第10話犯人捜し
私とルイスさんが毒茶葉を回収していると、シモーネさん達も戻ってきました。
シモーネさんは戻るなり、私が入れた毒茶葉の紅茶を飲もうとしたので、慌てて止めました。
止められたシモーネさんは「なによ!?いいじゃない、喉が乾いてんのよ」とご立腹でしたが、理由を説明したら顔を青ざめてすぐさまカップを置きました。
そして、一通りの経緯と私達の掴んだ情報をシモーネさん達にも報告しました。
「ふ~ん。じゃあ、この毒茶葉を持ってきた奴が、色々知ってそうだねぇ」
ティムさんが、毒茶葉の缶を振りながら言われました。
「──それで、そっちの収穫は?」
ルイスさんがシモーネさんとティムさんに問いかけました。
お二人は顔を見合わせたかと思うと、二人共項垂れてしまいました。
「……こっちは、収穫ゼロだよ」
「街の人達にレナード公爵の事を聞いたら、どいつもこいつも答えは一緒だったのよ」
シモーネさんが言うには、街の人達にレナード様の何か噂が立っていないか聞いたらしいんですが「別に無いな」「あの方の噂?聞いたことないわね」と、言われてしまったらしいんです。
そこで、ティムさんが逆にレナード様の粗を探そうとしたらしいんですが「特に不満もねぇな」「まあ、特別親身になってるって気はしないけど、私達の事はちゃんと考えてくれてるわよ」と、思った様な答えは返ってこなかったようです。
「──……まぁ、途中からシモーネが、買い物に走っちゃって捜索所じゃ無かったけどね」
ティムさんが呆れたようにシモーネに生ぬるい目を向けて、仰っておりました。
よく見れば、床には大量の買い物袋や箱が置いてありました。
……まさか、これ全部買ったのですかね?
「仕方ないじゃない。店が私を呼んでたのよ」
「そのせいで僕は荷物持ち。もう、クタクタだよ~」
──……貴方達、何しに街へ行ったのですか?
まぁ、大体予想は出来てましたけどね。
シモーネさんが街に出て買い物しないなんて事は有り得ません。
「──……とりあえず、この毒茶葉の犯人を探しを優先致しましょう」
私がスッと立ち上がると「はぁ~、もう一仕事やるか」とティムさん達も立ち上がり、それぞれ行動に移しました。
◇◇◇
私はシモーネさんと一緒にリチャードさんの元を訪れました。
「──えっ?お茶の用意ですか?」
「えぇ、
シモーネさんがわざとらしい笑顔でリチャードさんに尋ねました。
「あぁ、それなら、私が侍女のサリーにお茶の用意をしておく様に頼んでおきましたが?」
ほお、リチャードさんの指示の元、お茶を用意したと。
──……という事は、リチャードさんは白。そのサリーさんとやらが怪しいですかね?
私達はリチャードさんにお礼を言うと、早速サリーさんを探しました。
「──……すみません。貴方がサリーさんでしょうか?」
「えっ?えぇ、そうですけど?」
数人の侍女に尋ねて周り、ようやくサリーさんに巡り会えました。
……この屋敷の使用人は多すぎます。
「貴方が私達の部屋にお茶を置いてくれたの?」
シモーネさんが疲れた様子でサリーさん尋ねました。
「あっ、すみません。私は料理長に呼ばれてしまって、そちらのお茶の用意はエレンに頼んでしまいました」
私とシモーネさんは顔を見合せ「はぁぁ~」と溜め息が出ました。
仕方が無いので、次はエレンさんを探して尋ねてみると「それは、アニーに頼んだわ」と言われ、アニーさんを尋ねると「あぁ、ゲルダ侍女長が持って行ってくださると仰ったので頼みましたが?」と言われてしまいました。
「どうなってんのよ!?」
遂にシモーネさんがキレました。
──まぁ、怒りたくなるのも分かります。流石の私でも少々疲れました。
しかし、このままでは何も解決しません。
侍女長のゲルダさんで終わる事を願い、ゲルダさんの元へと急ぎました。
「あら?それは私ではありませんよ」
ゲルダさんに尋ねると、思いもよらぬ答えが返ってきました。
「え?いや、しかし、アニーさんからゲルダさんが私達の部屋に行くからと……」
私はアニーさんから、ゲルダさんが運ぶとお聞きした事を伝えました。
「えぇ、確かにアニーには私が行くと伝えましたけど、リチャード様から貴方がたの部屋には既に用意されていると聞きましたので、誰かが先に用意してくれたのだと思ったのですが?」
──ここに来て、まさかの空振りですか!?
シモーネさんはゲルダさんの言葉を聞いた瞬間、大きな溜息と共に崩れ落ちました。
皆様の話を纏めると、リチャードさん→サリーさん→エレンさん→アニーさん→ゲルダさん→リチャードさんと、言うことでしょうか。
しかし、ゲルダさんが私達の部屋を訪れる前にリチャードさんから「既に用意されている」と聞いています。
……となると、鍵はリチャードさんでしょうか?
私達は重い足取りのまま再びリチャードさんの元を訪れる事にしました。
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