第13話 魔王ドラゴンキング タカ タナ

「ナイモンしようぜ! タカ! タナ!」

 サトはナイト・オブ・モンスターというスマホのカード・ゲームで楽しく遊んでいる。

「いいぞ! 三人いるから三つ巴戦にしようぜ!」

 タカは男前な10才の男の子。

「ええ!? 三人で対戦なんてできるの!?」

 タナは控えめな10才の女の子。

「対人戦もアップデートされたらしいぜ!」

 ナイモンの対人戦も複数人数で対戦できるようになった。

「ナイモン! ファイト!」

 サト、タカ、タナは戦いを始める。

「サトの名において命じる! いでよ! スラちゃん!」

「スラスラ!」

 サトはスラちゃんをナイモン・カードから呼び出す。

「スラちゃん! 鎧に変身だ!」

「スラ!」

「ナイモン! 変身!」

 スラちゃんは鎧に変身し、サトの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! スライムの騎士! スライム・ナイト! 参上!」

 サトはスライム・ナイトに変身した。

「サトは相変わらずスライムか。拍子抜けだな。」

「よ、良かった。サトくんはスライムなんだね。」

 呆れるタカに、安堵するタナ。

「スラちゃん! 大好き! そういうタカはキメラを使い続けているのか?」

「まさか! 俺のナイモンを見せてやる!」

 タカがナイモン・カードを取り出す。

「タカの名において命じる! いでよ! ドラゴン!」

「ドラドラ!」

 タカはドラゴンをナイモン・カードから呼び出す。

「ドラゴン! 鎧に変身だ!」

「ドラ!」

「ナイモン! 変身!」

 ドラゴンは鎧に変身し、タカの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! ドラゴンの騎士! ドラゴン・ナイト!」

 タカはドラゴン・ナイトに変身した。 

「どうだ? 俺はドラゴンナイトだぞ!」

「なんだ。おまえも魔王の城にたどり着いたのか。」

「す、すごい! ドラゴンの騎士だ!」

 驚かないサトに、驚くタナ。

「タナはどう?」

「わ、私のナイモンはこの子です!」

 タナはナイモン・カードを取り出す。

「タナの名において命じる! いでよ! 一つ目目玉!」

「ヒトヒト!」

 タナは一つ目目玉をナイモン・カードから呼び出す。

「一つ目目玉! 鎧に変身だ!」

「ヒト!」

「ナイモン! 変身!」

 一つ目目玉は鎧に変身し、タナの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! 一つ目目玉の騎士! ワン・アイ・ナイト!」

