第2話 別れる決意




「ねぇ、あなた。今月の二十三日なんの日か覚えてる?」


「あぁ!二十三日?何の日だっけ、アッいけね!思い出した、その日にちょっと出かけなければいけないことが有ったんだった。・・・・だけどその二十三日って?ただの普通の日だろ」


「そうね、あなたの言う通りただの普通の日よ。二十三日お出かけするんですね、分かりました。其れじゃ、行ってらっしゃいませ」


「あぁあ、其れじゃ行ってくる。二十三日の件、頼んだぞ」






 何時からなのでしょう、主人と別れる決意をしたのは?愛して結婚したはずなのに結婚して三十年間ずっと夫を待ち続けた毎日だったわ。

 でも、それもあと一週間!私達の結婚式と彼の誕生日が同じ日を選んだ私達だったけれど、でも彼は誕生日には彼の子供が待って居る彼女の家でお祝いをして貰うはず、昨年もそうだったしその前の年も同じだった、いくら愛し合ってもこれだけはどうにもならない・・・・・・。


 子供が欲しかった彼が他の女性に子供を作る事は止むを得ない事だったのかも知れないわね。求められても答えられない私だから仕方がない事だけれど、でも悔しさはあまりないの、本当よ!不思議よね。

 だから、あと一週間で私達夫婦の生活に終止符を打ち、彼を子供達に返してあげる事にしたの、これ以上彼を束縛できないその為の節目が三十年、でも彼は多分、驚かないでしょうね「あっそう!分かった。君は今後どうするんだね、新しい男でも出来たか、一人で生活が出来るのか?」程度で私達の夫婦生活は終わると思う。


 主人は今夜も遅く帰ってくる、けれど、私は彼の為に食事を作って待って居る事だけしか出来ないから・・・・寂しく無いと言えば嘘になるわね。

 毎日、朝早く起きて、主人の為に朝食を作り、洗濯と家の掃除を起きてくるまでに終わらせて、会社に送り出してから私も仕事へと出ていくのだけれど、主人は私が働いている事なんて知らない、と云うか教えていないのだから知らないのは当然よね。


 普通の夫婦ならば妻が働いているかなど少しは気になるはずなのに、彼は私の事については知ろうとはしないし、聞きもしないわ。

 そう、彼には私の事なんて興味も無いし、ただ家に居れば、彼の言われた事だけを行っていれば良いだけのお飾り妻なの。


 愚痴をダラダラと述べてしまったわね、本当は主人が知らないだけなのにネ!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る