第五章2

 家で自習しておくべきか問題発生! 仮にも進学校ですぜ。姉貴。やっときましょーよ。ですかねー? ですよですよ。学校再開後、勉強付いていけなかったら大変ですよ。偉い。偉いぜ。俺。自分を鼓舞するぜ俺。……冷静になってみれば、教科書類全部机の引き出しの中ですぜ。姉貴。

 だーっ! 詩衣奈! 詩衣奈ー!

 もし――……切りやがった。あ。二時間目か。ていうかあいつ本当に羽伊奈に話したんだろうなー。羽伊奈さんからなんの音沙汰もないんですけど?

 はあ。明日バイトか。自宅謹慎とか言いながらバイト通うのってどうなんだろう。

 ん?

 はーい。どちら様ですか? は? なんで来たの。無理。帰れ。あれは――あんなの冗談に決まってるだろ。だから、上げたらマズいのくらい分かるでしょ。見つかるわきゃないのは分かるけど、そういう問題じゃないの。

 ていうか良子、自宅謹慎でしょ――って、そうか。もう良子は解けてるのか。だから良いって――ならないの。常識。分かるでしょ。ていうか分かれ。理解しろ。そして帰れ。はい。さようなら。

 ………………。

 はあ~。なんなんあいつ。なにを考えてここまで来たん。つか下の扉どうやって突破したんだよ……。……まさかな。

 絵里といい、わけわかんねー。その絵里は案外なんの音沙汰もないんだけど。肩透かしですわ。あ。やっぱ漫画だけでも借りとけば良かったかな。って、いやいや! ……まだエントランスにいるかな? って、いやいやいや!


 お疲れ様でーす。

 いやあ、聞いて下さいよ。実は学校で停学喰らっちゃって。あ、バイトとは関係なくって。ただの喧嘩なんです。そう。心配なんてべつに。はい。怪我とかはないんですけどね? 先生に見られちゃって。あはは。

 そういえば、躑躅ヶ谷さんどうなりました? へ。あー……そうなりましたか。いやあ、話してないです。ていうか、話せないですって。ほら。僕、謹慎中ですし。はい。大丈夫ですよ。一日くらい増えたって平気です。

 あ、すいません。話し込んじゃって。はい。仕事戻りますってか、今から行きます。見た感じ、今日軽そうですよね。作業です作業。全体的に。もちっと頑張れますよ、僕。はい。じゃあ、あっちの作業終わったらすぐそっち手伝いますんで。はい。お疲れっす。

 ……。

 そっかあ。そんなに不快だったかなあ、俺。




 お疲れ様でしたー!

 いえ。体動かしたい気分だったんで! 有り余ってますよ! なんならまだ――あはは。冗談です。冗談です。

 あっ、お疲れ様でーす! 夜勤これからっすか? 自分これで上がりっす! あははは! 痛いですって! 痛いです! あはははは! ……今日の作業、軽いと思いますよ? はい。わたくし、頑張らせて頂きましたー! ええ!? いいんですか!? 頂いちゃって!? いやあ、悪いな~。じゃあ、折角だから一番高いやつで!! あはははは!! エナジー使いまくったからしゃあないじゃないっすか! ごちーっす!! はーい!! お疲れーっす!!

 ……ふう。

 いつまで続くかなあ。このバイト。

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