【このたび語られるものは】

3

 大陸は広く、なれば黒社会の広さもまた等しく、その一角に蜘蛛媛ヂーヂュユェンなる娼館の元締め在り。


 その首魁はよわいいくつとも知れぬ老婆、名は誰も口にせぬ恐れに恐れてまだ足りぬ【大奥様】。

 して、その配下に七本の蜘蛛の脚在り。

 彼女彼らをたかだか娼館の元締め風情と侮るなかれ。

 その頭はおんな腕一本うでいっぽんで周辺七街なながいの娼館を纏め上げた千年無双せんねんむそう大女傑だいじょけつ

 その脚ともなれば、時代さえたがえればいずれの一本も一派為すこと疑い無き大番頭ども。


 ここではその一本、《大暴食ダーバオシー》の黒狗ヘイゴウについて語ろう。

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