第48話帰路
さあ、帰路に着く日がやってまりました。
帰路に着く日も天気に恵まれ、快晴です。
色々な事があり離れるのは少し、寂しい気もしますが本来在るべき場所に戻るのが一番です。
「ちょっと!!ジェム!!もっとそっち押さえてよ!!」
「こんなに無理だって!!」
こちらに来る時同様、身支度に時間が掛かっている様子。
特に、シモーネさんが……
それもそのはずです。鞄に入り切らないほどの服や化粧品。更には健康食品まで……
昨日、ジェムさんを連れ出して買い物い物に行ったかと思えば、帰ってきたジェムは大変お疲れでしたし、買った物の量にも驚かされました。
「もう、時間だよ-!?」
待ちくたびれたティムさんが呼びに来ました。
何とか詰め込んだシモーネさんとジェムさんが慌てて外へと掛けて行ったので、私もその後を追って外へ。
すると、他の皆さんは既に馬車の中におりました。
その場所の前には別れを惜しみ泣きじゃくるレニさんと、それを宥めるように優しく頭を撫でるレナード様の姿もありました。
「──世話になったな」
「とんでもありません。貴方がたには感謝してもしきれません。……道中お気をつけて。また、こちらに来る際は遠慮なく声を掛けてください。盛大に歓迎致します」
ゴリさんとレナード様はにこやかに握手を交し、私達は大きく手を振りながら別れの挨拶をしました。
◇◇◇
「……えっと……これは、どう言うこと?」
戸惑いを隠しきれず、ルイスさんが口を開きました。
戸惑っているのはルイスさんだけではありません。私達も同様に戸惑っております。
何故なら──……
「あぁ~、やっと来た!!遅いじゃない!!」
「ほんまやで。このまま僕らだけで行ってまおうかと思っとったで」
港に停めておいた船に乗り込もうとした時、甲板から声が掛かったのです。
甲板を見上げると爆乳ことセクスさんと剣士のドゥオさんの姿があったのです。
「あれ~?そこにいるのウーナじゃない?何?あんた、この一味に入ったの?」
私達が戸惑っている間に目ざとくニルスさんを見つけたセクスさんが声をかけました。
「二人共久しぶりだね。そうだけど……君ら、もしかして……?」
その言い草……もしや……?
「そう!!私達も仲間に入れて貰う為に、わざわざ貴方達を待っていたのよ!!」
「「はぁぁぁぁ!!!??」」
思わず皆さんと声が被りました。
ゴリさんに至っては、頭を抱えて唸っております。
「ちょ、ふざけんじゃないわよ!!ニルスだけでもお断りなのに、なんであんたらまで入れなきゃいけないのよ!!」
ゴリさんより先に声を荒らげたのは、当然シモーネさん。
「やぁねぇ。私の方がお色気担当に向いてるからって僻み?」
「はぁぁぁぁ!?胸だけのあんたは娼婦にでもなればいいじゃない!!娼婦の方があんたにはお似合いよ~。小汚いおっさんに可愛がってもらったら?」
ケラケラ笑うシモーネさんと顔を歪めて静かに怒っているセクスさんは更にヒートアップして話にならないので放置します。
二人が揉めている隙にゴリさんはドゥオさんを呼び寄せ、ここいる経緯を聞き出し出そうとしています。
──おかしいですね。このお二人は騎士に差し出したはずですが?
「急ですんません。なんせ僕ら行く場所無くしてしもうて。知り合いもおらんし、この国にいれば死ぬまで追われることは必須。それなら、いっそこの国を出よう思ってな。……で、あんたらの仲間に入れてもらえば一石二鳥やん。ってなってな」
サラッと国外逃亡する事と仲間に入る事を言って述べました。
──……私達を逃亡の加担者にしないでください。
「いや、この船に乗っている時点でお前らが逃亡する気でいるのは分かる。俺が聞きたいのは、どうやって牢を抜け出したかだ」
「あはははは!!そこか!?嫌やなぁ。セクスの能力忘れたとは言わせへんよ?」
「「あぁぁぁ!!!」」
不敵な笑みを浮かべるドゥオさんに言われて察しました。
セクスさんの能力は怪力。
牢などあってないようなものでした……
──……今頃牢番あたりが慌てていることでしょう。
牢番の方を哀れに思いながら、ふと気づきました。
今ここには、セクスさんとドゥオさんしかおりません。
──……トゥオルさんはルイスさんに敗れその場で死亡が確認されましたが、もう一人いましたよね?
船内にいる気配はありませんし、どこにいるのでしょう?
「……あの、もう一人の方は何処です?」
私が声を掛けると「あぁ、セプテムか?」とすぐに答えが返ってきました。
「アイツも誘ったんやけど断れてん。一人で気ままに生きてく言うてたわ」
何処か寂しげに仰るドゥオさんにゴリさんは「……そうか」と一言。
「──で?こっちの説明は一通り済んだで?今度はそっちや。僕らをこの国から逃がし、更には仲間に入れてくれるんやろ?」
だいぶ話が飛躍しておりますが、まあ、目を瞑りましょう。
さあ、ゴリさんの出した答えは?
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