さくら姉ちゃんと感染症
大変です。おばあちゃんが入所している施設から電話がありました。
おばあちゃんが熱を出して、今はやっている怖い病気にかかってしまった可能性があるそうです。
みんなどきどきしながら一夜を過ごしました。
そして今日、検査の結果、おばあちゃんが感染してしまっていると電話がかかって来たのです。
おかあさんはおろおろしてしまって動き方が変になっています。
ほら、さっきから右手と右足が一緒に出ているし、小指を棚やタンスの角にぶつけるのは今日これで何回目でしょうか。
「おかあちゃま、おばあちゃまの具合はそんなに悪いの」
さくら姉ちゃんが訊きました。
「うん、かなり辛いみたい。でも酸素飽和度が下がらないから病院では受け入れてもらえないの。何とかして入院先を探してるんだけど」
浮かない顔で答えるお母さんに、さくら姉ちゃんは次々質問をします。
「おばあちゃまのお熱は何度?最初に何度出たの?」
「えっと、一昨日が37.7度。昨日が38.2度ね。今朝は37.2度に下がってる」
「あんまり高くないね。お水は飲めてるの?どのくらいの量?」
「一昨日が400ミリで、昨日は800ミリ。今日は夕方の時点で700ミリ飲んでる」
「ご飯は?」
「だいたい半分くらい食べてる」
「食べたもの吐いてる?」
「吐いてない」
「良かった、それなら軽症だね。九十歳過ぎてるからびっくりしたけど、重症化しなくて良かったね」
「でも九十歳過ぎてて、既往症がたくさんあるからいつ重症化するか」
かずひろ兄ちゃんが口を挟みます。
「うん、重症化しやすいよね。でも今軽症だね。お薬は?」
「ラゲブリオの投与を今朝から受けてる。熱は下がったんだけど咳がひどいそうだよ」
つぐよし兄ちゃんも心配そう。
「それでお熱が下がったのね。軽症で済んでいてよかったね。だから落ち着こうね」
「でも重症化したら」
「若くて既往症なくても重症化する人がいるのに、九十過ぎてて糖尿とかいっぱいあっても今のところ軽症ですんでラッキーだったね。重症化はなってみないと対応できないから今おろおろしても仕方ないよね。今は軽症でラッキーだってことだね」
うろたえるおかあさんと高一、中二が小三の女の子に諭されてしまいました。
ようやく落ち着いたおかあさんとつぐよし兄ちゃんは晩ご飯を作るようです。
今夜は何を作るのかな?
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