第3話 邪神について
「ほら、知っていることを吐け」
俺たちは宿に戻るや否や、老人に尋問を行った。
「だ、誰が吐くか!!」
「生意気だね。アルガくん、どうする?」
「八つ裂きにしましょう。腹が立ちます」
「いやいや、情報を引き出す必要があるから。とりあえず、痛めつけるか」
尋問なんてしたことない為、イメージ内の尋問を行おう。
俺はさっそく【黒竜の牙】を取り出し、老人の頬を裂いた。
「痛い!! ……く、腐っていく!! た、助けてくれ!!」
「じゃあ、知っていることを吐け」
「そ、それは……無理じゃ!! お前たちのような下等な人種に、崇高なる邪神様のことなど言えるハズがない!!」
「……邪神?」
「はッ、しまった……」
邪神、それはシエルさんが討伐したのだろう?
俺と出会うよりもずっと、ずっと昔に。
シエルさんに視線を向けると、コクッと頷かれた。
「もしかして……私が倒した邪神を、復活させようとしているの?」
「そ、それはじゃの……」
「正直に言わないと、傷つけるぞ」
「いや、それは……腐るところが痛いのじゃ!!」
「だったら、正直に吐け」
「……偉大なる神よ、すまない」
老人はつらつらと語りだした。
まず初めに、自分たちは邪神を信仰していること。
邪神の復活を目論み、日夜活動を行っていること。
多種多様な生命体に対して、培養した邪神の血液を植え付けていること。
それは邪神の生態を理解する為に必要な、実験の一環であること。
「つまりお父様は……お前たちの実験とやらのせいで、狂ってしまったというわけですね……」
「神が顕現した時、何が起きるのかわからんからの。まずは実験体を通して、神の影響を理解する必要があるのじゃ」
「よくも……よくも!!」
レイナの魔力が爆発する。
これはまずいな。
「レイナ」
「アルガ様、わたし……許せません!!」
「わかっている、だが少し待ってくれ」
「でも!!」
「お前の気持ちは痛いほどわかる。だからこそ、少しだけ落ち着いてくれ」
「……わかりました」
俺の気持ちが伝わったのか、レイナは椅子に座った。
「さて、じいさん。最後の質問だ」
「……なんじゃ」
「お前たちの幹部は、3人いるはずだろ。あと1人はどこに消えた」
「ど、どうしてそれを……」
「神のお告げだ」
本当は夢で見ただけなのだが。
まぁ、本当のことを言う必要はないか。
「……わしも詳しいことは知らん。あの御方は神出鬼没で、わしらでさえも何を考えておられるのかわからんからな」
「ウソを吐くな。カナトたちに接触して、時間を稼ごうとしているんだろ? つまり、カナトたちの側にいるんだろ?」
「……どこまでも知っているのか。さすがは『
「で、どこにいるんだ? カナト達の具体的な位置は、俺も知らないんでな」
「……あいにく、わしも知らん。言ったじゃろ、あの御方は神出鬼没なのじゃ」
「そうか、だったらいい」
俺はレイナに命令する。
「レイナ、潰していいぞ」
「はい!!」
「え、あッ──」
抵抗虚しく、老人はレイナに潰された。
グシャッと、まるでトマトのように脳漿を巻き散らして。
「汚いな……」
「どうするの? カナト達を探し出すの?」
「いえ、どうせ俺たちに接触してくるはずです。わざわざ探す必要はないでしょう」
「でも……お父様を狂わせるほどの力を持つ邪神が、復活したらマズいんじゃないですか?」
「レイナ、カナト達如きが俺たちを相手に、時間稼ぎができると思うか?」
「えっと……思いません」
カナト達は所詮、S級だ。
力を授けられたとしても、俺たちには到底及ばないだろう。
「それに仮に復活しても、何の問題もないよ」
「えぇ、一度倒したシセルさんがいますからね」
「それに邪神と相対する頃には、アルガくんも楽勝に勝てるくらい強くなっていると思うよ?」
「そう……ですか?」
ありがたい言葉だ。
邪神を楽勝で屠れる強さ、俺もその頂に到達したい。
さらに強くなろう。
邪神を倒し、いつか……シセルさんに並べるように。
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