第33話エルさんと
さて、本日はエルさんと行動を共にしております。
今回のパートナーを決める際、当然の如くニルスさんと一悶着がありましたが、ゴリさんの鉄拳により無事にパートナーが決定した次第です。
本日、私達の任務は再び西の教会へと向かい、ファニーさんの接触がないかの確認です。
しかし、今向かっているのは違う森です。
西の教会に行く前に少々寄り道しましょう。
向かっている場所は、ヤンさんが飼育しているフェンリル達がいる森です。
途中、食事に来ていたルーナに会ったので一緒にフェンリル達の元へと向かいました。
◇◇◇
「……うわぁ~……あれ?」
エルさんがフェンリルの小屋を見て絶句しております。
実はヤンさんは自分のペットが出来た事が相当嬉しかったらしく小屋だけでは物足りず、小屋の周りの木々を切り落としたりと手を加え始めてしまい、気付けば騎士団演習場よりも広いフェンリル専用遊技場が出来ておりました。
その遊技場の中を悠々自適に走り回っているフェンリル達がおります。
「──これ、陛下や殿下知ってるの?」
「いえ、極秘です」
「……ここまでデカきゃ極秘も何も無いでしょ……」
呆れ返っているエルさんを尻目に私はフェンリル達の元へ。
フェンリル達は私の姿を見ると、走り回るのを止めビシッと綺麗に整列し大人しくお座りをして私を待ってくれています。
まあ、言いようによっては怯えてるとも言えますけど。
「え……?なに?マリー、何かフェンリルにトラウマ植え付けた?」
エルさんの言葉に私はクスッと微笑むと、何かを察したエルさんが「うわぁ~……君ら同情するよ」と憐れみの表情でゴンの頭を撫でておりました。
実は、リル以外のフェンとゴンはヤンさん以外の人間の言うことを聞かなかったので、少々調教を施したのです。
まあ、効果は覿面だった様で今ではすっかり大人しくなりましたよ。
「キュルルルル!!」
「ワオン!!」
ルーナとも今では仲良しです。
一時は本気で殺り合い、私とヤンさんが止めに入り二人で懇々と
「…………」
『──で、どうした?』とヤンさん。
「いえ、折角なので、散歩がてら
私の言葉を聞くと『ほお?』とヤンさん。
エルさんはと言うと「何考えてるの?」と私を怪訝な目で見てきます。何とも失礼極まりありません。
「フェンリルは鼻が効きますからね。例えば──……死臭とか?」
「あぁ~」
私の言いたいことが分かった様です。
私がフェン、リル、ゴンを連れてく理由。それは西の教会とファニーさんが接触しているかいないかを確かめる為です。
神父様からすれば、いくら悪事を働いてもファニーさんは可愛い娘。接触していてもシラを切るかもしれません。そうなった時に活躍するのがフェン、リル、ゴンの鼻です。
アンデッドを扱うファニーさんの体には少なからず死臭は染み付いていると思いますから。
私の話を聞いたヤンさんから『そういう事なら連れて行け』と許可がおりました。
──まあ、正直に話してくれれば一番なんですがね。
「キュル」とルーナが私の服をくちばしで引っ張りました。
どうやらルーナも一緒に付いてきてくれるようです。
頼もしいですね。
そんな様子を見ていたエルさんが「
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