第2話

『宮本先輩は見捨てないでくださぁい。こんなにミスしてぇも優しくしてぇくれるなんて、、』


なんだコイツは。なぜこうなった?相当酔ってる。なんで?そんなに飲んないよね?


「あのー菜緒さん?お酒弱いの?」

すると楽しそうに彼女は

『んー、確かに!弱いかも知れませんね!!』

ケラケラと笑いながらそう言う。


「分かった。そろそろ帰ろうか、タクシー呼ぶね」


最後に水を飲ませタクシーにお金を渡し帰らせた。


翌朝出勤してきた彼女は開口一番『昨日ありがとうございました。失礼な事してませんよね?』と聞いてきた。どうやら覚えてないらしい。


「あぁ、全然良いよ。お酒弱いんだね。次飲む時途中で止めるよ」

と笑って返す。自然に笑えている気がした。


『菜緒ちゃんと飲みに行ったの?私誘われてなーい』


山下が頬を膨らませながら腕をつつく。

山下は昔からこういう所がある。

所謂ぶりっこと呼ばれるやつだろうが容姿は良い方で、まだ見てられる。


「分かったよ、また連れてくって…」

『山下先輩とも行きたいです!楽しみですね!宮本先輩』

『菜緒ちゃんは可愛いね。お酒弱いんでしょ?宮本先輩には気を付けなよ??』


ニヤニヤしながら後輩に嘘を吹き込む山下は悪魔でしかない。

すぐに「そんな必要はない」と訂正するがむしろ逆効果に感じてくるし山下はそれをみてケラケラと笑う、容姿は良いくせに中身は悪魔そのものだ。





『良し、宮本先輩。終わりました、見て下さい。』

「あいよー……良いね、ちゃんと資料も見やすくなってきたし」


十分に成長を感じる資料も

部長らに見せても何も問題無い程までになっていた。


『終わった?飲みに行こ!』

随分と高いテンションの山下。余程楽しみだったらしく、菜緒の手を引きどんどんと歩いていく。


『『「乾杯!」』』

『いやぁ~本当にミス少なくなったね?成長スピードがおかしいよ』

齋藤の隣に座る山下が頭を撫でながらそう語る。


『宮本先輩のお陰ですから…ミスしてもすぐに助けてくれて、感謝してます』

そう言い照れて顔の赤くする彼女を見て少しは良かったと思えた。


『宮本先輩も山下先輩も大しゅきです!』

『やー菜緒ちゃん可愛いぃい私もしゅきー』

「なんで2人してそんな酔うんだよ!解散だ解散。タクシータクシー」





『宮本君ちょっと…いやそんな嫌な顔しないで』


表情に出てしまっていたらしい。自分もまだまだだ。


『今度やるプロジェクト、宮本君がリーダーでお願いするよ。』


「え?」


『後、菜緒さんもメンバーに入れるから。彼女は最近良くやってるし、色々経験はしてるしね。ミスしても宮本が居るからなんとかなるだろうし、頼むよ』


「分かりました…頑張ります!」


嬉しかった。得に部長の菜緒さんへの評価が。前のミスで今でも彼女が「ミスを良くする者」としか見ない人間も居る。そんな中で部長はしっかりと評価をしてくれていたんだと。


「菜緒さん。話がある。」


キョトンとする彼女に続ける


「今度俺がリーダーでプロジェクトをする事になった。そのプロジェクトに菜緒さんも入ってる」


その後はずっと一方的に話してしまった。プロジェクトの事、部長の評価の事etc…

我ながら熱くなりすぎたと思う





話があると言われた。

どうやら先輩がプロジェクトのリーダーになったそうだ。おめでたい!

そう思った束の間、私もプロジェクトメンバーに入った事を知った。

頭が真っ白になるとはこの事だ。

(なんで?無理だ。また先輩に迷惑が……)

泣きそうになってきた。

すると先輩は嬉しそうに言い出したのは、「何故自分がメンバーに入ったか」だった。

部長がちゃんと見てくれている事。正直それより先輩がそこまで私を評価してくれたのか、と嬉しかった。

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