第9話 美しい悪魔【ナミミ視点】
「《
「くッ……」
悪戦苦闘、そんな言葉がふさわしいですね。
この吸血姫相手に、私は手も足もでません。
吸血姫の攻撃を避けるので、精一杯です。
「えっと、その程度ですか?」
「隙を見せましたね!! 《
私が発動した4本の光り輝く剣は、吸血姫に向かって飛んでいきます。
そうです、そのまま……串刺しになりなさい!!
「……?」
ですけれど、私の攻撃は通用しませんでした。
光の剣は吸血姫柔肌を裂くことさえ叶わず、吸血姫に触れた瞬間に霧散してしまいました。
「ウソ……でしょ……!?」
「えっと、本気でやっていますか? 手を抜いていませんか?」
「そんな……聖属性の攻撃は、悪魔系の魔物には特攻がかかるのよ!! あなたみたいな吸血姫も悪魔系だから、聖属性の魔法は弱点のハズでしょ!!」
「えっと、そうだけど……その……」
吸血姫は言いにくそうに、口をモゴモゴと動かしている。
何よ、言いたいことがあるんだったら言いなさいよ!! とは、聖女なので言えません。
「あなたの魔法が……弱いから、効かないのです……」
「……は?」
私の魔法が……弱い?
聖女として崇められた私の魔法が、弱いですって!?
「なんですって!?」
「ま、まぁまぁ落ち着いてくださいよ。あなたは聖女なんですよね?」
「えぇそうよ!! だから、聞き捨てならないのよ!!」
聖女として被っていた猫が、脱げるわ。
これまでにどんな悪魔も屠ってきた私の魔法が、弱いわけがないじゃない!!
「確かにあなたの魔法はS級までの魔物なら、一撃で屠れると思いますよ。だけど……私はSSS級です」
「……そ、ソレが何よ!!」
「わからないんですか? あなたの魔法が弱すぎるから、SSS級の私には通じないんですよ」
「いいかげんなこと言わないで!!」
そんなこと、あり得ないわ!!
私は聖女よ、SSS級の魔物だって……倒してみせるわ!!
「《
放つのは、3つの魔法。
《
最後に《
放った3つの魔法は、一目散に吸血姫に。
さっきの発言、取り消させてあげるわ!!
私の魔法を愚弄したこと、後悔させてあげる!!
「ハァ…… 《
だけど、私の魔法は吸血姫には届なかった。
吸血姫が放った、血液の嵐にかき消されてしまった。
「……え?」
「見苦しいですよ、自分の弱さを認めないのわ」
「そ、そんな……あ、ありえない……」
「まぁ、カナトさんの仲間なんですから、見苦しいのも当たり前ですね」
吸血姫は拳を握って──
「地獄で反省してくださいね」
私の顔面を、潰した。
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