さくら姉ちゃんはお年頃
さくら姉ちゃんはとってもおとなしそうな女の子。……見た目だけは。
最近はちょっぴり顔も身体つきも女性らしくなってきて、本人はだいぶ気にしています。
「こら、さくら。今日もクラスの男子をやっつけたんだって?」
おや、よしつぐ兄ちゃんがお怒りのようです。
「だって、いきなり胸さわってきたんだもの。痴漢は撃退しなくちゃ調子に乗るだけよ」
「それは仕方ないな。で?」
イイ笑顔でよしつぐ兄ちゃん。さすがプロの兄と名乗るだけあって妹の行動パターンは熟知しているようです。
「だから頭突きしてから投げた」
「……次からはどっちかだけにしておきなさい」
思わず額をおさえてうめく兄ちゃん。
「え~、だって……」
「どちらか片方だけなら正当防衛で済むが、やりすぎるとお前だけ悪者にされるぞ」
「はあい」
おやおや、さくら姉ちゃんは不服そう。お返事しながらも、ちょっぴり頬をふくらませています。
「まったく、お前はどうしてこんな、ヒグマみたいに凶暴なんだ」
「え? ヒグマ?」
「ああ。泣き寝入りは絶対にいかんが、ここまで徹底してやりこめると狂暴すぎて彼氏もできんぞ」
「ありがとう、お兄ちゃま。年頃の女子にとっては最高のほめ言葉よ!!」
なぜかすっかり機嫌を直したさくら姉ちゃん。
「近頃の若い女子の考えることはわからん」
……つぐ兄ちゃん、君はまだ十五歳ですよね?
「おねえちゃま、ひぐまみたい!!」
しょうたくんが姉の機嫌を取りたいときにおかしなことを口走るようになったのは、また別のお話です。
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