 タナはワン・アイ・ナイトに変身した。

「おお! タナ! 物語を半分まで進んだんだ! すごいぞ! 頑張ったんだね!」

「あ、ありがとう! アハッ!」

「一つ目目玉は攻撃力はあるけど、総合的にドラゴンの方が上だな。」 

 サトはタナの成長を喜びタカは冷静に戦況を分析する。 

「よし! 勝負開始だ!」

「ちょっと待った! 僕はスラちゃんを進化させる!」

「なに!? 進化だって!?」

 タカは進化を知らなかった。

「スラちゃん! 進化! エボリューション!」

「スラ!」

 スライム・ナイトの鎧が赤に染まっていく。

「ナイト・オブ・モンスター! 赤スライムの騎士! スライム・レッド・ナイト! 参上!」

 サトは赤スライムの騎士に進化した。

「知らなかった!? ナイモンを進化することができたなんて!?」

「す、すごい! スライムが赤くなった!?」

 タカもタナもナイモンが進化できるのを初めて見た。スズがナイモンの進化を知っていたのは物語の進行が早かったからかもしれない。

「これでドラゴンの騎士とも戦えるぜ! アハッ!」

「なめるな! スライムの分際で! 赤色になったからって調子に乗るなよ!」

「こ、怖い・・・・・・。」

 サト、タカ、タナは戦いの準備が整った。

「まずは一番弱そうなタナを倒すべきか? でも後ろからタカに攻撃される可能性がある。それにがんばっているタナを勝たしてあげたいな。」

 サトはタナを応援したかった。

「勝負だ! タナ! この世は弱肉強食だ!」

 タカは一番弱いタナを攻撃しようとする。

「え、ええー!? そんな!?」

 恐怖に震えるタナ。

「やめろ! 弱い者いじめは! タカ! 僕と勝負しろ!」

 サトはタカの行く手を遮る。

「いいだろう! 先におまえを倒してやる! 進化したからってドラゴンでスライムに勝てると思うなよ!」

 サトとタカの戦いが始まる。

「いくぞ! タカ! くらえ! スライム・ソード! でやあ!」

「負けるものか! ドラゴン・ソード! たあ!」

 サトとタカが斬り合う。

「やるな! さすがドラゴンの騎士だ!」

「そういうおまえこそ! スライムのくせに生意気なんだよ!」

 サトとタカの力量は互角だった。

「はあっ!? こ、これはもしかしてチャンスなのでは!? 今なら二人とも私の存在なんか気にしていない! ワン・アイ・ナイト! 私に力を貸して!」

 タナは攻撃の構えに入る。

「ヒトヒト! レーザー!」

 タナはヒトヒト・レーザーでサトとタカを攻撃する。

「なんだ!? 光!?」

「まさか!? これはヒトヒト・レーザー!? うわあ!?」

 タナの不意打ちのヒトヒト・レーザーがサトとタカを飲み込む。

「ギャア!」 

 サトとタカは倒された。

「や、やったー! 勝てた! 私なんかでも勝てた! わ~い!」

 勝利に大喜びのタナ。

「おめでとう! タナ!」

「あ、ありがとう! アハッ!」

 素直に喜ぶサトとタナ。

「不意打ちとは卑怯だぞ! タナ!」

「ぷ、プン!」

 逆ギレするタカを邪険にするタナ。

「た、タカからドラゴンのナイモン・カードをもらいます! プン! さ、サトはスライムでいいよ。アハッ!」

 タナはドラゴンとスライムのナイモン・カードを手に入れた。

「やったー! ドラゴンのナイモン・カードだ! これで少しは物語を進めやすくなるかな! アハッ!」

 タナは対人戦で自分のカードを補強できたので大喜び。

「よし! 次は物語だ!」

 サトは冒険を始める。


「クックック! ナイモン・カード集めは後回しだ! いよいよ魔王ドラゴン・キングと新しい光の騎士の御対面だ! 長かった! 実に長かったぞ! 悪魔として見届けなくてはな! ワッハッハー!」

 悪魔バエルはナイモン・カード集めは一時休止して、サトと魔王ドラゴン・キングの戦いを見守ることにした。

「俺が魔王になる日がやってきたのだ! ワッハッハー!」

 そして悪魔バエルは自分が魔王になる隙を狙っている。


「おかえり! サト!」

「ただいま! エル!」

 物語を始めると陽気な光の精霊エルフが笑顔で出迎えてくれる。

「いよいよ魔王と決戦だ! アハッ!」

 サトは魔王の城にたどり着いた。

「・・・・・・そうね。行きましょう。」

 光の精霊エルフは神妙な表情をしていた。

「いくぞ! 魔王!」

 サトは魔王の城を進んでいく。


「やって来ました! 魔王の間!」

 サトは魔王の間に着いた。

「よく来た。勇者候補生よ。」

 魔王ドラゴン・キングが人の姿で魔王の玉座に座って、サトを出迎える。

「出たな! 魔王! 僕がおまえを倒して世界を平和にしてやる!」

 サトは気合が入っている。

「おまえには無理だ。」

「無理じゃない! 無理っていう奴が無理なんだ!」

 サトは魔王ドラゴン・キングの言葉に一歩も揺るがない。

「なぜなら・・・・・・。」


グサッ!


