ガラクタ拾って億万長者〜閃きをお金に換える錬金術〜
命煌社
第1話・この世界に有り余る見えないお金を具現化する。
「山頂で、3兆、絶好調。山頂で、3兆、絶好調。山頂で、3兆、絶好調・・・」
ラップ調の言葉を何度も唱えながら、まだ人が寝静まっている暗がりの早朝に、山を颯爽と駆け抜けている男がいる。
「今日も朝から八大龍王の水を汲んで、水に漲るパワーを頂きながら、楽しく1日をスタートできるのが有り難いなぁ。」
彼は人里離れた生駒山頂に事務所を構える異色の経営者。このご時世に都会から離れて最も不便な場所を選んで仕事をしている。常識の枠から外れるとは、まさにこのことだろう。
山中の湧水を汲んだ彼は、車を走らて山頂の事務所に向かう。朝日が見えるタイミングで輝く太陽を見ながらドリップ「エネルギー」コーヒーを3杯飲む。それが彼のモーニングルーティンだ。
「はぁーっ!気持ちいいーーー!!山頂は最高、絶好調!ここで3兆稼ぐ未来が待っているなんて、極上に幸せーーー!!!」
自称・永遠の精神年齢3歳児。それが、彼の経営マインドの根底にあるもの。常に子供心に満ちた生き方をしながら、遊ぶように仕事をしている。
「さて、そろそろ作業を開始するか。」
2022年1月。東京商工リサーチは、2年連続で倒産件数が減少していると発表した。コロナ禍を経て政府の経済政策や実質無利子の融資が経営をつなぐ緩衝材になっている反面、この状態は極めて異常で今後黒字倒産が増えることも予測されるという。
「いつまでコロナショックは続くんだろうな。先が読めない時代。まあ、ぼくには関係ない世界だけどね。ただ、いよいよこれから、時代が大きく変革するだろうな。2022年は、攻めの年。先手を打って、年始から勢いをつけていく。そう考えて今から動いている人間だけが今後末長く生き残っていくだろうな。」
働き方改革と謳われて経済改革が促がされていた数年前の時代が懐かしく思えるほどに、今では世界がパンデミックとなり、働き方は抜本的に改革せざるを得なくなっている状態。それもあの頃の発想とは、まるで違う次元として。
「今日のZOOMコンサルはっと・・・。そうだ、明日は公開コンサルのシェア会がある日だったな。閃きだけで食べていく。なぜか不思議と年収1000万円になるシェア会。楽しみだなぁ。」
彼の哲学は、相対性理論とアドラー心理、そして反物質と合気道、これらを独自ブレンドしたオリジナリルの発想を元にしている。こう聞くと複雑に聞こえるが、極めてシンプルな生き方だ。
「シンプルに、スマートに。でも、圧倒的に成果を出す。ビジネスを面白く、お金は喜びに満ちたエネルギーで稼がないとね。そんな人達がこれからどんどん増えていくことが、楽しくて仕方ないなぁ。」
ピアノを奏でるようなリズムでパソコンを打つ彼の表情は、いつも笑顔に溢れていた。彼にとっては全ての現象がお金を生み出す資産となる。毎日起きる出来事にワクワクしながらパソコン作業に没頭していた。
「さてと・・・。明日は素晴らしいメンバーがシェア会に来てくれるな!明日をきっかけにして全員が年収1000万円になる日が来るなんて、最高に面白やん。」
ZOOMシェア会は30分。これも、彼の経営哲学の一つだ。長い時間をかけない。短い時間で効果的な行動をして、圧倒的な成果を出す。サクッとやって、パッと行動する。そのスピード感があるだけで価値は倍増する。スピードが熱量を生み、熱量が影響力を拡大し、拡大された影響力がお金を生むエネルギーとなる。シンプルな原則だ。
「ピンっ」
文章を書いていると、Facebookメッセンジャーの音が鳴る。明日のZOOMシェア会の主催者からのメッセージだ。
「伊藤先生、明日はどうぞよろしくお願いいたします。明日のZOOMリンクはこちらになります。」
明日のシェア会は、昨年行われた公開ZOOMコンサルに参加したお客様が、その内容をさらに深めていくために企画されたものだ。
「一人の事例が、その他多くの人生を変える。この連鎖が、大事。気づきを、気づきのままで終わらせると無価値だけど、気づきを分かち合いに変えた瞬間に価値を帯びるようになる。目に見えていない価値をどれだけ意識的に顕在化できるかが、ビジネスの醍醐味だな。」
令和4年1月18日。明日は、満月だ。
この日の蟹座満月はウルフムーンと呼ばれていて、改めて自分の幸福論や生き方を問い直す1日となるようだ。満月の夜に、狼になる。昔流行った物語が思い出される。モンゴルの伝統では、オオカミは幸運と豊饒の象徴とされていて、多くの人々にとって非常に重要な意味を持つ動物だ。 幸運と繁栄を引き付ける存在として神聖視しているのが、狼。
彼は主催者へのFacebookメッセンジャーを返信しながら、明日の参加者が狼のように幸運と繁栄を引きつける存在に変容していくことをイメージしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます