な性格だった。

「よし! 行こう! 地上へ!」

「おお!」

 サトたちは地上へ向けて出発する。


「アガレスめ! 勝手なことをしよって! 奈落のタルタロスに目をつけられたら魔界と奈落で戦争が起こってしまうではないか!」

 魔界の魔王シュベルトはご立腹であった。

「ガミジン! ガミジンはおるか?」

「はい。魔王様。ここにおります。」

 悪魔ガミジンが現れる。

「冥界に行きハーデースに教えてやれ! 冥界を生身の人間が訪れるとな!」

「はい。かしこまりました。魔王様。」

 悪魔ガミジンは闇に消える。

「これでいい! これで光の騎士は地上には登って来れないのだ! ワッハッハー!」

 魔王シュベルトの策略が張り巡らされる。


「僕に死ねというのか?」

 サトは戸惑う。

「大袈裟な奴だな。闇について考えろと言っているだけだろ。」

「そうよ。いつまでも闇の力が使えないのは困るからね。アハッ!」

 テューポーンとエキドナはサトに戸惑う。

「光の騎士の僕に闇に浸かれと言われてもどうすればいいんだろう? 闇? 悪いこと? 人殺しとか食い逃げ? 僕にこの手を汚せというのか?」

 サトは試行錯誤する。

「もっと気楽に考えろよ。別に闇落ちしたからといって悪いことではない。」

「そうそう。私たちは闇だけど楽しく、あなたとお話をしているわ。アハッ!」

「確かに。テューポーンとエキドナと話をしていても闇だとは思わない。」

 闇という言葉に違和感を感じるサト。

「そうよ。私たちはお友達。それはあなたを生かしてくれた、その鎧の悪魔も同じ気持ちよ。」

「バエル。」

 サトはなぜ悪魔バエルが自分を助けてくれたのか不思議に思った。

「あれだ。人間と悪魔であっても長く一緒にいれば情が湧くってやつだ。」

「情!? 僕が悪魔に!? ないない! それは!」

 光の騎士としてはあってはいけないことかもしれない。

「悪魔を敵だと毛嫌いしないで歩み寄ってみなさいよ。鎧の悪魔に。もしかしたら声が聞こえるようになるかもしれないわよ。アハッ!」

「そういうものかな?」

 サトは相手が悪魔というだけで釈然としない。

「闇について考えるのは後だ。見えたぞ! 奈落の出口だ!」

 サトたちは奈落の出口にたどり着いた。


ピキーン!


「何かいるわよ。たぶん悪魔ね。」

 エキドナが奈落の外に悪魔の気配を感じる。

「さすがに奈落には入って来なかったか、優秀な悪魔だ。」

 奈落ではタルタロスの力によって悪魔は一緒んで消されるからである。

「お褒めにいただきありがとうございます。」

 悪魔ウァサゴが現れる。

「私は悪魔ウァサゴ。魔王様の命令で光の騎士を殺しに来ました。奈落の神タルタロス様のお子様のテューポーン様とエキドナ様に危害を加える気はございません。手出しをしないでいただきたい。」

 悪魔ウァサゴの狙いはサトだけであった。

「それは無理だ。俺は父からサトを地上に送るように言われている。サトに危害を加えるというのであれば俺が相手になろう。」

「テューポーン! カッコイイ!」

 テューポーンは一歩も譲らない。

「クッ!? 雷神ゼウスを倒したこともある奈落の英雄テューポーンと戦わねばならんとは!? 何たる不幸! それでも魔王様の命令は絶対! いくぞ! テューポーン! 私の姿が見えるかな! ウァサゴ・ハイド!」

 ウァサゴの姿が消える。

「き、消えた!?」

 サトはウァサゴの姿を見失った。

「消えたんじゃない。隠れているだけだ。」

 テューポーンは剣を構える。

「ウァサゴ。俺にかくれんぼは通用しないぜ。必殺! テューポーン! ソード! スラッシュ!」

 テューポーンは闇を斬る。

「ギャア!」

 ウァサゴが真っ二つになる。

「ば、バカな!? どうして私の姿が!?」

「悪いな。俺の方が闇が深いんでな。アハッ!」

 ウァサゴは倒された。

「すごい!? 悪魔を一撃で!? 一撃で倒した!? なんて強いんだ!?」

 サトはテューポーンの強さに驚く。

「サト。あんまり俺を信じるなよ。奈落も、悪魔も、冥界もだ。もっともは俺の父王なんかはもっと信じるなよ。アハッ!」

「そうそう。みんな闇だからね。私もいつあなたを後ろから食べるかもしれないわよ。アハッ!」

 テューポーンとエキドナは一定の線引きをする。

「怖いこと言うな! 僕なんか食べても不味いぞ! 例え闇であっても、おまえたちは僕の友達だ! アハッ!」

 サトはテューポーンとエキドナを信頼していた。

「なんだか照れるな。人間に言われると。」

「サトなら人間でも大歓迎だよ。アハッ!」

「ありがとう! テューポーン! エキドナ!」

 サトたちは親睦を深めた。

「さあ! サト! ここからは冥界だ! 地上までがんばろうな!」

「おお!」

「もうすぐお母さんに会える! アハッ!」

 サトたちは奈落を抜けて冥界にたどり着いた。

「よし! 僕は絶対に光を取り戻してみせる!」

 サトは再び輝くことを誓うのであった。

 つづく。

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