「ゲホッ!? なに!?」

 光の精霊エルフがサトの胸を光の剣で突き刺す。

「ごめん。サト。」

「なぜなら光の精霊は私と戦うことができないからだ。」

「なんだと!?」

 光の精霊エルフはここまで来てサトを裏切った。

「私はかつて世界を救った光の騎士だからだ。」

「なに!?」

 魔王ドラゴン・キングの正体は伝説の光の騎士だった。

「どうして!? 伝説の光の騎士が魔王に!?」

「それを知りたくて、この人間の子供を利用して、ここまでやってきたのだろ? 可愛いエルちゃん。」

「はい! そうです! アハッ!」

 光の精霊エルフは可愛いと言ってもらえて嬉しそうであった。

「そうか! エルを可愛がっていたのはおまえだったのか!?」

「その通り。伝説の光の騎士は人間の勇者トロと光の精霊エルフのことだったのだからな。」

 今明かされる伝説の真相。

「今、語ろう。伝説の物語を。」

 魔王ドラゴン・キングは昔話を語り出す。


「ギャア!」

 魔王ドラゴン・キングが倒された。

「やったー! 魔王を! 魔王を倒したぞ!」

 光の騎士トロは魔王ドラゴン・キングに勝利した。

「だが、ただでは死なんぞ! おまえに魔王の呪いをかけてやる! ギャア!」

「魔王の呪い?」

 魔王ドラゴン・キングは魔王の呪いを勇者トロにかけて消えた。

「やったー! トロ! 魔王を倒したわ! これで世界は平和よ! アハッ!」

「そうだね! 可愛いエルちゃん! アハッ!」

 勇者トロと光の精霊エルフは魔王ドラゴン・キングを倒して喜んだ。


世界を支配しろ! 世界を征服しろ! おまえが新しい魔王だ! ワッハッハー!


「はっ!? なんだ!? 今の悪夢は!?」

 その日から勇者トロは毎晩、悪い夢を見るようになった。

「きっと私は魔王になってしまう・・・・・・何とかしなければ!」

 勇者トロは覚悟を決める。


「エル。さようならだ。」

「え? ギャア! 暗いよ! 太陽の光が届かない!? どうして・・・・・・トロ・・・・・・。」

 勇者トロは光の精霊エルフを暗い倉庫の奥にしまった。

「いつか、エルが目覚めたら私を倒しにこい。魔王になった私を・・・・・・。」

 唯一魔王を倒せるのは光の騎士だけだったからだ。

 

「私は魔王ドラゴン・キングである!」

 そして勇者トロは魔王になった。

「何が魔王だ! 人間じゃないか! やっちまえ!」

 魔王の座を狙って、モンスターや悪魔が戦いに魔王の城にやってきた。

「マオマオ! ドラゴン・キング・ファイア!」

 魔王トロの攻撃。

「ギャア!」

 魔王トロはモンスターや悪魔を次々と倒していった。

「これが世界の平和のためになるなら、私一人の想いなど・・・・・・。」

 こうして魔王になった勇者トロのおかげで人間界は長い平和な日々をおくれたのであった。


「それじゃあ、あなたは魔王になっても世界を守っていたのか!?」

 話は現代に戻る。今明かされる悲しい事実。 

「だが永い眠りから光の精霊が目を覚ましたのだ。」

 サトが倉庫で見つけた錆びた鎧を磨いてピカピカの光の鎧にし、光らすために窓辺の日の当たる所に置いたので、光の精霊エルフは光エネルギーを充電することができて甦った。甦ってしまったのだ。

