昭和ブルー高校編

まさき博人

バンザイ軟派高校

ボクが通っている中学で生徒会長を務めた者は、だいたい兄貴の高校か、ハンドボール部伝説の先輩シローさんの高校、つまり地域一、二番の高校に進学しています。

周りの人たちも、当然ボクもそうなると思っていたらしいのです。

でも、一夜漬けの勉強しかしないボクはそんな高校はとても無理、つまりレベルを落としたト立高校ならどうにかという実力。そのことを知っているのは、ボクと担任と親だけでした。

そしてその通りの結果になりました。そのことに、意外だと声に出す人、出さないけど思っている人、別に興味がない人、いろいろだとは思うけれど、ボクはそんな事はどうでもよくなっていました。

実は自分が進む高校に、もう期待いっぱい胸いっぱいだったのです。

何故かというと、ボクの高校進学が決まった時、コクリツ一期校大学を目指して一浪中の兄貴が久し振りに話しかけてきました。

「おまえ、あの高校に決まったんだって。いいなあ。」

意外なお言葉ではあります。

兄貴が通っていた高校と同じ市内にあり、両校の生徒はよく出会うらしいのです。

「おまえの行く高校の生徒たちな、だいたいカップルで歩いてるぞ。しかも女の子、結構可愛いいんだ。オレ達軟派高校って呼んでるぞ。男女交際高校って言う時もある。いいなあ。」

馬鹿にしてんのかとも思ったけれど、顔を見ると本当に羨ましそうです。兄貴の高校は伝統校で、バキバキの硬派。元々は男子校で女子生徒は極端に少ないらしい。

実は少なからず感じていた劣等感が吹き飛び、その代わりに、どんな女の子と出会うのか、どんな恋が待っているのかという期待感が、どっと吹き込んできました。

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