しょうたくんとオンライン授業

 今は世界中でこわい病気がはやっています。

 よしつぐ兄ちゃんのクラスも感染者が出たせいで、今週は学校に行かずにお家からオンラインで授業を受ける事になりました。


 いつもしょうたくんが幼稚園に行く前に学校に行ってしまう兄ちゃんがお家にいてくれるので、しょうたくんは大喜び。

 兄ちゃんが授業を受けているパソコンを興味津々で覗いています。


『おい歌川、若返ってないか?』


 学校から貸し出されているパソコンから先生の困惑した声が聞こえます。

 しょうたくんが兄ちゃんを押しのけてパソコンの前に陣取ってしまったのです。


『かわいー、歌川もうずっとそのままでいいよ』


『ね、手振って』


「はーい」


『かわいー』


 兄ちゃんのクラスメイトの声にしょうたくんもすっかり気を良くしてにっこり笑って手を振りながらパソコンの前でポーズを取ったりしています。


「しょうた、そろそろ幼稚園!HRの邪魔してすみません、すぐどかします」


 よしつぐ兄ちゃんは焦っています。


「や!おにいちゃまといっしょ!!」


 しょうたくんは断固拒否。

 そこにやっぱりオンライン授業を受けていたさくら姉ちゃんがやってきて、冷たい目で白い紙をかかげました。

 そこには黒いマジックで「や か ま し い」とぶっとく書かれているではありませんか。

 しょうたくんは「や、か、ま、し、い」と音読してから首をかしげてしまいました。


「やかましい、というのはうるさいって意味だよ」


 ちょっとコワい笑顔でよしつぐ兄ちゃん。しょうたくんは一瞬固まってから色々と察したようです。さくら姉ちゃんは怒らせるととっても怖いのです。

 しょうたくんはあわてて幼稚園のおかばんを持って玄関まで走って行きました。


「待ちなさい、みつあみ結ってあげるから」


 お靴を履いている間にさくらねえちゃんが髪を編んでくれます。


「はい、今日も可愛いわよ。いってらっしゃい」


 さくら姉ちゃんに送り出されてしょうたくんはごきげんで出発しました。

 しょうたくん、明日は授業に乱入するのはやめましょうね?

 お姉ちゃん、HRとはいえ授業は集中して出ましょうね?


 よしつぐ兄ちゃん、いつもお疲れ様です。

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