「さあ! 私を倒せ! 新たな光の騎士よ! 私はおまえに魔王の呪いなどかけたりはしない。これで魔王制度は終わりだ。」

「そんな!? 自分を倒す光の騎士が現れるのを待っていたなんて!? あんまりだわ!?」

「可愛いエルちゃん。あの世では一緒になろうな。ニコッ。」

 優しく微笑む魔王トロ。

「なんでだ!? 魔王も悪い奴じゃない!? どうして戦わないといけないんだ!? こんなの悲し過ぎる!?」

 展開が理解ができないサト。

「仕方のないことだ。魔王を倒さなければ世界に平和は訪れないのだから。」

 魔王トロは覚悟している。

「そんな!?」

「サト! 魔王を倒しましょう! トロを楽にさせてあげよう!」

「エル・・・・・・。」

 光の精霊エルフは魔王トロを倒す覚悟をする。

「トロ。私も直ぐに行くからね。アハッ!」

「待っているよ。可愛いエルちゃん。アハッ!」

 サトよりも息が合っている魔王トロと光の精霊エルフ。

「分かったよ。この世界から魔王という肩書を消し去ってやる!」

 サトは決意して気合を入れる。

「ありがとう。新しい光の勇者。」

 理解してもらえて感謝する魔王トロ。

「サトの名において命じる! いでよ! スラちゃん!」

「スラスラ!」

 サトはナイモン・カードからスラちゃんを呼び出す。

「よろしく! スラちゃん! これがファイナル・バトルだ!」

「スラ!」

 サトとスラちゃんは気合を入れる。

「スラちゃん! 鎧に変身だ!」

「スラ!」

「ナイモン! 変身! チェンジ!」

 スラちゃんは鎧に変身し、サトの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! スライムの騎士! スライム・ナイト! 参上!」

 サトはスライムの騎士になった。

「いくぞ! エル!」

「おお!」

「ナイモン! 進化! エボリューション!」

 光の精霊エルフがスライムの鎧と一つになっていく。  

「ナイト・オブ・モンスター! 光のスライムの騎士! スライム・ライト・ナイト!」

 サトは光のスライムの騎士になった。

「よし! いくぞ! 魔王!」

 サトは気合を入れる。


「もうすぐだ! もうすぐ魔王が倒される! そして俺が新しい魔王になるのだ! ワッハッハー!」

 サトと魔王トロの戦いの様子を盗み見る悪魔バエル。


「いくぞ! 新しい勇者よ! マオマオ! ドラゴン・キング・ファイア!」

 魔王トロは炎で攻撃してくる。

「ギャア!」

 サトはダメージを受けてしまう。

「負けるもんか! ここで僕が負けたらトロさんの気持ちが無駄になってしまう! うおおおおおおー!」

 サトは気合を入れる。

「よし! いくぞ! 魔王ドラゴン・キング! くらえ! スライム・ライト・ソード! でやあ! 28連撃!」

 サトの攻撃。

「ギャア!」

 魔王トロは倒された。

「やったー! 魔王ドラゴン・キングを倒したぞ! 魔王ドラゴン・キングのナイモン・カードだ! わ~い!」

 サトは魔王ドラゴン・キングのナイモン・カードを手に入れた。

「終わった。全て・・・・・・。」

 サトは勝ったが後味の悪い勝利だった。

「ま、まだだ! 本当の地獄はこれから始まるんだ!」

「トロさん!?」

 倒されたはずの魔王トロが語る。


デーモン! キング! カース!


「ウワアアアアアー!?」

 どこからか薄気味悪い声が聞こえて、瀕死の魔王トロが苦しむ。

「なんだ!? 何が起きているんだ!?」

「これは魔王の呪いだ! 歴代の魔王が受け継いできた邪な精神が魔王を呪い続ける! 邪悪な魔王の精神の集合体が私の体を乗っ取ろうとしているのだ! ウワアアアアアー!」

「そんな!?」

 魔王トロの体の周囲に歴代の魔王の成仏できない精神体が複数現れて魔王トロの体を竜の王ドラゴン・キングの本来の竜の姿に変えていく。

「マオマオ! ドラドラ!」

 人型の魔王トロはドラゴンの姿をした魔王ドラゴン・キングになってしまった。

「トロさんー!」

 サトの叫びはただ響くだけである。

「私は魔王ドラゴン・キング! もう完全に私を倒した光の騎士は消え去った! さあ! おまえも死ぬがいい!」

 完全復活を遂げた魔王ドラゴン・キング。

「許さないぞ! 絶対に許さないぞ! 魔王! ドラゴン・キング! トロさんが守った世界は僕が守る!」

 サトは決意を新たに気合を入れる。


「なんてこった!? 俺がなりたかった魔王はタダのお飾りで、魔王の悪霊どもに支配されていただなんて!? こんなの詐欺だ! 俺の夢を返せ!」

 キレる悪魔バエル。


「くらえ! マオマオ! ドラゴン・キング・フレーム!」

 魔王ドラゴン・キングは火よりも強い炎で攻撃してくる。

「ギャア! 光をセーブしているスライム・ライト・ナイトではあいつに勝てない!」

 サトはダメージを受ける。

「よし! いくぞ! エル! 光の騎士になるぞ!」

「おお!」

「ナイモン! 変身!」

 光の精霊エルフは光の鎧に変身し、サトの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! 光の騎士! ライト・ナイト! 参上!」

