失恋

@ZnZn

第1話


重い体を布団から起こし、眩しい朝日にウインクをする。

窓から吹き抜ける風は冷たく私の体を撫でる。

私の朝が始まる。


仕事の準備を済ませ、家から走りだす。

近所のコンビニから立ち上る焼きたてのパンの香りに料理が好きだった高校時代の友人のことを思い出す。


あの頃を思い出すと悲しい気持ちになる。

あんなに楽しかったのに最後の後悔がそれらを悲しいものに塗り潰した。


私はふと海にかかった路上で足を止めた。

冷たい風はここから来ていた。

そしてやっぱり友人の事を思い出す。


幼な子の様に可愛かったあの子、海で勝負なんてあの頃の私は馬鹿げていた。


海の中に脚を入れてみた。

少し進んだだけで膝までつかった。

冷たく静かな波が涙を誘っている様に私の胸を締め付ける。


「ハハハちょっとミユキ何してんの?ハハハ」


振り返るとお腹を抱え笑う友人の姿、

私は驚いて歩み寄り手を伸ばした。

仲直りしたかった。酷いこと言ってごめんって謝りたかった。


、、、、けど無理だった。

そこに友人は居なかった。

私の妄想だった。


「何やってるんだろ私、馬鹿みたい」


卒業式のあの日、彼があなたを選んだ

ただそれだけだったのに、私は、、、、。


悲しい記憶は楽しい記憶で塗り潰せるって言うけれど、この胸の痛みはきっと消えない、

だってあなたと過ごした日々より楽しい事なんて無いのだから。




「ああ遅刻だ、早く会社に行かないと、、、、」



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