海底の学校

 相変わらず仕事を探しにふらついていると、子どもたちが建物に入っていくのが見えた。

 覗いてみると、そこは学校だった。ちょうど授業をしている。


 「算数かな?」


 数字を使っているから多分算数なんだと思うけど。

 しばらく覗いていると声をかけられた。


「あの。何か御用ですか?」


 「い、いえ、子供たちが入っていくのを見かけたので少し気になって覗いていました」


「ここは、海の底の学校です!」

「見学は自由なのでゆっくりみていってくださいね!」


 「は、はい!ありがとうございます」


 地上とは違って勝手に入っても不審者扱いされないようだ。

 お言葉に甘えて中に入ってみた。


 「学校なんて久しぶりだな」


 独り言をぶつぶつと言っていたら、


「おい!」 子どもに話しかけられた。


 「今授業中じゃないのか?いいのかこんなとこでサボってて」


「じゅぎょうはじゆうさんかだからいいんだい!」


 ここの学校は自由参加なのか、子ども同士の交流の場みたいなもんだろう。


「おい!おまえにんげんか!?」


 「初対面でお前呼びかよ、僕にも名前あるんだからな」


「うるさい!しつもんにこたえろ!」


 ハァと息を吐きこの子に付き合うことにした。


 「そうだ、人間だ。ついでに三島って名前だ覚えとけ」


「じゃあみしま!おれのこぶんになれ!」


 「いきなり呼び捨てかよ、まあいいや、それよりなんで子分にならんきゃいかん」


「うるさい!こぶんになれ!」


 「なんだ、どうしたんだ?僕なんかより友達と遊んだ方が楽しいだろ」


「そんなのいない、いいからこぶんになれ!」


 なんだ、そういう事かと状況を察した。


 「分かった、少しだけ付き合ってやる」


「ほんとか?やったー!!」


 しばらく相手をしながらこの子について知ろうと思った。

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