 サトは光の騎士に変身した。

「いくぞ! エル!」

「おお!」

「光の速度で移動! スピード・オブ・ライト!」

 サトは光の速さで光速移動する。

「なんとい光の速さだ!? ええい!? 我が野望の邪魔をまたするというのか!? 光の騎士め!?」

 魔王ドラゴン・キングは光の騎士のサトの光速の動きに翻弄される。

「いくぞ! 魔王ドラゴン・キング! くらえ! 必殺! ライト・ソード・スラッシュー! 光に滅せよ!」

 サトの攻撃。

「ギャア!」

 魔王ドラゴン・キングを倒した。

「やったー! 魔王ドラゴン・キングを倒したぞ! わ~い!」

 サトは勝利を喜んだ。


ピロロロローン!


「やったー! レベルアップだ!」

 サトのレベルが29になった。


ワッハッハー!


 魔王ドラゴン・キングの笑い声が響き渡る。

「いいのか? 私を倒した者は魔王の呪いによって、次の魔王になるのだ! ワッハッハー!」

「しまった!?」

 サトが魔王を倒したので魔王の呪いにかかってしまうことになる。

「私は永遠に生きるのだ! ワッハッハー!」

 負けても勝ち誇る魔王ドラゴン・キング。


そうはさせない!


「なんだ!? 私の中に光だと!?」

 魔王ドラゴン・キングが光だし声が聞こえてくる。

「トロ!?」

 弱った魔王ドラゴン・キングの中から精神体となったトロが現れる。

「魔王どもの精神体は私が光の力で抑えている! さあ! 今だ! サト! 今度こそ邪悪な魔王の呪いを完全に消し去るんだ!」

「はい! トロさん! 輝け! 僕の光! うおおおおおおー!」

 サトは気合を入れて光の闘志を燃やす。

「なんだ!? この膨大な光エネルギーは!?」

「魔王の呪い! おまえには分かるまい! これは僕の光と! トロさんの光! エルの光! スラちゃんたち、みんなの夢と希望の光だ! うおおおおおおー!」

 サトは今までで一番輝く光を放つ。

「鎧が進化していく!?」

 サトの光の鎧が、更に輝く光の鎧に変化していく。

「この鎧は!?」

「私とおまえの光の騎士二人分と可愛いエルちゃんや、みんなの光が光の鎧を進化させたんだ! 輝く光の騎士! シャイニング・ライト・ナイトになったのだ!」

「シャイニング・ライト・ナイト! なんて暖かく優しい光の輝きなんだ!」

 輝く光はみんなの優しさに包まれていた。

「今だ! サト! 私が抑えている間に魔王の呪いを倒すんだ!」

「はい! トロ先輩!」

 サトは輝く光の剣を構える。

「いくぞ! 邪悪の塊! くらえ! 必殺! シャイニング・ライト・ソード・スラッシュ! 光に滅せよ!」

 サトは輝く光の斬撃で攻撃する。

「ギャア! バカな!? 歴代の魔王の塊である私が破れるというのか!? ギャアアアアアアー!」

 デビル・キング・カースは消滅した。

「やったー! 魔王の悪霊を倒したぞ! わ~い!」

 サトは勝利を喜んだ。


ピロロロローン!


「やったー! レベルアップだ!」

 サトのレベルが30になった。

「全て終わったんだ。」

 サトの輝きがなくなり普通の光の騎士に戻る。

「エル? トロさんがいなくなって寂しい?」

「いいえ。トロは私の心の中にいつまでもいるわ。それに死んだら会えるしね。アハッ!」

 光の精霊エルフは光の騎士トロの死を受け止めた。

「もう光がないや。帰ろっか。アハッ!」

「おお!」

 サトは疲れ切っていた。


ピキーン!


 サトは嫌な気配を感じとる。

「ワッハッハー! 遂に俺が魔王を名乗る時がきたのだ! ワッハッハー!」

 悪魔バエルが笑いながら現れる。

「なにを笑っている? 僕にナイモンカードを握られているくせに!」

「ギクッ!?」

 サトは対人戦で勝ったので悪魔バエルのナイモン・カードを持っていて、悪魔バエルと契約している。

「せっかく魔王がいなくなったのに、バエル! おまえを新しい魔王になんかさせないぞ!」

「なにを!? 俺の夢と希望の邪魔をするならおまえを倒すまでだ! 俺は魔王になる!」

 サトと悪魔バエルが対峙する。

「エル! 全ての光を使ってでも悪魔バエルを倒すんだ!」

「おお!」

 サトと光の精霊エルフは最後の光を輝かせる。

「いくぞ! バエル! 必殺! ライト・ソード・スラッシュー! でやあ! 30連撃!」

「くらえ! 必殺! バエル・ソード・スラッシュー!! 30連撃!」

 サトと悪魔バエルの攻撃。

「互角だと!? 魔王を倒してレベルが上がりやがったな!?」

「バエル! おまえを倒す! 世界の平和のために!」

 サトと悪魔バエルはレベル30同士で戦闘力は均衡していた。


グラグラグラ!


「うわあ!? 地震か!?」

「なんだ!?」

 サトと悪魔バエルを地震が襲う。

「光の騎士! 裏切り者バエル! おまえたちにはここで死んでもらう!」

 そこに何者かが一人現れる。

「何者だ!?」

「おまえはアガレス!?」

 現れたのは地震を司る悪魔アガレス。

「バエル。おまえは悪魔のくせに何を光の騎士と仲良くやっているんだ? 自身のナイモン・カードまで光の騎士に渡し契約までかわしているとは!」

「違う!? これは対人戦で負けたからナイモン・カードを取られただけなんだ!?」

「黙れ! 裏切り者! もう、おまえは悪魔の裏切り者だ!」

 悪魔バエルは悪魔たちから裏切者扱いされることになった。

「おまえを殺せと言っている。新しい魔王様がな!」

 悪魔アガレスは新しい魔王の命令で悪魔バエルを殺しに来た。

「そんな!? トロさんが命をかけて魔王の魂を葬ったのに、新しい魔王が生まれたというのか!?」

 愕然としたサトの光が消えて倒れる。

「ごめん。サト。光エネルギーが切れちゃった。」

 光の精霊エルフも光エネルギーを使い果たしてしまう。

「新しい魔王だと!?」

「そうだ! 新しい魔王シュベルト様だ! シュベルト様は歴代の魔王の悪霊に支配・洗脳されなていない新しい魔王様なのだ!」

 新しい魔王の名はシュベルト。

「お、俺の魔王になる夢が・・・・・・。」

 悪魔バエルも夢と希望を失う。

「魔王シュベルト様の命令だ! 死ね! 裏切り者! おまけに光の騎士も殺したとなると、魔王軍の中で俺の出世は確実だな! くらえ! 地震魔法! アース! クエイク!」

 悪魔アガレスは地震を起こす。

「ギャアアアアアア!」

 サトと悪魔バエルは地震で地割れした奈落の底に落ちていく。

「ワッハッハー! やったぞ! 裏切り者バエルと光の騎士は、このアガレス様が倒したぞ! ワッハッハー!」

 高笑いする悪魔アガレス。


「ああ~。俺は悪魔の裏切り者になっちまった。俺はこのまま死ぬのか?」

 悪魔バエルは奈落に落ちながら自問自答する。

「いや。俺は有言実行する悪魔だ! 俺の夢は誰にも奪われねえ! 俺は魔王になるんだ!」

 奈落に落ちていく中でも悪魔バエルの夢と希望、野心は消えていなかった。

「この世界の理では魔王を倒せるのは光の騎士だけ。残念だがこいつを助けなければ。」

 悪魔バエルは一緒に奈落に落ちていく気絶しているサトを見つめる。

「必ず新しい魔王を倒してやる!」

 悪魔バエルはサトと共に闇に消えていく。


「私の名前はシュベルト! 新しい魔王だ! この世は私が頂こう! ワッハッハー!」

 こうして世界は魔王シュベルトと戦うことになった。

 NOM1 FIN

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