第2話

2035/11/15(木) 早朝五時三十五分 中央区南側オフィス街  佐須雅さすが


 わたくしは佐須雅・ウィルエル、公安九課の隊員で検非違使けびいしとの合同捜査要員でもある。


 いつもより早い時間に出勤した、いやな予感がしたからであった。


 不確定要素は消しておきたかった、というのもある。


 私の本来の出勤時刻より、軽く一時間ほど早い。


 そして私は、データーを集め始めた。


 そして深夜零時三十分ごろに南京町でシンジケート同士の抗争があったことを突き止めた。


 それが嫌な予感に当たるのかという話は置いておかなくてはならなくなった、仕事が発生したのである。


 その仕事とは、密告タレコミが本当か確かめるというモノであった。




2035/11/15(木) 朝八時三十分 市民病院一般病棟四階 長良ながら折神おりがみ


◇長良視点


 折神清志郎せいしろうとネームの張られた部屋の扉を軽くノックする。


「どうぞ」と個室の主が返答した。


 返答を貰ったので、扉をサッと開け中に入って即閉めた。


見舞みまいだ! 肉でいいよな?」といいながら右手に大きめなローストビーフの包みを三本持って行ってサイドテーブルの上に置いた。


「長良さん、今日は休みだったのでは?」と清志郎が慌てて聞いた。



◇清志郎視点


 長良さんは武芸者的な精悍な肉体を持ち、外ハネミディアム系の綺麗な赤髪でその瞳は吸い込まれそうなほどに深い海の色をした美男子で好青年だ。


 背もかなりある背丈は俺と同じか少し高い位であった、百八十五センチはあるのではないだろうか。


 日米ハーフだとも聞いたが、生まれは日本であるため国籍も日本なのだそうだ。


 俺が身長百八十三センチで黒髪黒目で少々細マッチョくらいの体系の上に髪型はエアリーとしてあるが、長良さんは検非違使内でもその容姿は派手なほうに属するといわれている。


 俺もソコソコ美男子であるという自惚うぬぼれがあるが、そんなものを軽く砕いてくれるほどのインパクトを持っておられる。


「撃たれたって聞いたんでな、の執刀だったと聞いていたから大丈夫だとは思ったんだが。本調子に戻るまでどれくらいかかる?」と長良さんは一気に話す。


「幸い弾は徹甲弾のようで抜けてはいましたから、加藤先生のおかげで大分戻りました。本調子まで後二日ほどでしょう、と言われています」と俺は輸血と点滴パックを見ながら話した。



◇長良視点


「撃ったヤツのツラは覚えてるか?」と俺が聞いた。


「長い銀髪で灰色のトレンチを着て鈍く光るデザートイーグルを二丁持っていましたが顔は逆光で見えにくかったんではっきりとは見ていませんでした、すいません」と清志郎があやまった。


「謝るこっちゃねえ、いざ逆襲しようって時に覚えて無いんじゃしゃあねえからな」と俺はいう。


「でも銀髪で長髪か、珍しいなそれがヤツの重要な特徴かもしれねえが」と俺は続けた。




2035/11/15(木) 朝九時 中央区南側オフィス街 佐須雅・夜桜よざくら


「佐須雅、例の件はどうなった?」上司、夜桜副長に聞かれる。


「ネットの情報を洗いましたが、クロですね。しかも、麻薬密売組織とつながっている」とわたくしは答えた。


「いい腕だが、イリーガルダイブをしたのか?」と夜桜に問われた。


「はい、ディープダイブだけでは痕跡は見つからなかったため、イリーガルダイブも実行しました。不味かったでしょうか?」と答え、答えを待った。


 夜桜副長はキャメル・シガー・メンソール・ボックスから一本取り出しジッポで“ジャリッ”、“シュボッ”と火を付けると吸い始めた。


 これはお叱りの言葉が飛んでくる合図ともいえた、表情には出さないが長くなるかなと思った。

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