第4話
冬の凍てつくような白い息吹が私の住む町を覆い尽くしたある日の夜。
夜空には、文句の付けよう等ない満天の星空。
星屑達がひしめき合って、窮屈そうに見える。
聞くところによれば、地球上の砂粒の数より宇宙の星の数の方が多いらしい。
人々はこれを見て美しいと感じるのだろうか。
そうか……、それが普通なのかもしれない。
私は……、星を見ると『命の悲鳴』が聞こえる。
それは美しくもなく、醜くもなく、ただ深い微睡みの中に垂れる1本の蜘蛛の糸を手繰り寄せるように、儚いものだ。
今にも途絶えそうな命の叫び…。
かつてこの世に生を受けた人は、いつか夜空に浮かぶ星にでもなるのだろうか。
そんな夢物語を受け入れるほど、私の心は衰弱してしまったのだろうか。
いや、それは違う…。
私はずっと私の物語で生きている。
生まれたその瞬間から、私という人生の緞帳は上がったのだ。
いつまで続くのだろうか。
終わるようで終わらない、鈍重な灰色を生きる日々は。
いっそのこと、終わらせてしまおうか……。
………………………。
いや、私にそんな度胸はない。
生きるしか……ない。
空に浮かぶのは幾千幾万幾億の星屑。
そよ風に飛ばされる一粒砂が私。
何も知らない感覚でいられたらどれ程良かったのだろうか。
なぜだろう……、強くなろうとすればする程、私は弱い。
冷たい雫が私の頬を垂れる。
恋煩いが全ての時間に溶け込むように、私のそれは『想い』と中和する。
ああ……、きっとこれは……。
神様も知らない私の涙。
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