第105話 利子
あの子が虹の女神…。伝説上の力を持つ渡り人。
じゃあ、あの子がヒロインなの?私じゃなく?だったら私が悪役?
でも、私あの子を階段から突き落としたり、嫌みを言ったりしていないし。って言うか、あの子も結構私に言いたいこと言ってるし。言われっぱなし、やられっぱなしのタイプには見えないけど。どちらかと言えば‘歯には歯を目には目を’の感じで、いじめられキャラには程遠くない?
そもそもここって何かの創作物の中なのよね?だって、じゃなきゃ国王が二十七歳の容姿端麗で正妃がいないなんて言う事にはならないだろうし。王の兄弟もみんな容姿が優れていて、まさにって感じの設定だし。
ならば、問題はやっぱり私とあの子のどちらがヒロインでどちらが悪役なのか…。
あっでも、やっぱり彼女が悪役なんじゃない?だって、現実に私をこうして監護室に閉じ込めてるし。魔力封じまで使って…。
今回は、倒し方が分からない怪獣が出てきちゃったからちょっと失敗したけど、だったら自分で呼び出せば良いじゃないの?異世界から人を召喚できるなら、怪獣だって出来るでしょう?
そうだ、そうだ。そうしよう。弱そうなのを王都に出せば、大勢の人の前で私の力を発揮できるんだし。
あの子に人前で力を発揮する場が与えられたなら、私にも与えてくれても良いじゃない。人が用意してくれないなら、自分で用意すれば良い。
そう。じゃあ、勉強しましょう。ちゃんと力を蓄えて、怪獣を自分で呼んで倒しましょ。
∴∵
思い出した。私が監護室に閉じ込められた日にいた侍女。そうだ、そう言えばいつもあの子の後ろにいて冷ややかにこちらを見ていた。
やっぱり…ここに閉じ込められた事も、魔力封じを付けられたことも、王様に突き放されたことも、あの女が全部仕組んだんだ。
あの女…絶対にこの世界がどの物語の中なのか知ってるんだ。だから、私の方はなんにも上手くいかないんだ。あの女が全部邪魔していたんだ。そんなのヒドイ。
∴∵
外遊…。王様は行かないみたいだし。騎士団が護衛して、国軍のリュカって人も同行するって。…ちょうど良い。それまでに召喚術を勉強して、あの女が帰ってくる前に全部片付けよう。騎士が手薄にになっていたら、国軍だけじゃ倒せなくて、私の所に助けを求めに来るかも知れないし。
そしたらあの女、また国の有事に遊び回ってるって、そうみんなに思われる。そしたら私がまた救世主として頼りにされる。
強い力を持っていても、皆のために使わないんじゃ、ただのお荷物だもんね。
よし。決めた。あの女が外遊中にぱぱっと片付けよう。
私の邪魔をしたあの女が全部手に入れるなんて、絶対に許さない。
これは、
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