第7話お仕事開始
次の日、ルイスさんはげっそりとした顔で目覚めてまいりました。
対して、ゴリさんは大変ご機嫌です。
まぁ、そんなお二人を無視して、私達は朝食を頂きに食堂へと向かいます。
既にテーブルには料理が並んでおり、レナード様も席に着いておりました。
朝から大変豪華な食事です。
ジェムさんなど、待てをしている犬の様に目の前の料理を凝視しております。
「おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」
「えぇ、爆睡でしたよ」
「わはははは」と、ゴリさんがレナード様に挨拶しておりますが、その後ろでルイスさんが物言いたげな目でゴリさんを見ております。
「それなら、良かった。さあ、料理が冷めないうちに頂いてください」
「では、失礼して、頂きます」
ゴリさんが席に着くのを確認してから、私達も席に着きました。
そして、目の前の料理を頂きます。
カチャカチャと、ナイフとフォークの音が響く中レナード様が話しかけてきました。
「──お食事中すみません。本日私の護衛は、どなたが務めていただけるのしょう?」
ゴキュッと魚が喉を通りました。
そうですね。私達はお泊まり会に来たのではありませんでした。
──護衛と言う任務がありましたね。
ゴリさんは「ぷはぁ!!」と豪快に水を飲み干し、ダンッとグラスを置くと──
「今日は、このヤンとジェムがお供致します」
と、述べました。
ヤンさんとジェムさんは「はっ?」と言う様な顔をしております。
それもそのはず、私も今初めて耳にしましたから。
「そうですか。それでは、お二方宜しくお願いいたします」
レナード様は、ヤンさんジェムさんに対して深々と頭を下げました。
こうなってしまっては仕方ないと、お二人は多少の不満を抱えながらも承諾してくれました。
「──……ゴリさん護衛の事、絶対忘れてたわよ」
お隣のシモーネさんがヒソッと私に耳打ちしてきました。
ええ。あれは完全に忘れてましたね。
そこで、文句の言わないお二人を選んだという所でしょう。
◇◇◇
無事に食事も終わり、ヤンさんとジェムさんはレナード様の付き人として公務へと出掛けて行きました。
残された私達は、何をするかと申しますと……──
「――さて、じゃあ、マリーとルイスはこの屋敷の奴らを探ってくれ。シモーネとティムは街に出て調査を頼む」
レナード様の馬車が屋敷を出て行くのを窓から確認していたゴリさんが、私達に指示を出しました。
「──……で、ゴリさんは?」
毎度のことながら、ゴリさんの名前が挙がりません。
まさか、またさぼりですか!?
「――あぁ、今回は俺もちゃんと動くさ。ただ、何をするかは言えんがな」
そう仰ると、私の頭をガシガシと撫でてきました。
──またこの人は……
「おい、マリーなんだその目は!?」
疑いの目で見ていたのがバレたようです。
まぁ、今回は信用してますよ。なんせ、ゴリさん狙いの案件ですからね。本人が動かないはずがありません。
「よしっ!!じゃあ、行動開始だ!!皆頼むぞ!!」
「「はい!!」」
こうして、慣れない土地での仕事が開始されました。
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